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絵本
しおりを挟むリアが連れ去られたと報告しに来た時、嫌な予感が当たってしまったと思った。このまま、会えなくなってしまったらどうしよう、と。
僕がリアの悩みの種を理解したとはいえ、お婆様が本当に全て書いてるかどうか僕には判断できない。もっと早くリアに話しておくべきだったんだ。・・・後悔したって遅いけど。
ラナの証言通りだと、相手はかなりの魔法の使い手だ。彼女自身、護衛も兼ねているほどの強者なのに全く気づかなかったのだから。
リアがいない世界なんて、生きる意味ないんだよ。いつだって僕の世界は君を中心に回っているのに。
ライトの提案で図書館に何か手がかりがないか探すことにした。ラナは一度部屋に戻って、ただの悪戯で部屋に戻ってる可能性を潰しに行った。
一度ラナが図書館を回ったとは言え、気が動転していたと思われる状態だ。見逃しがあるかもしれないし、この国一番の魔法使いだったら魔法の残滓を見つけられるかもしれないから。
ここで僕の力をフルに使わないで、いつ使うんだ。リアを守るための魔法なのに。君を失ってしまったら、魔法も人生に必要ないものとなる。
もし、もう彼女がこの世にいなくても遺体だけでも返してほしい。そうしたら、せめて彼女を永久に保存するかともに並んで死ぬかくらいはできる。
「ルカ、しっかりしろ。」
目も表情も死んでいるだろう僕の背中をリアンが叩いた。力なんて少しも入っていなくて、前に倒れかけた。
「こんな時に冷静でいられるわけないだろ。」
「殿下、殿下が頼りなんです。」
サイラスに言われなくたって、僕も全力でリアを探すさ。僕の命も人生もかける。
リアがいなくなった本棚の前、何か痕跡がないか隅から隅まで調べていく。
やはり部屋にいなかったのだろう。ラナが何も言わずに戻ってきた。相変わらず顔色が悪い。まぁ、僕も負けてないだろう。
「ラナ、リアは何か本を持っていたか?触っていたとか・・・」
「私が薦めた、最近の流行小説をお持ちでした。それと、確かこの辺りの本を見ていたので触っていたかもしれません。」
ラナから聞いた本のタイトルは、マリアンヌ嬢も読んだことがあるとライトが言っていた。現物がないからなんとも言えないが、ストーリーを聞いても怪しいと思える点はない。
「だとしたらこの辺の本か・・・?」
一つ一つ、タイトルもその中身も確かめる。
魔法が一度しか効果が出ない魔法かもしれないが、僕ならどんな魔法かもおそらく特定できる。
「あれ・・・?」
思わず見落としそうになったほど薄い本がある。周りが分厚めなので、余計に気付きにくかった。
「これかもしれない・・・!」
薄くて背表紙の文字は読めないが、表紙のタイトルが日本語だった。
「『まおうとひめ』・・・?」
どこにも作者は書かれていない。
誰にも見せるつもりがなかったものなんだろうか?それを落としてしまって、誰かが勘違いして棚に並べた?表紙に絵は描かれていない。文字だけだったからなんの文学かもわからずにとりあえず並べたといった感じか?
パラパラと中を見てみると絵本のようだった。
「なんか見つけた?」
「日本語でタイトルが書かれている絵本を見つけた。」
ライトに本を渡す。
「今一番、ヒントになりそうなものはこれなんじゃないか?」
「日本語だしな・・・」
1ページずつ、どんなシーンか確認し合いながら進めた。どうやら、ある姫に恋した魔王が姫をさらって閉じ込めてしまうお話のようだ。最後はお姫様は王子様に助けられ、ハッピーエンドを迎える。子ども向けのお伽話。
「これ、役に立つか?」
後ろから覗いていたらしいリアンが声をかけてきた。
「でも、ルカのお姫様がさらわれたと思えば状況は一緒だよ。」
「まぁ、なぁ・・・」
「もう一度、絵の細部まで見てみようよ。王子様がお姫様を助けた方法のヒントがわかるかもしれない。」
そうして僕たちはもう一度、絵本を開いた。
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