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【第十四章】太陽のモンスター編。
14-31【進撃の巨乳】
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グレイスママの店を出た俺はワイズマンの屋敷に真っ直ぐ帰ってきていた。
俺は裏庭のお茶飲み場のテラスで【氷の矢】をいじくり回していた。
【氷の矢+1】
氷属性の矢。一度何かで放ち命中すると魔力を失う。
先ほどグレイスママの店で五十本ばかり買ってきた消費系マジックアイテムだ。
その矢を俺はラージクロスボウ+2の上に装着してみた。
「長さ的にも行けそうだな──」
【ラージクロスボウ+2】
ボルトが発光して攻撃力が向上する。撃った矢が直角に曲がりホーミングする。
やはりこのクロスボウのボルトとロングボウの矢は同じぐらいのサイズのようだった。
おそらくこのクロスボウでも氷の矢を発射できるだろう。
俺は近くに生えていた庭木に向かって一本放って見た。
ラージクロスボウの引き金を引く。
「それ」
するとクロスボウから発射された氷の矢が発光しながら飛んで行く。
そして一回曲がってから木に刺さった。
刺さった矢から光が消えると同時に氷の魔力も失われる。
しかし、矢が着弾した周囲が凍り付いていた。
確かに氷属性の魔力が籠っているのが確認できた。
「よし、問題無いぞ」
これでジャイアントサンライズと戦えるぜ。
相手は近づくと糞熱いモンスターだからな。
できるだけ矢で仕留めたいものだ。
そんな感じで俺がクロスボウの手入れをしていると、家主のワイズマンが帰って来る。
奥さんのマヌカハニーさんと一緒に裏庭へ現れた。
「おやおや、我が親友のアスランくん。よく来てくれたね」
ちっ、相変わらずキモイしゃべりかただぜ。
って、俺がワイズマンを迎え入れようと裏庭の入り口を見てみると、そこには豊満なマヌカハニーさんしか居なかった。
人妻となったマヌカハニーさんが一人で歩いて来る。
「あれ、マヌカハニーさん、ひとりか?」
「こんにちは、アスラン様。いえ、夫も一緒ですよ」
だが、ワイズマンの姿は無い。
「何を言ってるんだい、アスランくん。私は目の前に居るじゃあないか」
声だけが聞こえた。
「なぬっ!?」
「んん?」
マヌカハニーさんが首を傾げる。
なんだろう?
前にもあったような、この状況が……。
「マヌカハニーさん、ワイズマンの声が聞こえるが、姿が見えないぞ。何故だ!?」
「ここですってば……」
ワイズマンの声がどこからともなく聴こえて来るのだ。
だが、姿はやはり見えない。
「ど、どこだ、ワイズマン!?」
「ここですよ……」
「み、見えない。見えないが声だけは聴こえるぞ!!」
「分かったぞ、アスランくん。それは脳が現実を無視しているんだ!」
「現実を無視しているだって!?」
なんじゃいそれ?
「人間の脳は、時に自分が認めたくない物を見ようとしない時があるんだ。それが極まると、あるものが見えず、居るものが見えなくなる!」
「そんな現象があるのか……。そうなると俺は、今何かを心から無視しているのか!?」
相当信じたくないんだろうな。
「私が見えないってことは、私の存在を無視しているのだよ!」
「でも、声は聴こえているぞ!」
「そうなると、存在は認知しているが、外観を受け入れてないってことになる!」
「俺がモッチリしたワイズマンを見たくないって思ってるってことか!?」
いや、思ってるけどさ。
「いや、その逆だよ……」
「逆だって!?」
「今の私をキミが受け入れたくないんだよ……」
「何故だ!!」
「それは今の私が、凄く痩せているからだ!!」
「痩せているだって!?」
そんな馬鹿な話があるか!!
あのモッチリな定番スタイルのワイズマンが痩せてるなんて有り得ない!!
見えないワイズマンが告白する。
「私はここ数日間、新妻と夜の営みがしたくてしたくて、彼女に受け入れられるために劇的なダイエットをしていたんだ!!」
「ダイエットだと……」
マヌカハニーさんが頬を赤らめながら俯いた。
「そのダイエットの成果で身長180センチでありながら体重は60キロまで激やせして、今では見事な細マッチョなダンディーマンだ!!」
「それはジャニーズっぽいな!!」
「お陰で妻から合格をもらって、城での仕事が終わって屋敷に帰ってきたら直ぐに、昼まっから寝室でムハムハのパフパフを思う存分してもらってからの子作り種付け作業を休日の二十四時間ぶっとおしでヒーヒー言うほどに激しくヒャッハーヒャッハー言いながらズッコンバッコンと励むつもりだったんだ!!」
あれ、マヌカハニーさんが震えながら拳を振りかぶってるぞ?
額に凄い青筋を浮かべてやがる……。
そして拳をフルスイングした。
ナイスフックだ。
「ふっ!!」
ゴンッ!!
「ごはっ!!!」
なんか凄い音と酷い声が聞こえたかと思ったら、屋敷の壁に何かがぶつかる激しい音が聞こえてきた。
それを最後にワイズマンの気配が途絶える。
「ふぅ~~、もう下品な人ね……」
笑顔のマヌカハニーさんが赤くなった拳を擦りながら言う。
「ごめんなさい、アスラン様。夫は気絶したようなので仕事の話は私としましょうね」
「は、はい……」
な、なんか怖い……。
本当に巨乳を怒らせると怖いんだな……。
気を付けよう……。
俺はまたひとつ人生の教訓を得てかしこくなった。
【進撃の巨乳・完結】
【話はつづく】
俺は裏庭のお茶飲み場のテラスで【氷の矢】をいじくり回していた。
【氷の矢+1】
氷属性の矢。一度何かで放ち命中すると魔力を失う。
先ほどグレイスママの店で五十本ばかり買ってきた消費系マジックアイテムだ。
その矢を俺はラージクロスボウ+2の上に装着してみた。
「長さ的にも行けそうだな──」
【ラージクロスボウ+2】
ボルトが発光して攻撃力が向上する。撃った矢が直角に曲がりホーミングする。
やはりこのクロスボウのボルトとロングボウの矢は同じぐらいのサイズのようだった。
おそらくこのクロスボウでも氷の矢を発射できるだろう。
俺は近くに生えていた庭木に向かって一本放って見た。
ラージクロスボウの引き金を引く。
「それ」
するとクロスボウから発射された氷の矢が発光しながら飛んで行く。
そして一回曲がってから木に刺さった。
刺さった矢から光が消えると同時に氷の魔力も失われる。
しかし、矢が着弾した周囲が凍り付いていた。
確かに氷属性の魔力が籠っているのが確認できた。
「よし、問題無いぞ」
これでジャイアントサンライズと戦えるぜ。
相手は近づくと糞熱いモンスターだからな。
できるだけ矢で仕留めたいものだ。
そんな感じで俺がクロスボウの手入れをしていると、家主のワイズマンが帰って来る。
奥さんのマヌカハニーさんと一緒に裏庭へ現れた。
「おやおや、我が親友のアスランくん。よく来てくれたね」
ちっ、相変わらずキモイしゃべりかただぜ。
って、俺がワイズマンを迎え入れようと裏庭の入り口を見てみると、そこには豊満なマヌカハニーさんしか居なかった。
人妻となったマヌカハニーさんが一人で歩いて来る。
「あれ、マヌカハニーさん、ひとりか?」
「こんにちは、アスラン様。いえ、夫も一緒ですよ」
だが、ワイズマンの姿は無い。
「何を言ってるんだい、アスランくん。私は目の前に居るじゃあないか」
声だけが聞こえた。
「なぬっ!?」
「んん?」
マヌカハニーさんが首を傾げる。
なんだろう?
前にもあったような、この状況が……。
「マヌカハニーさん、ワイズマンの声が聞こえるが、姿が見えないぞ。何故だ!?」
「ここですってば……」
ワイズマンの声がどこからともなく聴こえて来るのだ。
だが、姿はやはり見えない。
「ど、どこだ、ワイズマン!?」
「ここですよ……」
「み、見えない。見えないが声だけは聴こえるぞ!!」
「分かったぞ、アスランくん。それは脳が現実を無視しているんだ!」
「現実を無視しているだって!?」
なんじゃいそれ?
「人間の脳は、時に自分が認めたくない物を見ようとしない時があるんだ。それが極まると、あるものが見えず、居るものが見えなくなる!」
「そんな現象があるのか……。そうなると俺は、今何かを心から無視しているのか!?」
相当信じたくないんだろうな。
「私が見えないってことは、私の存在を無視しているのだよ!」
「でも、声は聴こえているぞ!」
「そうなると、存在は認知しているが、外観を受け入れてないってことになる!」
「俺がモッチリしたワイズマンを見たくないって思ってるってことか!?」
いや、思ってるけどさ。
「いや、その逆だよ……」
「逆だって!?」
「今の私をキミが受け入れたくないんだよ……」
「何故だ!!」
「それは今の私が、凄く痩せているからだ!!」
「痩せているだって!?」
そんな馬鹿な話があるか!!
あのモッチリな定番スタイルのワイズマンが痩せてるなんて有り得ない!!
見えないワイズマンが告白する。
「私はここ数日間、新妻と夜の営みがしたくてしたくて、彼女に受け入れられるために劇的なダイエットをしていたんだ!!」
「ダイエットだと……」
マヌカハニーさんが頬を赤らめながら俯いた。
「そのダイエットの成果で身長180センチでありながら体重は60キロまで激やせして、今では見事な細マッチョなダンディーマンだ!!」
「それはジャニーズっぽいな!!」
「お陰で妻から合格をもらって、城での仕事が終わって屋敷に帰ってきたら直ぐに、昼まっから寝室でムハムハのパフパフを思う存分してもらってからの子作り種付け作業を休日の二十四時間ぶっとおしでヒーヒー言うほどに激しくヒャッハーヒャッハー言いながらズッコンバッコンと励むつもりだったんだ!!」
あれ、マヌカハニーさんが震えながら拳を振りかぶってるぞ?
額に凄い青筋を浮かべてやがる……。
そして拳をフルスイングした。
ナイスフックだ。
「ふっ!!」
ゴンッ!!
「ごはっ!!!」
なんか凄い音と酷い声が聞こえたかと思ったら、屋敷の壁に何かがぶつかる激しい音が聞こえてきた。
それを最後にワイズマンの気配が途絶える。
「ふぅ~~、もう下品な人ね……」
笑顔のマヌカハニーさんが赤くなった拳を擦りながら言う。
「ごめんなさい、アスラン様。夫は気絶したようなので仕事の話は私としましょうね」
「は、はい……」
な、なんか怖い……。
本当に巨乳を怒らせると怖いんだな……。
気を付けよう……。
俺はまたひとつ人生の教訓を得てかしこくなった。
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