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再会
しおりを挟む次の日の朝。久しぶりにリアを補充できて最高に幸せだったけど、まだ足りなくて。寝たフリをしたままリアに擦り寄った。愛しい香りに包まれて、もうずっとこのままでいいやとか考えてしまう。
「ルカ様!エミリア様!朝ですよ!ほら、そろそろ起きてください。」
サッと部屋のカーテンが開けられる。朝日が入り込んで眩しい。
クソッ。リアが起きちゃうじゃないか。空気の読めない奴だな。いや、絶対わざとだ。大変なことがあった翌日なんだから、もう少しゆっくりさせてくれたっていいのに。
「んん・・・もう、朝ですか?」
むにゃむにゃと少し寝ぼけた様子のリア。
あ~、なんて可愛いんだろう。
「おはよう、リア。」
「おはようございます、ルカ様。」
笑った顔がまだふにゃっとしていて・・・思わずほっぺた噛んじゃいそう。
「やめてください、ルカ様。」
まだしてないぞ!
朝からラーヤにイラッとさせられては、リアに癒され気持ちを落ち着かせる、という作業を繰り返した。
「お嬢様!!」
昨夜の間にリアの帰還を伝えられたラナは、安堵の涙を流した。滅多に泣かないらしい彼女を見て、リアがオロオロしていた。
「ラナ、心配かけてごめんね。」
「いいえ、私がお嬢様から目を離したのがいけないんです。」
瞬きの間に消えたというのだから、目を離したとは言い難いがそう考えてしまうところがラナらしい。
「あぁ、無事に帰ってきて本当によかったです。」
ギュッと抱きしめられたリアは、少し照れ臭そうに微笑んで抱きしめ返していた。
あぁ、天使。僕の婚約者は今日も天使。
絵本の通りに魔王がリアを連れ去ったとしたらと思うとヒヤヒヤした。そうであっても、どんな手を使っても取り戻すけど。
さぁて、最後の仕上げといきますか。このまま放っておいたら、またリアに被害がいくかもしれないからね。それは阻止しないと。
「どうする?リアも来るかい?」
これを解決するには、僕がゲームのシナリオを知っていることを打ち明けなければならない。僕が知っていると打ち明けたら、リアはどんな反応をするだろうか。
少し緊張している。
「私も、行かせてください。」
覚悟を決めたような彼女を見て、僕も決めた。
「わかった。じゃあ、行こうか。」
左手を差し出すと、そっと寄り添ってくれる。慣れたものだ。それくらい、僕たちは一緒に過ごしてきた。きっと、大丈夫。
ラーヤには、他のみんなを生徒会室に集めてもらっていた。それと、サイラスには先にリアの無事をつたえてある。
「エミィ!!!」
生徒会室のドアを開けようとすると、足音でわかったのだろう。サイラスが飛び出してきた。
存在を確かめるかのように妹を抱きしめている。
まぁ、普段ならキレてるけど今日は特別許してやろう。
「お兄様!」
突然、飛び出してきた兄を受け止めはしたが、びっくりしたのだろう。少し固まってしまってる。
お~い、リア。それは君の兄だぞ。僕にもラナとも感動の再会しておいて、実の兄にその態度はちょっと可哀想だと思うんだ。
「エミィ、大丈夫だったか?どこか怪我とかしてないか?」
過保護な兄は妹の腕を触って、無事であることを確認している。妹本人は少し呆れた顔をして!兄を見ている。
「大丈夫ですわ、お兄様。心配かけてごめんなさい。」
「何言ってるんだ!お前は巻き込まれた側じゃないか!1つも悪いことなんかないんだぞ!」
・・・サイラス、確かにリアは悪いことを1つもしてないし巻き込まれ事故だけど、連れ去られた理由はちゃんとあるんだよ。リア本人だって、多分それを理解している。だからそう言われても、慰めにならないんじゃないか?
「ありがとう、お兄様。」
後ろにいたリアンたちは、リアが無事返ってきた驚きよりもサイラスの妹溺愛ぶりに若干引いていた。
そうだよな。普段のサイラスはこうじゃないもんな。僕はリアが常に隣にいるから見慣れたけれど、他はサイラス個人と会うことの方が多いんだから。初めてじゃなくてもびっくりするよな。
「あーえっと、サイラス。僕たちも状況が知りたい。また被害者が出ないとも限らないからね。」
「あ、そうでしたね。ルカ様、妹を助けていただき本当にありがとうございました。さぁ、中に入ってください。」
見かねたライトが声をかけたことで我に返ったらしい。僕たちはやっと中に入ることができた。
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