19 / 150
重い愛
しおりを挟むコトリ。
ラーヤ様が淹れてくださった紅茶はルイボスの香りがした。
「リア、久しぶりだね。来てくれて嬉しいよ。」
目の前に座るルカ様は、相変わらずカッコいい。
ルカ様の部屋に着く頃には、窓から夕陽が差し始めていた。
王妃様に似た髪は、茜色の光を浴びて白銀の輝きが映える。紫の瞳は妖しい輝きを持つ宝石みたい。見続けたら、その瞳に魅入られてしまいそうだ。
「どうかした?」
「っ!いえ、何も。」
見惚れていました、なんて恥ずかしくて言えない。言ったら、すごく喜んでくれるのはわかってる。そうなればきっと、毎日夕方になればこの部屋に招かれるようになるだろう。極端な人だ。
「そう?」
頬杖をついてこちらを見つめられると、困ってしまう。自然と上目遣いになっているし、推し兼好きな人にこんなことをされてキュンとしない人はいないんじゃないだろうか。
今までだって、ちゃんとルカ様を好きでいるつもりだった。でもやっぱり、キャラクターやアイドルとして好きだったんだと、恋愛的な意味ではなかったのかもしれないと今は思う。
「・・・ルカ様?」
急に立ち上がって、どうしたんだろう。
無言で立ち上がり、スタスタと私の隣に移動してきた。ポスッと座ると、頭を私の肩にもたれかけさせる。
「・・・隣に座ってもいい?」
!?!?!!
いや、もう貴方、隣に座っていらっしゃいますけど!!?
ちょっとムスッとした顔をしているけど、近距離×上目遣いで可愛いが大渋滞してる。いや、ムスッとした顔が可愛さを引き立てているかもしれない。
私の推しが大優勝してるけど、皆様生きていらっしゃる??呼吸困難になってたりしない??
「ねぇ、聞いてる?」
近いんですってば!
「もちろんでしゅ。」
ハッ!最近、滑舌直ったと思ってたのに!
真っ赤になった私を見て、満足そうな顔でクスクス笑っているルカ様。
「出迎えようと思っていたのに、ラーヤに止められたんだ。せっかく、久しぶりに会えるというのに。今日くらい勘弁してくれたっていいと思わないか?」
「そんなこと言って、エミリア様がご滞在のあいだは何かとサボろうとするのは目に見えてるじゃなきですか。」
ラーヤ様がティーワゴンでケーキを準備しながら、横目でルカ様を睨む。
お2人って主従関係なのに、本当に仲良いわよね。
「5歳に公務させようっていうのがおかしいんだよ。」
確かに、それはそうだわ。前世だったら虐待認定される案件ね。
「ルカ様はどんなことをなさってるのですか?」
「ん?・・・僕のこと、知りたい?」
揶揄うような笑みを浮かべて、コテンと首を傾げる仕草が似合いすぎていて頭が爆発するかと思ったわ。
「ルカ様はご兄弟の中で、1番魔法の才能があるんです。使える属性も全種類と、かなり稀有な才能ですので隠してはいませんが公にもしていません。」
へぇ、ルカ様にそんなチート能力があったとは。
「ちなみに、1番得意な魔法は闇魔法だよ。」
私の肩から膝に移動して、いわゆる膝枕を勝手に始めちゃうルカ様。
顔の距離は離れたけど、下からずっと顔を見られるのは嫌だな。・・・・・・二重アゴになってたりしないかしら?
「闇魔法ですか。珍しいですね。」
「結構、便利なんだよ?気配が消せたり、異空間を使えたりするんだ。」
フフンッ!と自慢気な顔をして説明してくれますが、それはあれですよね?気配を消してエミリアをストーキングしてみたり、異空間に閉じ込めて誰にも接触できないようにできるってことですよね?ゲーム内のルカ様の言動は、こういう裏設定があったからなんですね。今、理解しました。
「隠してないとはいえ、私に詳しく話して大丈夫なのですか?」
私から広がって、何かあった時にルカ様が犯人扱いされたりしませんか?
「何言ってるの?将来のお嫁さんに、知られてマズイことなんて何にもないよ?・・・それとも、リアは僕に隠しておきたいことでもあるの?」
「そんな!秘密なんてありません!・・・ルカ様が心配だっただけです。でも、信頼されてるってことですよね?嬉しいです。」
・・・すいません、ちょっとだけ嘘つきました。前世の記憶のこと隠してます・・・・・・。真顔で秘密があるのか?なんて聞かれたものだから、すぐさま否定しないといけない気持ちになりまして。
「まぁ、リアはすぐに顔に出るから隠し事は向いてないよね。僕の情報網から逃れられるとも思わないし。」
あの、サラッと怖い情報が聞こえた気がするのですが?
私の腰をギュッと抱きしめてくる。その可愛さに、母性が溢れ出てきた。
そっと頭を撫でると、気に入ったのか頭をスリスリしてくる。可愛い。めちゃくちゃ可愛い。
はぁぁあ。悪役令嬢のエミリアはなんでルカ様じゃダメだったのかしら。ライト様の笑顔なんて、胡散臭いじゃん。品行方正、善意の塊みたいな人って、行き過ぎるとなんだかロボットみたいだし。ちょっと暗い部分がある方が、人間らしくて私は好きなんだけど。
・・・・・・ルカ様は暗い部分ありすぎじゃない?とは思うこともありますけど。こういうのはハマったら抜けない、沼ですからね。
「ルカ様がこんなに気を許して甘えられる方は、エミリア様しかおりません。エミリア様の言葉なら聞きますしね。これからもしっかり手綱を握っててくださると、僕が助かります。」
「おい、余計なこと言うなよ。」
ふふっ、ラーヤ様は苦労なさってるのね。ルカ様はマイペースですからね。無理もありません。膝上にいるこの人がこんなに大人しいのは私の前だけ。
ゲーム内でのルカ様は、メイドたちにあまり好かれていませんでした。今考えると魔法の才能がありすぎて恐れられてたのかもしれないけど、ルカ様は自分の内側にいる人以外に全く興味がない方だから。それに人に仕えられるのはあまり好まない。何か適当に怖がらせて、自分の部屋から追い出していたのかもしれないわね。死亡フラグ回避のために、仕えてる者には優しく!と教え込んでおいてよかったわ。
「あ、」
「どうかしましたか?」
「手綱じゃないけどさ、リアにならどんなに束縛されても構わないからね。むしろ大歓迎。例え殺されても、リアなら本望だよ。」
・・・・・・え?突然、何言い出したのこの人。
「私はルカ様を殺しませんし、簡単に死なないでください!」
「えー、例え話だよ?」
「例え話でも嫌です!」
「ふぅん、わかった。もう言わない。でも、束縛はしたくなったらいつでも言って。」
この人は、ニコニコした顔でとんでもないことを言ってくる。私に向けている愛がヘビー級だ。でも、そんな愛を心地よく思っている自分がいる。
・・・重症だな。
ルカ様の笑顔に笑い返した。
10
あなたにおすすめの小説
よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………
naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話………
でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ?
まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら?
少女はパタンッと本を閉じる。
そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて──
アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな!
くははははっ!!!
静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
※他サイト様にも掲載中です
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
【完結】義妹(ヒロイン)の邪魔をすることに致します
凛 伊緒
恋愛
伯爵令嬢へレア・セルティラス、15歳の彼女には1つ下の妹が出来た。その妹は義妹であり、伯爵家現当主たる父が養子にした元平民だったのだ。
自分は『ヒロイン』だと言い出し、王族や有力者などに近付く義妹。さらにはへレアが尊敬している公爵令嬢メリーア・シェルラートを『悪役令嬢』と呼ぶ始末。
このままではメリーアが義妹に陥れられると知ったへレアは、計画の全てを阻止していく──
─義妹が異なる世界からの転生者だと知った、元から『乙女ゲーム』の世界にいる人物側の物語─
本の通りに悪役をこなしてみようと思います
Blue
恋愛
ある朝。目覚めるとサイドテーブルの上に見知らぬ本が置かれていた。
本の通りに自分自身を演じなければ死ぬ、ですって?
こんな怪しげな本、全く信用ならないけれど、やってやろうじゃないの。
悪役上等。
なのに、何だか様子がおかしいような?
公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
谷 優
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。
ただ、愛されたいと願った。
そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。
◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる