将来、悲運な結末を迎える令嬢は幸せに生きる

都築稔

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馬車内での恋愛話

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なんだかんだで今、王城へ向かう馬車に乗っています。エミリアです。

私はドレスの最終確認があるので、他の人より早めに王城へ行くことになりました。私だけで行かせるのは不安だと、お母様とお兄様も一緒です。あ、お父様は行きたがっていたけど、シンに捕まってました。パーティーの日には来てくれるそうです。

「着いたらまずはご挨拶に伺いますからね。ルカ様と会うならその後にしてちょうだい。」

「わかってます、お母様。」

「エミィ、僕はルカ様にご挨拶したらライト様に会いに行くからね。」

「わかりました。」

今まで馬車には何度も乗っているけれど、こんなに長く乗って移動してきたのは人生初です。前の人生で馬車なんて乗りませんでしたし。そもそも、今世では辺境伯領から出たことがないんですよ。

「領地と王都では、雰囲気が違うでしょう?」

窓から景色を楽しんでいた私に、お母様が話しかけてくる。

「お母様は元々、王都の近くに住んでいたのでしょう?」

「そうよ。ミツォリア侯爵領は王都に近いところにあったから、城下町にもよく行っていたわ。」

「では、お父様とはどんな出会い方をしたのですか?」

「あら、エミィはそういう話に興味があるお年頃になったのね。」

「僕も知りたいです、母様。」

お兄様も知らないのね。お父様がお母様を大好きなのは知っているし、仲が良いのも知っているけど、お母様からお父様の話はあんまりしないのよね。

「お父様と初めて会ったのは学園よ。お父様は1つ下の学年でね。当時、私には既に婚約者がいたの。お父様にもいたわよ。」

え、ドロドロ系のお話ですか?

「お父様の婚約者は、辺境伯領近くにある男爵家のご令嬢だったわ。美しいと評判で、お父様ととても仲が良かったの。」

「母様の婚約者はどんな方でしたか?」

「私のお相手は、幼馴染の公爵家の令息よ。仲は良かったけど、兄妹みたいな関係だったわね。あちらには他に好きなお相手がいたし。」

「母様をさしおいて、好きな女ですか!?」

「いいのよ。私は兄として慕っていたから、その恋を応援してたの。」

なるほど、それでお相手はその方と結ばれたと。

「じゃあ、お父様は?」

「お父様は剣の腕が、あの頃から秀でていてね。ファンクラブもあったの。」

お父様にファンクラブ、ですか。

「それがどう関係しているんですか?」

「お相手の女性が嫉妬深い人でね。ファンクラブと対立するわ、お父様に本当に自分のことが好きなのか詰め寄ったり、色々なさってたわ。そして、疲れちゃったのでしょうね。ある日、浮気が発覚して、あろうことか子どもまで作っちゃったのよ。」

「最低すぎませんか、その御令嬢!!」

「自分勝手よね。当時、すごい噂になったわ。ご令嬢は学園にも居づらくなって、退学してしまったの。お父様は塞ぎ込んで、剣術や学問に時間を注ぎ込んで・・・。まぁ、お陰で私の婚約破棄は噂にならなくて済んだけど。」

「退学されたのは女性側だけですか?男性だって避難されたでしょう?」

「ご令嬢ほどではないけどね。ご令嬢はトラブルを起こし過ぎていたから。お相手は平民の方だそうよ。領地にいた幼馴染だとか。だから私たちと同じ学園には通っていなかったの。」

なるほど。お相手の男性はその場にいないから、直接罵倒もできなかったのね。日本みたいにSNSとかないし。

「ではお互いフリーになった同士、婚約したということですか?」

「そうとも言えるけど・・・私は王妃と仲が良かったから、結婚しなくても生きてはいけたの。」

「侍女とかってことですか?」

「そうね。乳母にはなれないけど、専用侍女になればいいってお誘いを受けていたの。」

お母様の交友の広さや強さは、王妃様と繋がりがあるからだったんですね。

「でも辺境伯側はそうもいかないでしょ?次のお相手を探さないといけなくなって、打診を受けたの。」

仲が良いから恋愛結婚を疑わなかったのですが、思ったより政略的だったわ。この後、運命的な出会いをして・・・とかじゃないのね。

「夜会できちんと顔を合わせて・・・お父様は他に何人か会っていたらしいのだけど、私を気に入ってくれたみたいで次の日からアプローチの嵐よ。」

「嵐・・・ですか。」

「嵐よ。待ち伏せされるし、追っかけられるし、ラブレターもたくさんもらったわよ?」

待ち伏せなんて・・・ストーカーじゃないですか?お母様、よく結婚しましたね。

「母様はなぜ、そんな相手と結婚したのですか?」

お兄様、そんな相手ってお父様ですよ?いや、気持ちはわかりますけど。

「なんだか、段々可愛く思えちゃってね。そんなに必死になれる相手って、人生で出会えるかどうかわからないじゃない。そんな風に愛してもらえることもね。」

お父様、お母様が良い人でよかったですね。良い人だったから惚れたのかもしれませんけど。

長い馬車移動時間中、お父様とお母様の馴れ初めや初めてのデート先のお話で盛り上がりました。

いつかお兄様とお互いの恋愛話もしたいなぁ。
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