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【第五章】閉鎖ダンジョン前編
5-20【地上に帰還】
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『それでは、アスランさん。これからも頑張ってくださいね』
「テイアー、送ってくれて有り難うな~」
俺はテイアーにゲートマジックで螺旋階段まで送ってもらうこととなる。
二人の立っている間に光輝く四角い板が現れた。
おそらく光の扉なのだろう。
人間の魔法使いレベルでは、ほとんどの術者が到達できない高度な魔法だと言っていた。
ゲートマジックとは高レベルジャンルの魔法なのだろう。
流石はドラゴンである。
そして俺が光の扉を潜ればそこは見覚えのある螺旋階段の前だった。
ここから上に登れば地上への出口である。
『頑張ってね~』
「テイアーも達者でな~」
可愛らしく手を振る貧乳美女に見送られて二日目の冒険が終了する。
ゲートマジックの明かりが消えると俺は螺旋階段をコツコツと登って出入り口を目指した。
なんだか結構と疲れたな。
二日目の閉鎖ダンジョン探索は過酷だったもんね。
思いっきり死にかけたしさ。
いや、死んだのかな?
まあ、どちらでもいいか。
何せ今は生きているのだから。
でも、過酷だった割には報酬が少ない。
レイスたちと戦って勝ったが、レイスの荷物を漁っている暇はなかったから、収入はゼロに等しい。
その他にも語られてないこともあったが、ほとんど収入には繋がっていないのだ。
見付けたのは宝刀のダガーと大きなダイヤだけだ。
これらはマジックアイテムじゃあなかったからワイズマンに売り付けて終わりだろう。
まあ、まだまだ冒険は二日目が終わったばかりだから、焦る必要もなかろうて。
まだまだ稼ぐチャンスは幾らでもやって来るはずだ。
それよりもだ──。
今後は死にかけないように、マジで気を付けなければなるまい。
何度も何度も幸運的にテイアーが助けてくれるとは限らないからな。
そんな反省会を心中で行いながら、俺が螺旋階段を登りきって出入り口の前に到着すると、何故か鉄扉がガッチリと閉じていた。
出口が閉鎖されてる?
しかも施錠されてるぞ、
なんで!?
なんで、閉めてるの!?
俺は慌てて扉を乱打した。
しばらくすると覗き窓が開いて、ピイターさんが顔を出してこちらを確認する。
「あれ、アスランくんじゃないか~。生きてたんだ~?」
えっ?
何よ、その言葉は?
死んでたほうが良かったのか?
ガチャガチャと鍵を外す音の後に扉が開いた。
「いゃ~、良かったね、アスランく~ん。昨日は戻らなかったから、死んだのかと思ったよ~」
昨日?
なんだ、それ?
「ちょっと待ってくれ」
「なんだい?」
「俺が二日目に閉鎖ダンジョンへ入ってから何日が過ぎたんだ?」
「今はあれから二日目の夜だよ」
二日間か~。
今が夜ってことは、ほぼ三日だな。
なんだかんだで長いこと閉鎖ダンジョンに入っていたんだな。
後半は治療のためにベッドで寝ているばかりだったけれどさ。
それで時間感覚がズレてしまっていたのか。
「まあ、とにかく、早く出てよ~。上に食事の用意も済ませてあるから食べなよ~。お腹が空いているんだろ~」
「ああ、サンキュー」
俺が食堂に進むとパーカーさんとスパイダーさんも待っていた。
俺を見ると二人が椅子から飛び上がって喜んでくれる。
「うわっ、生きてたんスね~!」
「よく戻ったな、アスラン!」
歓喜のハグがウザったかったけれど、俺は甘んじて男たちのハグを受け入れた。
二人とも俺が死んだと思っていたようだな。
まあ、俺が生きてて喜んでくれているから良しとしておこう。
ほぼほぼ二日間も戻ってこなかったんだ、仕方あるまい。
ダンジョン内で野垂れ死にしたと誤解されちゃったのね。
そんな感じで、その晩は少し騒いだ。
閉鎖ダンジョン内で何があったかを三人に説明したが、テイアーのことは隠して置いた。
彼女の存在はベルセルクの爺さんの依頼もあるから伏せて置こうと考えている。
何より自分たちの足元にドラゴンが巣くってるって話は聞きたくないだろうさ。
そう、このゴモラタウンの下には閉鎖ダンジョンが広がり、更にレジェンダリードラゴンが巣くっているのだ。
それはまるで大型爆弾の上に町を作って暮らしているようなものだろう。
知らないほうが救いだと思う。
なんやかんやで消灯の時間は直ぐに来た。
俺たちは各部屋のベッドに潜ると眠りに付く。
それでも結構俺も疲れていたのか直ぐに朝が来た。
四人で朝食を食べているとポラリスがやって来てキンキン声で騒いでいたが、俺は無情にも無視してやった。
まあ、尚更ポラリスの怒りに燃料を投下した形になったが関係ないだろう。
俺はポラリスを無視しながら城を出た。
ワイズマンのところに向かう。
ワイズマンの普段は、あの町外れの屋敷で過ごしているらしいので、そこを目指す。
「でぇ~、なんでお前が付いて来るんだよ?」
「あなたがわたくしを閉鎖ダンジョンに連れてってくれるまでですわ」
「はぁ~……」
俺は深い溜め息を吐いた。
ローブで姿を隠したポラリスが一人で俺の後ろを付いて来ている。
姫様がお忍びで城を出る。
更には野郎と二人っきりでだ。
なんたる不良プリンセスだろうか……。
「おまえ、一人で城を出ていいのかよ?」
「警護は連れていますわ」
「警護?」
俺が注意深く周囲を見てみれば、建物の陰から覗き見ている人物が何人か見えた。
「ちゃんとシークレットサービスの同行か……」
「わたくしとて何も考えてない愚か者では御座いませんわ」
「へいへい……」
それにしてもポラリスの身形は、とてもプリンセスの成りには伺えなかった。
ローブの下はスケールメイルのようだ。
武器もショートソードに変わっている。
あの重々しいジャイアントハンマーはやめたようだな。
何よりは、お姫さまなのにメイドを引き連れていなかった。
少しは理解できたのだろう。
こいつを閉鎖ダンジョンに連れていけるとしたらの条件を──。
武器や防具は、狭いところでも動けるように小型が基本。
勿論ながらメイドなんて連れていけない。
最低限のルールをわきまえていない馬鹿はダンジョンに入る権利すらないのだ。
そんなやつがダンジョンに入れば直ぐに死ぬし、仲間を危機に追いやりかねない。
その辺をちゃんと理解してもらいたい。
「でぇ、何処に行くのじゃ?」
「ワイズマンの屋敷だ」
「ワイズマンとは?」
「ゴモラタウンの商人だ」
「なるほどのぉ、貿易か?」
「そうだよ。俺も金を稼がないとならんからな。お前さんと違って税金で暮らせないからよ」
「なるほどのぉ。冒険者は税金で暮らせないか」
「ああ、暮らせないよ」
こいつは馬鹿か?
まあ所詮はお城のお姫さまってことだよな。
どこまで行っても、その辺は抜けきらないのだろう。
平和ボケってやつである。
そしてしばらく歩くと俺たちはワイズマンの屋敷に到着した。
俺が執事に面会を求めると、俺たち二人は屋敷のロビーに通される。
すると二階の廊下からワイズマンが現れた。
優雅なワイングラスを片手にマイクロビキニ姿の半裸である。
うんうん、日中から変態プレー全快中とは呑気だな。
「いゃ~~、アスランくん。お出ましだね。閉鎖ダンジョンで良いものを見付けたかい?」
上を見上げたまま口をポカーンと開けっ放しのポラリスが驚愕していた。
まあ、変態を初めて見たのだろう。
衝撃も大きかろうさ。
「よう、ワイズマン。今日も派手だな」
「いやいや、これでも地味なほうだよ。おや、今日は連れが居るのかい?」
「ああ、こちらの方は君主ベルセルク様のお孫さんのポラリス姫だ」
「お姫さま!!」
「では、ポラリスさまから一言」
ポラリスが唖然の表情から我を取り戻す。
そして、一つ咳払いの吐いた後に凛とした表情でワイズマンをピシャリと指差して述べた。
「死刑!!」
「えっ!?」
うん、ナイスな判断である。
この先が期待できますぜ。
「テイアー、送ってくれて有り難うな~」
俺はテイアーにゲートマジックで螺旋階段まで送ってもらうこととなる。
二人の立っている間に光輝く四角い板が現れた。
おそらく光の扉なのだろう。
人間の魔法使いレベルでは、ほとんどの術者が到達できない高度な魔法だと言っていた。
ゲートマジックとは高レベルジャンルの魔法なのだろう。
流石はドラゴンである。
そして俺が光の扉を潜ればそこは見覚えのある螺旋階段の前だった。
ここから上に登れば地上への出口である。
『頑張ってね~』
「テイアーも達者でな~」
可愛らしく手を振る貧乳美女に見送られて二日目の冒険が終了する。
ゲートマジックの明かりが消えると俺は螺旋階段をコツコツと登って出入り口を目指した。
なんだか結構と疲れたな。
二日目の閉鎖ダンジョン探索は過酷だったもんね。
思いっきり死にかけたしさ。
いや、死んだのかな?
まあ、どちらでもいいか。
何せ今は生きているのだから。
でも、過酷だった割には報酬が少ない。
レイスたちと戦って勝ったが、レイスの荷物を漁っている暇はなかったから、収入はゼロに等しい。
その他にも語られてないこともあったが、ほとんど収入には繋がっていないのだ。
見付けたのは宝刀のダガーと大きなダイヤだけだ。
これらはマジックアイテムじゃあなかったからワイズマンに売り付けて終わりだろう。
まあ、まだまだ冒険は二日目が終わったばかりだから、焦る必要もなかろうて。
まだまだ稼ぐチャンスは幾らでもやって来るはずだ。
それよりもだ──。
今後は死にかけないように、マジで気を付けなければなるまい。
何度も何度も幸運的にテイアーが助けてくれるとは限らないからな。
そんな反省会を心中で行いながら、俺が螺旋階段を登りきって出入り口の前に到着すると、何故か鉄扉がガッチリと閉じていた。
出口が閉鎖されてる?
しかも施錠されてるぞ、
なんで!?
なんで、閉めてるの!?
俺は慌てて扉を乱打した。
しばらくすると覗き窓が開いて、ピイターさんが顔を出してこちらを確認する。
「あれ、アスランくんじゃないか~。生きてたんだ~?」
えっ?
何よ、その言葉は?
死んでたほうが良かったのか?
ガチャガチャと鍵を外す音の後に扉が開いた。
「いゃ~、良かったね、アスランく~ん。昨日は戻らなかったから、死んだのかと思ったよ~」
昨日?
なんだ、それ?
「ちょっと待ってくれ」
「なんだい?」
「俺が二日目に閉鎖ダンジョンへ入ってから何日が過ぎたんだ?」
「今はあれから二日目の夜だよ」
二日間か~。
今が夜ってことは、ほぼ三日だな。
なんだかんだで長いこと閉鎖ダンジョンに入っていたんだな。
後半は治療のためにベッドで寝ているばかりだったけれどさ。
それで時間感覚がズレてしまっていたのか。
「まあ、とにかく、早く出てよ~。上に食事の用意も済ませてあるから食べなよ~。お腹が空いているんだろ~」
「ああ、サンキュー」
俺が食堂に進むとパーカーさんとスパイダーさんも待っていた。
俺を見ると二人が椅子から飛び上がって喜んでくれる。
「うわっ、生きてたんスね~!」
「よく戻ったな、アスラン!」
歓喜のハグがウザったかったけれど、俺は甘んじて男たちのハグを受け入れた。
二人とも俺が死んだと思っていたようだな。
まあ、俺が生きてて喜んでくれているから良しとしておこう。
ほぼほぼ二日間も戻ってこなかったんだ、仕方あるまい。
ダンジョン内で野垂れ死にしたと誤解されちゃったのね。
そんな感じで、その晩は少し騒いだ。
閉鎖ダンジョン内で何があったかを三人に説明したが、テイアーのことは隠して置いた。
彼女の存在はベルセルクの爺さんの依頼もあるから伏せて置こうと考えている。
何より自分たちの足元にドラゴンが巣くってるって話は聞きたくないだろうさ。
そう、このゴモラタウンの下には閉鎖ダンジョンが広がり、更にレジェンダリードラゴンが巣くっているのだ。
それはまるで大型爆弾の上に町を作って暮らしているようなものだろう。
知らないほうが救いだと思う。
なんやかんやで消灯の時間は直ぐに来た。
俺たちは各部屋のベッドに潜ると眠りに付く。
それでも結構俺も疲れていたのか直ぐに朝が来た。
四人で朝食を食べているとポラリスがやって来てキンキン声で騒いでいたが、俺は無情にも無視してやった。
まあ、尚更ポラリスの怒りに燃料を投下した形になったが関係ないだろう。
俺はポラリスを無視しながら城を出た。
ワイズマンのところに向かう。
ワイズマンの普段は、あの町外れの屋敷で過ごしているらしいので、そこを目指す。
「でぇ~、なんでお前が付いて来るんだよ?」
「あなたがわたくしを閉鎖ダンジョンに連れてってくれるまでですわ」
「はぁ~……」
俺は深い溜め息を吐いた。
ローブで姿を隠したポラリスが一人で俺の後ろを付いて来ている。
姫様がお忍びで城を出る。
更には野郎と二人っきりでだ。
なんたる不良プリンセスだろうか……。
「おまえ、一人で城を出ていいのかよ?」
「警護は連れていますわ」
「警護?」
俺が注意深く周囲を見てみれば、建物の陰から覗き見ている人物が何人か見えた。
「ちゃんとシークレットサービスの同行か……」
「わたくしとて何も考えてない愚か者では御座いませんわ」
「へいへい……」
それにしてもポラリスの身形は、とてもプリンセスの成りには伺えなかった。
ローブの下はスケールメイルのようだ。
武器もショートソードに変わっている。
あの重々しいジャイアントハンマーはやめたようだな。
何よりは、お姫さまなのにメイドを引き連れていなかった。
少しは理解できたのだろう。
こいつを閉鎖ダンジョンに連れていけるとしたらの条件を──。
武器や防具は、狭いところでも動けるように小型が基本。
勿論ながらメイドなんて連れていけない。
最低限のルールをわきまえていない馬鹿はダンジョンに入る権利すらないのだ。
そんなやつがダンジョンに入れば直ぐに死ぬし、仲間を危機に追いやりかねない。
その辺をちゃんと理解してもらいたい。
「でぇ、何処に行くのじゃ?」
「ワイズマンの屋敷だ」
「ワイズマンとは?」
「ゴモラタウンの商人だ」
「なるほどのぉ、貿易か?」
「そうだよ。俺も金を稼がないとならんからな。お前さんと違って税金で暮らせないからよ」
「なるほどのぉ。冒険者は税金で暮らせないか」
「ああ、暮らせないよ」
こいつは馬鹿か?
まあ所詮はお城のお姫さまってことだよな。
どこまで行っても、その辺は抜けきらないのだろう。
平和ボケってやつである。
そしてしばらく歩くと俺たちはワイズマンの屋敷に到着した。
俺が執事に面会を求めると、俺たち二人は屋敷のロビーに通される。
すると二階の廊下からワイズマンが現れた。
優雅なワイングラスを片手にマイクロビキニ姿の半裸である。
うんうん、日中から変態プレー全快中とは呑気だな。
「いゃ~~、アスランくん。お出ましだね。閉鎖ダンジョンで良いものを見付けたかい?」
上を見上げたまま口をポカーンと開けっ放しのポラリスが驚愕していた。
まあ、変態を初めて見たのだろう。
衝撃も大きかろうさ。
「よう、ワイズマン。今日も派手だな」
「いやいや、これでも地味なほうだよ。おや、今日は連れが居るのかい?」
「ああ、こちらの方は君主ベルセルク様のお孫さんのポラリス姫だ」
「お姫さま!!」
「では、ポラリスさまから一言」
ポラリスが唖然の表情から我を取り戻す。
そして、一つ咳払いの吐いた後に凛とした表情でワイズマンをピシャリと指差して述べた。
「死刑!!」
「えっ!?」
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