71 / 150
救出
しおりを挟む「ルカ様~!いいんですか?本当に」
「あれがなくとも、リアを助けることができるからね。確認だけできたら今は充分。」
自室に戻ると、例の絵本を広げた。
どのページがいいだろう?できるだけお姫様が大きく写っていて、他に人物がいないページは・・・。
「ラーヤ、ロープを持ってきてくれ。」
「ロープですか?」
「そう、丈夫なやつを頼むよ。」
不思議そうな顔をしつつ、すぐ探しに行った。こういう時に、ラーヤが有能であることを思い出す。
よし、このページにしよう。お姫様が夜、テラスで空を見ているシーン。
「ルカ様、こちらはいかがですか?」
汗ひとつかかずに戻ってきた有能侍従からロープを受け取る。そして素早く、細かく、ロープを確認した。
太さや強度は十分だな。ささくれ立っている部分もなさげだから、指に刺さって痛いなんてこともないだろう。
「よし、じゃあ始めようか。」
まだ消えていない、リアとのやり取りが残った窓。そこに新たにメッセージを書いた。
『リア、今からいう僕の言葉を信じてくれるかい?』
すると、すぐに返事が返ってきた。
もしかしたら、窓の前でずっと僕からのメッセージを待っていたのかもしれない。あぁ、なんて可愛いんだ。今すぐ抱きしめたい。クソッ、あいつ焼き鳥にしてやろうか。
『もちろんです。』
『そこはリアに都合の良い世界なんだ。想像してみて。』
『助けが来た。絵本の中から脱出可能だ。』
言い聞かせるように、想像する時間を設けるためにゆっくり書いていく。
『ほら、空からロープが降りてくる。』
そう書く僕の後ろで、ラーヤが絵本にロープを垂らした。
「これ、本当にロープが絵本を届くんですか?」
「黙ってろ。」
『リア、どう?想像できそう?』
『このロープに掴まれば、リアは絵本から抜け出せるんだ。』
『やってみます。』
悔しいけど、ここはリアの想像力に任せるしかない。頼む。頑張って。
僕の元に戻ってきて。
「あっ!」
ラーヤの声に振り向くと、掴んでいたロープがスルスルと絵本に吸い込まれていた。
「ラーヤ、絶対離すなよ!」
「承知しました!」
ラーヤの前側に滑り込み、一緒にロープを下ろしていく。しばらくすると、クイっと僅かな手応えを感じた。
「よし、ラーヤ。引き上げるぞ。」
「はい!」
余り時間をかけてられない。途中でリアに限界が来て落ちてしまったら、大怪我を負う。そんなことはさせられない。もちろん、リアがそんな想像しなければ大丈夫なんだけど。
「リア!あともう少しだ!」
聞こえるかわからないが、ロープを吸い込んだ絵本に向かって話しかけ続けた。
「あ!ルカ様、見てください!」
絵本から、小さな手のひらが見えてきた。
その手のひらを掴んで、引き上げた。
「きゃあっ!」
勢いよく絵本から飛び出してきたのは、リアだった。僕の顔を見るなり目をウルウルさせて、今にも溢れ落ちそうだ。
「ルカ様ぁ。もう、会えないかと思いました!!」
大好きな婚約者にギュッと抱きしめられて、嬉しくないわけがない。しかも、リアからなんてレア中のレアだ。僕は大人しくリアに抱きつかれた。
右肩が涙で濡れ始めた。
優しく背中を叩いてあやしているが、僕だって不安だった。久しぶりの香りにやっと安心できた。
「ふぇぇ。」
「びっくりしたよね。よく頑張った。今日は一緒に寝ようね。」
髪を撫でると、リアが小さく頷いた。
よしよし。
「・・・・・・それは、ルカ様の願望ですよね?」
なんて後ろから聞こえた声は無視だ無視。
お互いが落ち着くまで、僕らは抱き合って互いの存在を確かめた。
10
あなたにおすすめの小説
よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………
naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話………
でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ?
まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら?
少女はパタンッと本を閉じる。
そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて──
アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな!
くははははっ!!!
静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
※他サイト様にも掲載中です
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
【完結】義妹(ヒロイン)の邪魔をすることに致します
凛 伊緒
恋愛
伯爵令嬢へレア・セルティラス、15歳の彼女には1つ下の妹が出来た。その妹は義妹であり、伯爵家現当主たる父が養子にした元平民だったのだ。
自分は『ヒロイン』だと言い出し、王族や有力者などに近付く義妹。さらにはへレアが尊敬している公爵令嬢メリーア・シェルラートを『悪役令嬢』と呼ぶ始末。
このままではメリーアが義妹に陥れられると知ったへレアは、計画の全てを阻止していく──
─義妹が異なる世界からの転生者だと知った、元から『乙女ゲーム』の世界にいる人物側の物語─
本の通りに悪役をこなしてみようと思います
Blue
恋愛
ある朝。目覚めるとサイドテーブルの上に見知らぬ本が置かれていた。
本の通りに自分自身を演じなければ死ぬ、ですって?
こんな怪しげな本、全く信用ならないけれど、やってやろうじゃないの。
悪役上等。
なのに、何だか様子がおかしいような?
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる