No Steal, No Life

犬山田朗

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No Steal, No Life

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私は物心ついたときから盗まずにはいられなかった。
どこのお家に行ってもお菓子を漁って食べ、ぬいぐるみを自分のモノのように枕にした。
さすがに寝ていた時は油断して見つかった時もあったけれど、お菓子を盗んだことはまだばれたことがない。自慢よ。
勘違いしていただきたくないのは、産まれは良い方なのよ。お家にはなんでもあって、モノに困ったことはないの。
あ、小さいころ、腹を立てた出来事を思い出したわ。
兄からお菓子をとろうとしたとき、あの人は私を蹴っ飛ばそうとした。私だって、お家では少し乱暴なところもあるの。許してね。
でも、そこまでする必要ある?ひどい話だと思わない?
それから兄とは険悪、私をみるとお菓子を隠すのよ。分けてくれてもいいじゃない。
兄は親やよその人にまで私の悪口を言うようになった。
いつか蹴っ飛ばしてやりたいけど、体格差に悔しい思いをしている。
あまりにも腹が立って、一度跳びかかった時はとても驚いていてスッキリした。私も怖かったからもうしないけれど。

今までで一番の大仕事は、近所で評判の超お金持ちの家にあった、とても高いチョコの時ね。
ハラハラしたわ。
門とは反対の裏側にあるキッチンのドアが開いていたの。引き寄せられるように入ったわ。サガね。
テーブルの上においしそうなチョコがあったから絶対食べたいでしょ。
周りを見渡してそっと近づいた。
全部ほしかったけれど、お腹がすぐいっぱいになっちゃうの。かわいいでしょ。いつかあの嫌みな兄みたいにいっぱい食べてやりたい。
ちょうど満足したころ、お家の人が来たのね。
急いで机の下に隠れて息をのんだ。じっと動かず、いなくなるまで我慢よ。
数分だと思うけれど、とてもながく感じたわ。
味?もちろん、一緒にとろけちゃうんじゃないかと思うほどおいしかった。あのチョコよりおいしいチョコはまだ食べたことがない。
家もあそこまではお金持ちじゃないから嫉妬しちゃう。

あら、今日はシチューね。いい香りがするわ。
チキンを焼く匂いもするから、あのスパイシーな大人な味のやつね。苦手だったけど癖になってきたわ。
さて、私もそろそろ食べに行くとしましょう。

きゃー、やめて!!!
床に落ちたグリーンピースを食べようとしたのはごめんなさい。
お行儀が悪かった、許してちょうだい!
パパ、お願い!その手を下げて。
娘に何を向けてるの?それは銃?
何か霧が私の体を包みこんだわ。
あぁ、気が遠くなる、仰向けで寝るのは初めてよ…
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