箱庭の魔王様は最強無敵でバトル好きだけど配下の力で破滅の勇者を倒したい!

ヒィッツカラルド

文字の大きさ
19 / 41

19・色の見えかた

しおりを挟む
 半裸の俺はコボルト娘であるハートジャックの案内で森の中を歩いていた。俺、キルル、ハートジャックの三名で森林を進む。
 この三名で人間は一人も居ない。
 俺は魔族でキルルはゴーストだ。ハートジャックはコボルトだからな。
 
 そして、そのハートジャックの年齢は5歳らしい。まだピチピチのギャルなのだ。人間ならば幼稚園児だろう。

 コボルトと言うモンスターは幼少期が短いらしく、産まれてから1年も経つと体が大人となり、その後は5歳で成人を遂げて、20歳には老後に入るらしい。大体の寿命は25歳前後らしいのだ。故に何とも短命種である。

 しかし、現在のコボルトたちは種族名が俺から分け与えられた鮮血で進化しでいる。ランクアップしたのである。今はハイコボルトだ。もしかしたら寿命も延びているかも知れない。

 そんな事を話しながら俺たち三人は森の中を進んでいた。現在のところ俺たち三名でゴブリンの住み家を訪ねに行くところであった。森の裏山にある古びた遺跡にだ。

 目的は、ゴブリンたちを魔王軍に勧誘するためである。
 おそらく平和的に勧誘が進むとは思ってもいない。むしろ平和的に話が進まないほうが俺的には楽しそうだと思っている。
 愉快に越したことはないのだ。俺向きの展開を期待している。
 とにかく俺的には暴れたいのが本心だった。
 だって、まだまだワンパクな年頃なんだもの。力が体から溢れ出て来て、あり余っているのだ。それを爆発させたい。てへぺろ☆

 それはさて置いてだ――。

 右側に小さな高い山が見えていて、その山を回り込むように俺たちは森林を進んでいた。
 鉈を振るいながら前を進むハイコボルトのハートジャックに俺は質問する。

「ハートジャック、ゴブリンの住み家まで、あとどのぐらいで到着するんだ?」

 ハートジャックが首だけで振り返ると鉈を振るいながら俺に答えた。

「古びた遺跡までは、もう少しで到着しますよ~」

「分かった、もう少しだな」

 ハートジャックの言葉を信頼している俺はひたすら彼女の後ろに続く。そんな感じで俺たちが森の中を進んでいると、キルルが俺に話し掛けてきた。

『あの~、魔王様……』

「なんだ、キルル?」

 俺が振り返り後ろを見ると、フワフワと浮きながら付いてきていたキルルが可愛らしい口調で話し掛けてくる。

『あのですね、魔王様……』

 キルルは前を歩くハートジャックの背中を見詰めながら何やら考え込んでいた。言葉をどう紡ごうか悩んでいるようである。

「うぬぬ、キルル。ハートジャックの背中に何か付いているのか。尻尾にウ◯コでもこびり付いてるのかな?」

 俺もハートジャックの背中を眺めて見たが変わったところはない。毛並みは華麗だし尻尾もフカフカそうだ。
 尻尾にもウ◯コなんて付いていない。なんの変哲も無いハイコボルトである。

『いえ、あのですね……』

 キルルの言葉は何か歯切れが悪い言いようだった。それが気になる。

「はっきり言えよ、キルル。どうかしたのか?」

『あのですね。色が変わったのですよ。ハートジャックさんの……』

「ハートジャックの色が変わった?」

 またなんだか可笑しなことを言い出したよ、この僕っ子幽霊少女はさ。ちょっと天然臭いところがあるから仕方がないか。
 まあ、話は聞いてやるよ。

「なんの色が変わったんだ。ハートジャックはモフモフだから肌色なんて見えないぞ。毛並みでも変わったのか?」

『毛並みとか肌色じゃあなくて、オーラの色が変わったんですよ』

「オーラの色?」

 オーラとは、なんだろう?

「オーラとは気配見たいなものだろうか?」

『はい……』

「お前はオーラが見えるのか?」

『はい、左目のオッドアイで見ると、人や動物、それに魔物の色がオーラとなって見えるんですよ』

「変わったオッドアイだな。そもそもオーラが見えるから目の色が違うのか?」

『その辺は詳しく分かりませんが、オーラの違いで人の特性とかが分かるんですよ、僕には』

「へぇ~、便利だな」

 これが噂に名高い魔眼って奴だろうか。
 なんかキルルの奴、良いもん持ってやがるな。俺も何か魔眼が欲しいな。目からビームが出たら格好良いだろうさ。

「それでお前にはどう見えているんだ?」

『それでですね、ハートジャックさんの色は狩人のカラーなんですよね』

「狩人?」

 また、具体的なことを言い出したな。ちょっと話が飛んでやがる。

「狩人って、どう言うことだ。それが色で分かるのか?」

『はい、狩人のカラーです』

「キルルは色で職業が分かるのか?」

『最初に森で出合ったときのハートジャックさんは、魔物の色で真っ黒だったんですが、魔王様の鮮血を舐めてからは色が薄らいで無色に変わって、更に時間が過ぎたら狩人の色に染まりだしたんですよ』

「時間が過ぎてから判別ができるようになったのかな?」

『はい……』

「じゃあ、村のコボルト連中も真っ黒から無色に変わっていたのか?」

『はい、僕にはそう見えてました』

「それが時間が過ぎたら職業の色が見え始めたと?」

『職業の色と言うよりも、スキルの色と言ったほうが明確でしょうかね』

「スキルの色だと?」

『はい、そうなんですよ。こんなの初めてです。こんなに短時間で生き物のカラーが次々変化するなんて初めて見ました。普通は長い年月を掛けて技術が磨かれてカラーが色付くのが一般的なんですけどね』

 こいつ、もしかして職業の鑑定スキル持ちなんじゃあねえのか。いや、スキルの鑑定かな?
 この世界のオッドアイって、やっぱり魔眼の一種なんじゃねえの。
 この推測は当たっているかもしれんぞ。

「じゃあキルル。キングたちのところに戻ったら、もう一度他の連中もオッドアイで見てみてくれないか。もしかしたら、他の連中も変化があるかも知れないからよ」

『はい、分かりました!』

 キルルは明るく可愛く微笑み返した。

「ところでキルル。俺は何色に見えるんだ?」

『魔王様は虹色です』

「虹色だと、それはまた派手だな」

『僕も最初に見た時はド派手だと思いましたよ。でも、魔王様が魔王様だと聞いて直ぐに納得出来ました。虹色はSSRカラーなんだな~ってね』

「なるほど、俺はスーパーレアなんだな……」

 俺とキルルがそんな話をしていると突然にハートジャックが足を止めてしゃがみ込んだ。ハートジャックは俺やキルルにも身を屈めろと手で合図を送って来る。

 俺はハートジャックの指示に従い身を屈めて気配を消した。
 ハートジャックは上を向いて鼻をヒクヒクさせている。犬の嗅覚で臭いを探っているのだろう。

「どうした、ハートジャック?」

 空を見上げたままハートジャックが答える。

「ゴブリンの臭いが風に乗って漂って来ます~。ですが、ゴブリンの遺跡までは、まだ距離があるはずですから~、おそらく巡回のゴブリンではないでしょうかね~」

 臭いだけで、そこまで分かるとはハイコボルトの嗅覚も舐めたもんでもないな。
 もしかして警察犬並みなのかな?
 何せ頭はシベリアンハスキーだもの。てか、これも狩人の能力なのだろうか?

 俺はハートジャックの背中に向かって訊いてみた。

「どっちにゴブリンたちは居るんだ?」

 ハートジャックは指で森の奥を指しながら答えた。

「私の前方20メートルほど先を右から左に移動中ですね~」

「なるほど、結構近いな」

 それじゃあゴブリンとのファーストコンタクトは俺の輝かしい奇襲からスタートしちゃおうかな。
 まずは奇襲で度肝を抜かせて、それから続いて本体を襲撃だ。
 プラン的にはコボルトと同じだな。
 パターンは単純だが、まだ二回目だもの、まあ、いいだろう。マンネリ化はしていないはず。

 俺はハートジャックの肩に手を乗せると彼女に言った。

「ハートジャック、お前はあとからついて来い。俺はゴブリンを襲って驚かせてくるからよ」

 俺は悪ガキっぽく微笑んだ。
 するとハートジャックも嫌らしく微笑み返す。

「私のときと同じパターンですね~!」

「ああ、そうだよ……」

 こいつ、状況の把握が的確だな……。
 ちょっと悔しさを感じますがな。
 ワンパターンだと言われているような気がしてならない。

「分かりました~。私は後ろから慌てるゴブリンを眺めながら微笑ましく見守っていますよ~!」

「おまえ、いい性格してるな……」

「そうですかぁ~?」

 ハートジャックはハアハア言いながら微笑んでいた。尻尾をバタバタと振ってやがる。こいつもテンションが上がってるな~。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

処理中です...