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25【ヒャッハー】
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まだ、時は昼前。
サブローが全裸で町を出て人食い熊が生息している森を目指していると、その変態的な姿を丘の上から望遠鏡で監視している者が居た。
高台の丘を突風が吹き撫でる。
「ほほう、あいつが全裸でカンニバルベアをぶっ倒したって言う小僧っ子か」
望遠鏡を覗く男は独眼。一つしか残っていない瞳で望遠鏡を覗き、潰れた左目には黒いアイパッチを着けていた。
年の頃は四十代の中年。引き締まったアスリート系の身体つきには軽装の革鎧を纏っている。左の腰にロングソード、右の腰にショートソードを下げていた。
「くっくっくっくっ」
無精髭を顎に蓄え長い髪が風に煽られ靡いている。目付き、渋い声、風貌、体格からして野盗の類だろう。
しかも何人もの人間を殺してきているだろう殺気を纏っていた。ニヒルな表情から殺人鬼特有の空気を醸し出している。
その独眼の男の背後に三人の野盗が正座をさせられていた。三人は俯き震えている。
以前サブローと出会った三人の追い剥ぎだ。彼らは暴力を振るわれたのか顔にいくつもの痣を作っている。しょぼくれながら正座を耐えていた。
顔を腫らしながら正座をさせられている三人に背を向けたまま独眼の男が言う。
「本当かよ。裸の子供が一人でカンニバルベアを狩れるなんてことがあるものなのか……。俺的には信じがたい話だぜ」
「ひゃっはっはっはっ。ボスの言う事は違いねえ」
正座をさせられている三人の背後で数人の子分たちが賑やかに笑っている。その数は三十人は居るだろう。しかも一人一人が馬に騎乗状態である。武装も整っていた。
こいつらは野盗の集団のようだ。しかも三十人を越す大所帯で一人一人に馬すらあてがわれている。それはかなりの戦闘力を有した野盗だと言う証明だ。一個小隊に近い戦力である。
その集団の後に馬車がある。その馬車の荷台は檻になっていた。中には子供たちが怯えるように膝を抱えて座っている。奴隷だろう。
檻の中の子供たちは怯え切り、絶望して、希望を失った表情で沈み込んでいる。自分たちの運命を悟っているのだろう。もう泣く元気すらないようだ。
「ふっ」
鼻で笑った独眼の男が述べる。
「今現在シルバームジは以前の戦争で疲弊している。兵士だってまともに揃っちゃあ居ねえ」
それ、即ち……。
「治安が悪い今が稼ぎ時だ。今なら人攫いだって容易い。そこそこ健康そうで労働力になるだろう子供を狩って、隣の国で売り捌く。マジで儲け時だぜ。ボーナスタイムで確変中だぜぇ~」
「ボス、違いねえ!」
独眼の男が満面の笑みで述べる。
「じゃんじゃん稼ぐぞ。バリバリ働いちゃうぞ。狩って狩って狩りまくれ!」
「「「おうっ!」」」
望遠鏡を畳んだ独眼の男が自分の馬に跨った。そして、部下たちに凄んだ声で号令を掛ける。
「野郎ども、あの小僧っ子を捕まえて売り捌くぞ。変態は変態に高額で売れるからな。きっと良い売り物になるぜ!」
「「「おぉぉおおおおおお!!!!」」」
「あれなら商館でも当議場でも使えるだろうさ」
「行くぞ、ヒャッハー!!」
すると馬上の子分たちが掛け声に応えると馬を走り出させる。三十頭の馬が砂埃を立てて坂道を走り下りて行った。
「行けぇ、野郎ども!」
「ヒャッハー!」
「狩りの時間だぜ!」
「「「おぉぉおおおおおお!!!!」」」
騎乗する野盗たちが武器を翳して丘を駆け下りる。目指すは全裸の小僧っ子。
野盗たちの眼差しは狂気に満ちていた。丸で獣の眼光である。それは、正常な人間の表情ではなかった。
馬を走らせリーダーの独眼男が叫んだ。
「あのカスどもの話が少しでも本当ならば、あの小僧っ子は上物の商品だ。高く売れるぜ~。ぜってぇ~に捕まえるぞ!」
「「「ヒャッハー!!」」」
カスどもとは三人の追い剥ぎたちだろう。
だが、今攻めて来ているのは追い剥ぎを上回る奴隷狩りの軍団。悪党のレベルが違う。武力が違う。狂気度が違う。何より人数が違い過ぎる。
そのような悪の一団が三十人と言う群れを成してサブローに駆け迫っていた。
轟く地鳴り。丘の上から駆け迫る一団を遠目に気付いたサブローが片手で日傘を作りながら呟いた。
「あれ~、なんか沢山来るな~」
全裸の少年は、奴隷狩りの軍団たちを呑気に待ち受ける。片方のキャンタマをボリボリと掻きむしっていた。
サブローが全裸で町を出て人食い熊が生息している森を目指していると、その変態的な姿を丘の上から望遠鏡で監視している者が居た。
高台の丘を突風が吹き撫でる。
「ほほう、あいつが全裸でカンニバルベアをぶっ倒したって言う小僧っ子か」
望遠鏡を覗く男は独眼。一つしか残っていない瞳で望遠鏡を覗き、潰れた左目には黒いアイパッチを着けていた。
年の頃は四十代の中年。引き締まったアスリート系の身体つきには軽装の革鎧を纏っている。左の腰にロングソード、右の腰にショートソードを下げていた。
「くっくっくっくっ」
無精髭を顎に蓄え長い髪が風に煽られ靡いている。目付き、渋い声、風貌、体格からして野盗の類だろう。
しかも何人もの人間を殺してきているだろう殺気を纏っていた。ニヒルな表情から殺人鬼特有の空気を醸し出している。
その独眼の男の背後に三人の野盗が正座をさせられていた。三人は俯き震えている。
以前サブローと出会った三人の追い剥ぎだ。彼らは暴力を振るわれたのか顔にいくつもの痣を作っている。しょぼくれながら正座を耐えていた。
顔を腫らしながら正座をさせられている三人に背を向けたまま独眼の男が言う。
「本当かよ。裸の子供が一人でカンニバルベアを狩れるなんてことがあるものなのか……。俺的には信じがたい話だぜ」
「ひゃっはっはっはっ。ボスの言う事は違いねえ」
正座をさせられている三人の背後で数人の子分たちが賑やかに笑っている。その数は三十人は居るだろう。しかも一人一人が馬に騎乗状態である。武装も整っていた。
こいつらは野盗の集団のようだ。しかも三十人を越す大所帯で一人一人に馬すらあてがわれている。それはかなりの戦闘力を有した野盗だと言う証明だ。一個小隊に近い戦力である。
その集団の後に馬車がある。その馬車の荷台は檻になっていた。中には子供たちが怯えるように膝を抱えて座っている。奴隷だろう。
檻の中の子供たちは怯え切り、絶望して、希望を失った表情で沈み込んでいる。自分たちの運命を悟っているのだろう。もう泣く元気すらないようだ。
「ふっ」
鼻で笑った独眼の男が述べる。
「今現在シルバームジは以前の戦争で疲弊している。兵士だってまともに揃っちゃあ居ねえ」
それ、即ち……。
「治安が悪い今が稼ぎ時だ。今なら人攫いだって容易い。そこそこ健康そうで労働力になるだろう子供を狩って、隣の国で売り捌く。マジで儲け時だぜ。ボーナスタイムで確変中だぜぇ~」
「ボス、違いねえ!」
独眼の男が満面の笑みで述べる。
「じゃんじゃん稼ぐぞ。バリバリ働いちゃうぞ。狩って狩って狩りまくれ!」
「「「おうっ!」」」
望遠鏡を畳んだ独眼の男が自分の馬に跨った。そして、部下たちに凄んだ声で号令を掛ける。
「野郎ども、あの小僧っ子を捕まえて売り捌くぞ。変態は変態に高額で売れるからな。きっと良い売り物になるぜ!」
「「「おぉぉおおおおおお!!!!」」」
「あれなら商館でも当議場でも使えるだろうさ」
「行くぞ、ヒャッハー!!」
すると馬上の子分たちが掛け声に応えると馬を走り出させる。三十頭の馬が砂埃を立てて坂道を走り下りて行った。
「行けぇ、野郎ども!」
「ヒャッハー!」
「狩りの時間だぜ!」
「「「おぉぉおおおおおお!!!!」」」
騎乗する野盗たちが武器を翳して丘を駆け下りる。目指すは全裸の小僧っ子。
野盗たちの眼差しは狂気に満ちていた。丸で獣の眼光である。それは、正常な人間の表情ではなかった。
馬を走らせリーダーの独眼男が叫んだ。
「あのカスどもの話が少しでも本当ならば、あの小僧っ子は上物の商品だ。高く売れるぜ~。ぜってぇ~に捕まえるぞ!」
「「「ヒャッハー!!」」」
カスどもとは三人の追い剥ぎたちだろう。
だが、今攻めて来ているのは追い剥ぎを上回る奴隷狩りの軍団。悪党のレベルが違う。武力が違う。狂気度が違う。何より人数が違い過ぎる。
そのような悪の一団が三十人と言う群れを成してサブローに駆け迫っていた。
轟く地鳴り。丘の上から駆け迫る一団を遠目に気付いたサブローが片手で日傘を作りながら呟いた。
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