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19【人それぞれ】
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スマートで魅惑的な足を組みながらミザリー姉さんが加護の説明を終えた。ショートヘアーを掻き上げる。
「まあ、だいたいこんな感じかな」
「なるほどね~。加護って言ってもいろいろとあるんだな~」
全裸の俺はジョッキでエールを煽りながら酒場の天井を眺める。すると俺の肩に太い腕を回してきたマースルが言ってきた。
「どうだいサブローのにーちゃん。あんたの加護も正式に神官様に見てもらったらどうよ~」
「正式に見てもらうって?」
「そうだよ。だってサブローのにーちゃんは加護を鑑定してもらった事がないんだろ。それだと細かい能力まで分からないだろうが。それに加護のレアリティーも判明するぞ」
「まあ、確かに俺の加護は全裸でパワーアップすること以外は分かってないからな」
それよりもだ……。
俺は少し不機嫌な口調で述べた。
「ところで、そのサブローのにーちゃんってのは何だよ。俺の事を舐めてるのか、マースル」
するとマースルは厳つい顔をキョトンとさせながら返してきた。
「いや、舐めてなんてないぞ……」
「いやいや、ぜってー舐めてるだろ」
「普通は歳下が歳上を立てるのは礼儀だろ……。あんたの国だと違うのか?」
「えっ、お前は何歳なんだ?」
「半年前に十五歳になったばかりだ」
「うそぉ~~ん……」
俺は十七歳である。まさかこいつのほうが俺より歳下だとは思いもしなかった。これだけ厳ついのに俺よりも歳下だなんて反則だろう。世界は何かを間違っていると思う。
俺はマースルの太い腕を肩から除けると巨漢の筋肉男と膝を突き合わせて向かい合う。全裸のまま背筋を正しながら問うた。
「本当に十五歳なの?」
「おうよ」
「俺が十七歳なのに?」
「おうよ」
「その身長で?」
「おうよ」
「その筋肉で?」
「おうよ」
「そのブーメランパンツで?」
「それは関係無い」
「なんでそんなに老け顔なんだよ……」
「キンニッカー家の血筋かな。そうとしか言えん。とても大人びているだろ。兄貴たち二人も強面だぞ」
ちょっとビックリである。この筋肉巨人が俺より二つも歳下だとは予想外であった。
外国人が日本人より老けて見られるとは言われているが、ここまで差があるとは思いもしなかった。
ちなみにこれは外国人差別ではない。個人的な感想だから外人の方々は怒らないでもらいたい。だから俺を嫌いになっても作品は嫌いにならないでくださいッネ。
「ところでミザリー姉さんの加護ってどんなのなのさ」
俺がミザリー姉さんに問うと彼女は腰のベルトから数本のナイフを取り出して可憐にお手玉を始めた。
六本のナイフが宙を舞う。とても器用に見えた。流石は手先に優れた盗賊職である。
「あたしの加護はね~」
言うや否やミザリー姉さんはお手玉で回転していたナイフの一本を前に飛ばした。お手玉しながら一本だけ投擲したのだ。
そして、投げられたナイフはオッサン神官が飲んでいた木製ジョッキに突き刺さった。ナイス命中である。
距離にして8メートルぐらい離れたところで一人寂しく酒を煽っていたオッサン神官はエールの泡を吹いて驚く。
「な、何するんだよ、ミザリー!」
怒るオッサン神官を無視してミザリー姉さんは俺にウィンクを飛ばしながら言った。
「私の加護は投擲ナイフの加護よ。アンコモンで、投げたナイフが狙ったところに100パーセント刺さるっていう加護なの~」
「それは凄いな」
「でも、射程距離は15メートル程度までだけれどね。まあ、戦闘では中距離戦で活躍できる加護だから冒険者としては役に立っている加護なんだよね。も~、本当にラッキーって感じよ」
「アンコモンの中でも当たりな加護なんじゃねえの」
「ええ、そうよ。お陰で冒険中に何度かピンチを救ってもらってるわ~」
俺は身体を捩りながら背後で酒を飲んでいるオッサン神官にも持ち加護を訊いてみた。
「ちなみにオッサンの加護は、どんな感じなん?」
「オッサンって呼ぶな。ラッセルと呼べよな。それにまだ俺は三十代だぞ」
三十代ならば完全にオッサンだと思う。
「でぇ、ラッセルのオッサン。あんたの加護は?」
「眼光の加護だ……」
ラッセルのオッサンは小声で詰まらなそうに答える。その様子は口を尖らせ不貞腐れているようだった。自分の加護に不満を感じているっぽい。
でも、眼光の名が凄そうに聞こえる。どのような加護なのか気になった。
「眼光の加護って、どんな凄い加護なのさ?」
「凄くもなんともないコモンの加護だ。すげ~ポピュラーな加護で、ただ瞳が光るだけだ……」
そう言うとラッセルのオッサンは両眼を眩しく光らせた。車のライトがハイビーム状態に光っているようで眩しい。なんだか昔のロボットアニメのキャラっぽくて、なんともダサい。
「これでも暗い時には便利な加護だぞ。光が届く範囲で闇でも見通せるし、周りの連中の明かりにもなる」
「つまんね~……」
「つまんないとか言うな。傷付くだろ!」
続いて魔法使いの爺さんにも訊いてみた。
「ジジイ、あんたの加護は?」
「ジジイって呼ぶな、小僧!」
少し起こりながら魔法使いの爺さんはスタッフの先で俺の丸出しなお尻を突っついてきた。切り株の先で尻肉をグリグリしてくる。
「ジジイと呼べないなら、なんて呼べばいい?」
「マジシャスじゃ。それと儂の加護は地脈の加護だ」
「なんだか凄そうな名前だな」
「地脈から魔力を吸い上げ自分の魔力として使える加護じゃわい。だが、魔力に変換できる量は僅かだがのぉ。だから普通の魔法使いよりも若干ながら魔力量が多いだけだわい」
「それでも凄いんじゃね。魔法使いっぽいぞ」
「そ、そうかのぉ~。ほっほっほっ」
なんか長い髭を撫でながら一人で照れていやがる。もしかして、この爺さんは煽てに弱いタイプなのかな。歳を食ってるのに単純だな~。たぶん浅いところで人生を生きてきたのだろう。
「じゃあ、お前らは?」
今度は三つ子の兄弟に訊いてみた。しかし、三兄弟は全員酔い潰れている。鼻提灯を膨らませながら鼾をかいていやがった。
「駄目だな、こりゃあ……。完全に酔い潰れていやがるぞ」
「こいつらサンバル兄弟は酒に弱いからね~」
言いながらミザリー姉さんが三兄弟の懐を順々に探っていた。そして、サイフを見つけ出すと通貨を抜き取る。
「流石は盗賊だ……」
「安心しなさい。今回の飲み代を払うだけだからさ」
「何をどうしたら安心出来るのだろうか……」
俺の心配をよそにミザリー姉さんは三兄弟から盗み取ったお金で酒代を払う。仕方ないので俺たちもそれに乗っかった。今回の酒代は三兄弟の奢りとなる。
「まあ、だいたいこんな感じかな」
「なるほどね~。加護って言ってもいろいろとあるんだな~」
全裸の俺はジョッキでエールを煽りながら酒場の天井を眺める。すると俺の肩に太い腕を回してきたマースルが言ってきた。
「どうだいサブローのにーちゃん。あんたの加護も正式に神官様に見てもらったらどうよ~」
「正式に見てもらうって?」
「そうだよ。だってサブローのにーちゃんは加護を鑑定してもらった事がないんだろ。それだと細かい能力まで分からないだろうが。それに加護のレアリティーも判明するぞ」
「まあ、確かに俺の加護は全裸でパワーアップすること以外は分かってないからな」
それよりもだ……。
俺は少し不機嫌な口調で述べた。
「ところで、そのサブローのにーちゃんってのは何だよ。俺の事を舐めてるのか、マースル」
するとマースルは厳つい顔をキョトンとさせながら返してきた。
「いや、舐めてなんてないぞ……」
「いやいや、ぜってー舐めてるだろ」
「普通は歳下が歳上を立てるのは礼儀だろ……。あんたの国だと違うのか?」
「えっ、お前は何歳なんだ?」
「半年前に十五歳になったばかりだ」
「うそぉ~~ん……」
俺は十七歳である。まさかこいつのほうが俺より歳下だとは思いもしなかった。これだけ厳ついのに俺よりも歳下だなんて反則だろう。世界は何かを間違っていると思う。
俺はマースルの太い腕を肩から除けると巨漢の筋肉男と膝を突き合わせて向かい合う。全裸のまま背筋を正しながら問うた。
「本当に十五歳なの?」
「おうよ」
「俺が十七歳なのに?」
「おうよ」
「その身長で?」
「おうよ」
「その筋肉で?」
「おうよ」
「そのブーメランパンツで?」
「それは関係無い」
「なんでそんなに老け顔なんだよ……」
「キンニッカー家の血筋かな。そうとしか言えん。とても大人びているだろ。兄貴たち二人も強面だぞ」
ちょっとビックリである。この筋肉巨人が俺より二つも歳下だとは予想外であった。
外国人が日本人より老けて見られるとは言われているが、ここまで差があるとは思いもしなかった。
ちなみにこれは外国人差別ではない。個人的な感想だから外人の方々は怒らないでもらいたい。だから俺を嫌いになっても作品は嫌いにならないでくださいッネ。
「ところでミザリー姉さんの加護ってどんなのなのさ」
俺がミザリー姉さんに問うと彼女は腰のベルトから数本のナイフを取り出して可憐にお手玉を始めた。
六本のナイフが宙を舞う。とても器用に見えた。流石は手先に優れた盗賊職である。
「あたしの加護はね~」
言うや否やミザリー姉さんはお手玉で回転していたナイフの一本を前に飛ばした。お手玉しながら一本だけ投擲したのだ。
そして、投げられたナイフはオッサン神官が飲んでいた木製ジョッキに突き刺さった。ナイス命中である。
距離にして8メートルぐらい離れたところで一人寂しく酒を煽っていたオッサン神官はエールの泡を吹いて驚く。
「な、何するんだよ、ミザリー!」
怒るオッサン神官を無視してミザリー姉さんは俺にウィンクを飛ばしながら言った。
「私の加護は投擲ナイフの加護よ。アンコモンで、投げたナイフが狙ったところに100パーセント刺さるっていう加護なの~」
「それは凄いな」
「でも、射程距離は15メートル程度までだけれどね。まあ、戦闘では中距離戦で活躍できる加護だから冒険者としては役に立っている加護なんだよね。も~、本当にラッキーって感じよ」
「アンコモンの中でも当たりな加護なんじゃねえの」
「ええ、そうよ。お陰で冒険中に何度かピンチを救ってもらってるわ~」
俺は身体を捩りながら背後で酒を飲んでいるオッサン神官にも持ち加護を訊いてみた。
「ちなみにオッサンの加護は、どんな感じなん?」
「オッサンって呼ぶな。ラッセルと呼べよな。それにまだ俺は三十代だぞ」
三十代ならば完全にオッサンだと思う。
「でぇ、ラッセルのオッサン。あんたの加護は?」
「眼光の加護だ……」
ラッセルのオッサンは小声で詰まらなそうに答える。その様子は口を尖らせ不貞腐れているようだった。自分の加護に不満を感じているっぽい。
でも、眼光の名が凄そうに聞こえる。どのような加護なのか気になった。
「眼光の加護って、どんな凄い加護なのさ?」
「凄くもなんともないコモンの加護だ。すげ~ポピュラーな加護で、ただ瞳が光るだけだ……」
そう言うとラッセルのオッサンは両眼を眩しく光らせた。車のライトがハイビーム状態に光っているようで眩しい。なんだか昔のロボットアニメのキャラっぽくて、なんともダサい。
「これでも暗い時には便利な加護だぞ。光が届く範囲で闇でも見通せるし、周りの連中の明かりにもなる」
「つまんね~……」
「つまんないとか言うな。傷付くだろ!」
続いて魔法使いの爺さんにも訊いてみた。
「ジジイ、あんたの加護は?」
「ジジイって呼ぶな、小僧!」
少し起こりながら魔法使いの爺さんはスタッフの先で俺の丸出しなお尻を突っついてきた。切り株の先で尻肉をグリグリしてくる。
「ジジイと呼べないなら、なんて呼べばいい?」
「マジシャスじゃ。それと儂の加護は地脈の加護だ」
「なんだか凄そうな名前だな」
「地脈から魔力を吸い上げ自分の魔力として使える加護じゃわい。だが、魔力に変換できる量は僅かだがのぉ。だから普通の魔法使いよりも若干ながら魔力量が多いだけだわい」
「それでも凄いんじゃね。魔法使いっぽいぞ」
「そ、そうかのぉ~。ほっほっほっ」
なんか長い髭を撫でながら一人で照れていやがる。もしかして、この爺さんは煽てに弱いタイプなのかな。歳を食ってるのに単純だな~。たぶん浅いところで人生を生きてきたのだろう。
「じゃあ、お前らは?」
今度は三つ子の兄弟に訊いてみた。しかし、三兄弟は全員酔い潰れている。鼻提灯を膨らませながら鼾をかいていやがった。
「駄目だな、こりゃあ……。完全に酔い潰れていやがるぞ」
「こいつらサンバル兄弟は酒に弱いからね~」
言いながらミザリー姉さんが三兄弟の懐を順々に探っていた。そして、サイフを見つけ出すと通貨を抜き取る。
「流石は盗賊だ……」
「安心しなさい。今回の飲み代を払うだけだからさ」
「何をどうしたら安心出来るのだろうか……」
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