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死んだ方がまし
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「おぃ、正人。おまえ自殺した子と付き合ってたのか?」
恋愛の噂はすぐ広まる。ましてや自殺した子の話となると誰の耳にも入った。
「あぁ、そーらしいな。」
「怒ってんのか?興味本位でいろいろ話してたことごめんって。」
怒ってるかどうか聞く奴はだいたい信用できない。達也も正人の信用できないリストに入れられた。
「いいよ、言ってなかったし。」
「おまえ、彼女が死んでなんでそんなに普通にしてんだよ。」
「知らねーよ。その話やめろよ。」
「つよがんなって。話きくから。」
「ほんといい、なにしても時間は戻らない。」
正人は紗季の話題が聞こえてくるよりも、変な気の使われ方されている方に腹が立った。
ずっと付きまとって、今も近くにいる紗季にも苛立っている。正人の気持ちをよそに、私空気だからと言わんばかりの表情をしている。
しかし、締め切りのない犯人探しは楽しくて気に入っていた。人が死んでいることにはさほど興味はない。本物の探偵もきっと悲しいとか感情は持ってないと勝手に納得した。
今日は紗季の学校へ二回目だ。おおよそ、一回目で彼氏という噂が立ったのだろう。
一回目は紗季の母親に連絡してもらって荷物を取りに行った。行くための理由が欲しかっただけで、本当は偵察だ。
今日も荷物取りにいく。ただ少し、女子校なので前回同様気まずい。
紗季は少し気分が悪かった。知らない子が自分の友達ぶって正人に話しかけている。
耳打ちする。
「ごめん、君の名前は紗季から聞いたことないや。」
演技でなく、本当にめんどくさそうに相手をする。紗季はなんだか気が晴れた。
「紗季の彼氏?」
何人かやり過ごしていると、本当に仲の良かった子が話しかけて来た。
「私、麻実って言うんだけど、紗季に彼氏いるなんて聞いてない。」
耳打ちされたことを踏まえて上手に話す。
「俺は聞いてるよ。カラオケでよくチャモ歌う子でしょ?」
チャモは数年前に解散したガールズバンドだ。
「嬉しくて泣きそう。」
そう言う麻実はすでに泣いていた。
十年来の友と会ったかのように、それぞれバラバラの思い出話をする二人に挟まれて三十分、そろそろ正人は解放されたい。
「ところで、高富先生って紗季に対してどんな人だったの?」
第三者からの印象が聞きたくて、間が開いた所を見計らって話を変えた。
「やっぱりそこ気になるよね。彼氏だったら特に。」
麻実の目と唇が薄く硬くなった。
「あいつ、紗季にはいつも特別な態度だったよ。紗季も少しウザがってた。思い出したら腹が立つ。」
「やっぱり…」
「俺は気に掛けてませんがって顔してるんだけど、あからさまに好意ありそうな態度しやがって。きっとあいつにひどい嫌がらせされたんだ。学校もうやむやにしてる!」
麻実は人目も気にせず、大きな目で大きな声をだした。学校に来た印象からも、紗季は人から反感を買いそうなタイプではなさそうだ。
正人は高富先生の帰宅にあわせられるように、その後も適度にいろいろな友達と思い出話をして歩く。
高富先生の帰宅を付けるために。
正人と紗季は最寄りの駅まで来た。紗季は定期をのぞき込んで駅名を伝える。
とりあえず家までついていったが何も起きず、遅くなるし、今日はもう帰ることにした。
「なぁ、紗季。高富の家でいろいろ情報集めたらすぐ解決するじゃないか?」
紗季は無言でついて帰る。
「なんだよ、解決したくないのかよ。」
「怖い…」
初めて見た顔だったので、それ以上何も言わなかった。
「腹減ったなー、紗季、先にご飯を見に行って教えてくれよ。」
「つまらない。」
「っち。」
「え?本気の舌打ち?ウケると思ったのが怖い。」
怖いとか、自分の事なんだと思っているんだと言いそうになった。やめた。
正人は電車代が勿体ないので、自転車で高富の家の近くまでたまに行っている。
学校が終わってから暇だったので今日も紗季と様子を見に行った。
知らない制服の女の子が家に入っていく。正人たちから顔は良く見えない。
「嘘だろ、たぶん高校生だ。あいつもう三十超えてんだろ。紗季、見てきてよ。」
「絶対嫌だ、待つのもいや。気持ち悪い、すぐ帰ろ。」
「おぃ、きっと解決に近付く情報だって、何言ってんだよ。」
「見に行くなんて死んだ方がまし。」
「なんの冗談だよ…」
恋愛の噂はすぐ広まる。ましてや自殺した子の話となると誰の耳にも入った。
「あぁ、そーらしいな。」
「怒ってんのか?興味本位でいろいろ話してたことごめんって。」
怒ってるかどうか聞く奴はだいたい信用できない。達也も正人の信用できないリストに入れられた。
「いいよ、言ってなかったし。」
「おまえ、彼女が死んでなんでそんなに普通にしてんだよ。」
「知らねーよ。その話やめろよ。」
「つよがんなって。話きくから。」
「ほんといい、なにしても時間は戻らない。」
正人は紗季の話題が聞こえてくるよりも、変な気の使われ方されている方に腹が立った。
ずっと付きまとって、今も近くにいる紗季にも苛立っている。正人の気持ちをよそに、私空気だからと言わんばかりの表情をしている。
しかし、締め切りのない犯人探しは楽しくて気に入っていた。人が死んでいることにはさほど興味はない。本物の探偵もきっと悲しいとか感情は持ってないと勝手に納得した。
今日は紗季の学校へ二回目だ。おおよそ、一回目で彼氏という噂が立ったのだろう。
一回目は紗季の母親に連絡してもらって荷物を取りに行った。行くための理由が欲しかっただけで、本当は偵察だ。
今日も荷物取りにいく。ただ少し、女子校なので前回同様気まずい。
紗季は少し気分が悪かった。知らない子が自分の友達ぶって正人に話しかけている。
耳打ちする。
「ごめん、君の名前は紗季から聞いたことないや。」
演技でなく、本当にめんどくさそうに相手をする。紗季はなんだか気が晴れた。
「紗季の彼氏?」
何人かやり過ごしていると、本当に仲の良かった子が話しかけて来た。
「私、麻実って言うんだけど、紗季に彼氏いるなんて聞いてない。」
耳打ちされたことを踏まえて上手に話す。
「俺は聞いてるよ。カラオケでよくチャモ歌う子でしょ?」
チャモは数年前に解散したガールズバンドだ。
「嬉しくて泣きそう。」
そう言う麻実はすでに泣いていた。
十年来の友と会ったかのように、それぞれバラバラの思い出話をする二人に挟まれて三十分、そろそろ正人は解放されたい。
「ところで、高富先生って紗季に対してどんな人だったの?」
第三者からの印象が聞きたくて、間が開いた所を見計らって話を変えた。
「やっぱりそこ気になるよね。彼氏だったら特に。」
麻実の目と唇が薄く硬くなった。
「あいつ、紗季にはいつも特別な態度だったよ。紗季も少しウザがってた。思い出したら腹が立つ。」
「やっぱり…」
「俺は気に掛けてませんがって顔してるんだけど、あからさまに好意ありそうな態度しやがって。きっとあいつにひどい嫌がらせされたんだ。学校もうやむやにしてる!」
麻実は人目も気にせず、大きな目で大きな声をだした。学校に来た印象からも、紗季は人から反感を買いそうなタイプではなさそうだ。
正人は高富先生の帰宅にあわせられるように、その後も適度にいろいろな友達と思い出話をして歩く。
高富先生の帰宅を付けるために。
正人と紗季は最寄りの駅まで来た。紗季は定期をのぞき込んで駅名を伝える。
とりあえず家までついていったが何も起きず、遅くなるし、今日はもう帰ることにした。
「なぁ、紗季。高富の家でいろいろ情報集めたらすぐ解決するじゃないか?」
紗季は無言でついて帰る。
「なんだよ、解決したくないのかよ。」
「怖い…」
初めて見た顔だったので、それ以上何も言わなかった。
「腹減ったなー、紗季、先にご飯を見に行って教えてくれよ。」
「つまらない。」
「っち。」
「え?本気の舌打ち?ウケると思ったのが怖い。」
怖いとか、自分の事なんだと思っているんだと言いそうになった。やめた。
正人は電車代が勿体ないので、自転車で高富の家の近くまでたまに行っている。
学校が終わってから暇だったので今日も紗季と様子を見に行った。
知らない制服の女の子が家に入っていく。正人たちから顔は良く見えない。
「嘘だろ、たぶん高校生だ。あいつもう三十超えてんだろ。紗季、見てきてよ。」
「絶対嫌だ、待つのもいや。気持ち悪い、すぐ帰ろ。」
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「見に行くなんて死んだ方がまし。」
「なんの冗談だよ…」
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