俺のハクスラ異世界冒険記は、ドタバタなのにスローライフ過ぎてストーリーに脈略が乏しいです。

ヒィッツカラルド

文字の大きさ
140 / 611
【第五章】閉鎖ダンジョン前編

5-24【スケルトンウォリアーの大群】

しおりを挟む
俺はドラコン幽霊のテイアーから貰った下手くそな地図を元にひたすら閉鎖ダンジョン内の迷宮を進んだ。

何千年間も生きているか知らんけど、長生きしてても絵って才能なのね。

すげー、下手糞なマップだわ。

ダンジョンのマップなのに自然の洞窟を描いているようなグニャグニャなラインである。

あのテイアーたるドラゴンの幽霊はメイジとしては超一流のようだが絵描きとしては幼児の画伯並みだ。

それが面白くって笑ってしまう。

まあ、それはさておいてだ。

まずは最短距離でテイアーの身体が眠る奥地を目指す。

テイアーの胴体を見つけ出さなければ話が進まないからな。

そして、その道中に必ず英雄クラスのアンデッドが居るはずだ。

何処かに巣くっているはずの三体の英雄アンデッド──。

出合ったら殺す。

サーチ&デストロイってやつよ!

うん、俺ってばカッコイイぜ!!

とか何とか言っている間にスケルトンの群れと遭遇しちゃったよ。

かなり数が多いな。

俺はそそくさと岩陰に隠れた。

まだ相手は俺に気付いていない。

気配消しからの潜伏スキルの成功である。

「さてさて~」

俺は周囲を再確認して作戦を立てた。

広い通路だ。

幅15メートルほどある。

長さは不明な一本道。

天井も高い。

明かりはなしだ。

俺は警戒のためにランタンで先を進んでいたからバレていない。

ランタンのシャッターを絞って明かりを小さくしていたからだ。

ランタンを足元に置いた俺が崩れた岩陰から向こうを覗けば、スケルトンたちがウヨウヨと動いている。

その数は五十体は居そうだな?

「すげ~数だな。大群だよ」

ネーム判定すると【スケルトンウォリアー】であった。

まあ、全員が武器や防具を装備しているもんね。

武装は完璧だな。

確かにスケルトンウォリアーですわ~。

それに何体かはマジックアイテムを装備しているぞ。

こりゃあ、倒さん理由がないわな。

むしろ倒してマジックアイテムを強奪したい。

でもだ──。

もう、俺のレベルならばスケルトンウォリアーぐらいなら無双出来るころだろうか?

敵の数は50体相当──。

出来そうだよね?

いやいや危ないな。

だって超大群だもん。

この前は、それで死にかけたんだ。

俺の難敵条件は、いつも大群と決まっている。

だから余裕はこいてられない。

ここはせめて初撃の不意打ちで半分ぐらいは減らして置きたい。

「ならば、これだな」

俺は異次元宝物庫から火炎瓶を五本取り出す。

じゃじゃ~~ん!

はい、作りましたよ!

中身は高い度数のアルコールと燃えやすい油のハイブリッドですよ!

火が付きやすく、燃えたら炎が消えにくい一品ですわん。

俺が夏休みの自由研究で作ったんだが学校の先生にマジで怒られた自信作ですよ。

更に燃料のレシピはワイズマンに紹介してもらったゴモラタウンの怪しい冒険者さんに教えてもらって改良を施したんだぜ。

ウォッカをベースにカクテルされた燃料と、ゴモラタウンの魔法使いギルドで売っていた発火原石を蓋に使った俺オリジナルな火炎瓶ですがな。

発火原石は衝撃に弱く、瓶が割れればその衝撃で砕けて火を放つ。

爆破原石ほどの火力はないが、燃料カクテルに引火すれば爆炎を上げる代物ですわん。

まだ、一回しか実験してないから引火率100%の代物じゃあないけれど、まあ上手く行くだろうさ。

本番で実験してなんぼである。

俺は両手に火炎瓶を持つと立ち上がった。

スケルトンたちまでの距離は約15メートルほどだ。

「行くぜ、とぉーーりや!!」

俺は思いっきり火炎瓶を遠投した。

飛んだ火炎瓶がスケルトンの一体にモロ当たり、床に落ちてからパリーンっと割れる。

だが、発火しない……。

「あれーーー??」

そして、スケルトンたちが一斉に振り返り俺を凝視した。

「あー、不味いな……」

すると憤怒の形相でスケルトンたちが走り出した。

俺に向かってだ。

「不味い不味い!!」

俺は慌てて片手にあった火炎瓶をスケルトンたちの足元に投げつけた。

今度はちゃんと割れて引火する。

パリーンと割れた火炎瓶の燃料から業火が上がって数体のスケルトンを炎で巻き込む。

「炎の火力、強っ!!」

燃え盛る炎がスケルトンを爪先から脳天までの全身を丸焼きにしていた。

「よし、行けるじゃんか!!」

俺は慌てて残り三本の火炎瓶を次々とスケルトンに向かって投げた。

床に当たって割れた火炎瓶からは高々と炎が舞い上がる。

炎は業火と変わって行った。

そして、ダンジョンの通路が業火に包まれスケルトンウォリアーたちを焼き払った。

「うんうん、なんとか十体ぐらいのスケルトンは減らせたかな~」

だが、まだまだウジャウジャと居やがる。

予想より成果は少ないけれど、もういいや。

「ここからは白兵戦の無双モードだぜ!!」

俺は異次元宝物庫からロングソード+2とウォーハンマー+2を取り出して両手に構える。

「まずはマジックトーチ、からの~」

ウォーハンマーの先端に魔法の明かりが灯される。

これはウォーハンマーの能力だ。

更に──、ウォーハンマー二つ目の能力を使う。

「ウェポンスマッシュ!!」

俺は先頭で走って来たスケルトンの頭部を、ウォーハンマーの攻撃スキルの一撃で打ち砕いた。

髑髏がパカリと割れてから砕け散る。

それから直ぐに二匹目のスケルトンにウォーハンマーを投げつけて、見事に頭蓋骨を破壊してやった。

ウォーハンマーはバランスが悪いから二刀流には向きませんからね。

まあ、これで良しですよ。

「よーし、あとは対アンデッド用のロングソード+2でぶった斬るのみだ!!」

俺はロングソードを片手に暴れまわる。

少しずつ引きながら戦えば、知能の低いスケルトンなら大群でもさばけそうだった。

回り込まれなければ何とでもなる。

「背後は譲らない。それで行けるぜ!」

俺は敵の攻撃を、左腕に装着したバックラーで弾いては右手のロングソードで撃破して行く。

また一体、また一体とスケルトンは数を減らして行った。

そんな中で、スケルトンウォリアーの隙間から後方で弓矢を引くアーチャーなスケルトンが目に入る。

「やーーべ!! 飛び道具だよ!!」

ここでスケルトンアーチャーの登場ですか!?

俺は対角線上にスケルトンウォリアーを置いて戦う。

敵の体を盾に使い、何とかスケルトンアーチャーの狙撃は免れていたが、時間の問題だ。

盾となるスケルトンウォリアーの数はドンドンと減って行く。

そりゃあそうですよね。

だって俺がスケルトンを倒して減らしてるんだもの。

よし、とりあえずあと七体だ。

ここは一気にスケルトンアーチャーを先に始末するか。

俺はスケルトンウォリアーの隙間を巧みなフットワークで抜いてスケルトンアーチャーに向かって走り出した。

一発目の狙撃が発射される。

だが、矢は俺の眼前で、不自然な方向に曲がって狙いを外れた。

「よしよし、予想通りだぜ!」

ヒッポグリフの巣で拾ったシルバーネックレスの効果が炸裂しましたわ!

ちなみにこれね。

【シルバーネックレス+2】
矢の直撃を二回だけ避ける。

シルバーネックレスの効果で、二発の矢を避けれるのだ。

だが、二発目の狙撃を待つ必要はないな。

俺は矢を引き直そうとしているスケルトンアーチャーの目の前まで接近していた。

「あ~ら、よっと!」

俺はスケルトンアーチャーの顔面をロングソードで突き壊す。

更に廻し蹴りで背骨を横から折り砕いてやった。

「よし、あと六体だ!!」

振り返りざまに、逆水平斬りで一体。

更に袈裟斬りで、もう一体。

二体連続撃破。

残るは四体だ!!

「そーーら!!」

兜割りで、一体撃破!!

「そーーれ!!」

水平斬りで、首を跳ねる!!

あとこれで二体だ!!

っ!!!!????

「な、なんだ……」

俺は突然のことに唖然としていた。

残り二体のスケルトンウォリアーの背後に、巨大な影が立っていたのだ。

ミイラだよね……。

包帯を全身にグルグル巻きだもんな。

しかも身長がかなり高い巨漢だ。

「デカっ! ジャイアントマミーですか……?」

それは2メートル以上の巨人だった。

『フンガァーー!!』

胸を多く開くように左右の裏拳を放ったジャイアントマミーが、残り二体のスケルトンウォリアーをなぎ払う。

二体のスケルトンは左右の壁に激突して木っ端微塵に砕け散った。

真打ち登場!

「な、なんちゅ~パワーでしょうか……。超ヘビー級のアンデッドですわね~……」


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

転生したらただの女の子、かと思ったら最強の魔物使いだったらしいです〜しゃべるうさぎと始める異世界魔物使いファンタジー〜

上村 俊貴
ファンタジー
【あらすじ】  普通に事務職で働いていた成人男性の如月真也(きさらぎしんや)は、ある朝目覚めたら異世界だった上に女になっていた。一緒に牢屋に閉じ込められていた謎のしゃべるうさぎと協力して脱出した真也改めマヤは、冒険者となって異世界を暮らしていくこととなる。帰る方法もわからないし特別帰りたいわけでもないマヤは、しゃべるうさぎ改めマッシュのさらわれた家族を救出すること当面の目標に、冒険を始めるのだった。 (しばらく本人も周りも気が付きませんが、実は最強の魔物使い(本人の戦闘力自体はほぼゼロ)だったことに気がついて、魔物たちと一緒に色々無双していきます) 【キャラクター】 マヤ ・主人公(元は如月真也という名前の男) ・銀髪翠眼の少女 ・魔物使い マッシュ ・しゃべるうさぎ ・もふもふ ・高位の魔物らしい オリガ ・ダークエルフ ・黒髪金眼で褐色肌 ・魔力と魔法がすごい 【作者から】 毎日投稿を目指してがんばります。 わかりやすく面白くを心がけるのでぼーっと読みたい人にはおすすめかも? それでは気が向いた時にでもお付き合いください〜。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ
ファンタジー
「ここわぁ、地獄かぁ――!?」  悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、気がつきゃ金糸のような髪の小娘に!? 「えっ、ファンタジーかと思ったぁ? 残っ念っ、ハイ坊主ハラペコSFファンタジーでしたぁ――ウケケケッケッ♪」  やかましぃやぁ。  ※小説家になろうさんにも投稿しています。投稿時は初稿そのまま。順次整えます。よろしくお願いします。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...