将来、悲運な結末を迎える令嬢は幸せに生きる

都築稔

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犯人は誰

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「ラーヤ、少し部屋に戻る。」

着いてこようとする従者を止め、1人で部屋に戻った。

書斎に入り、お婆様が残した書籍に目を通した。パラパラと大雑把に。

「はぁ、もう1回目を通したら何か気づくかと思ったんだけど無理か。」

何気なく、さっきのラーヤを真似て窓に文字を書いてみた。

『会いたい。』

「馬鹿だな。こんなことしたって何もならないのに。」

窓を背にして、ため息をついた。

リアの血肉になったって、僕は惜しくないのに。リアがいなくなったんじゃどうにもならない。僕の存在意義が危ぶまれる。

ラーヤに気づかれる前に文字を消そう。見られたらどうせ揶揄われる。

「・・・・・・え??」

振り向いて、驚いた。窓に書いた覚えのない文字がたくさん書かれていた。

「怪奇現象にしてはおかしいよな・・・。・・・ん?」

文字にすごく見覚えがある。何度も文通したから間違いない。これはリアの字だ。

『あなたは誰?』

『どうして、私はここにつれてこられたの?』

『ルカ様に会いたい』

『♡』

『大好き』

『お兄様、優しくしてくれてありがとう』

窓が埋まるほどたくさん書かれている。
全部読んで悲しくなった。

なんで遺書みたいになってるんだ。僕がいないところで死ぬなんて許さない。

『僕も愛してる』

息を吐かなくても、窓に文字を書くことができた。

スッと文字が消える。

これはきっと、彼女に届く。

僕に愛してるなんて言われたら、僕を大好きな彼女は死ぬなんて考えも吹き飛ぶだろう。僕が絶対助けてあげる。だから君は心配なんてしなくていい。僕だけを信じて、考えて待ってればいい。

スッと窓に文字が増えて見てみると、ハートマークの真ん中に唇の跡がついていた。

「はぁぁ・・・」

こんな時まで可愛い。俺を思ってこんなことしちゃうリアが可愛い。でも、たとえ窓であろうと僕以外に口付けしちゃダメだよ?

ちゃんと言い聞かせるためにも、まずは助けないとか。

やはり、あの絵本はこの事件のヒントになる。他に何かなかったか思い出せ。

お姫様の髪はリアと違った。色も長さも。他にも容姿が似ている点はない。

絵本の通りなら魔王の立ち位置である犯人がいるはず。魔王のように、リアを好いた人物が。

絵本の中の魔王とリアを攫った犯人がもし同じであれば、見た目が似ている可能性がある。しかし、見た目は似ていない。
別人であれば、この絵本に似せたトリックがあるはず。

考えて考えて、一つの考えにたどり着いた。
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