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不安
しおりを挟む「さぁ、ルカ。俺たちにもわかるように説明してくれ。」
皆が席に着くと、待ちかねたようにライト様が仰った。ルカ様はチラリと私を見ると、小さくため息をついた。
私、ついてこない方がよかったかしら?
少しの不安を感じた。
「まず、僕らがこれからどうにかしないといけないのはアメリア嬢が連れている白い鳥だよ。」
「白い鳥?あぁ、そういえば最近見かけたな。」
「白い鳥がどうしたというんだ?害はなさそうに見えるけど。」
「あれがただの鳥なら、害はないでしょう。ですがあれが精霊だとしたら?」
精霊という言葉を聞いて、少し動揺してしまった。
転生ものの物語には、ヒロインやヒーローは精霊や神獣に好かれやすい。怪我しているところを助けたとか、心が綺麗だとか、光の魔力を持ってるからとか理由は様々だけど。
このゲームにも、ヒロインには相棒とも呼べる精霊が側にいる。ヒロインはピィちゃんと呼んで、風と光の精霊だということに気づかず可愛がるのだ。
悪役令嬢が絵本の中に入ってしまうというイベントはゲームの中にない。ヒロインも同様。私が死んだ後に追加されたものかもしれない。
とにかく、出方もわからなければ犯人もわからない。私にとってはそんな状態だった。
でもこの事件にアメリア嬢の精霊が関わっているならば。私がどんなにもがいたとしても、結果は変わらない。この世界に悪役令嬢として認識されていることになるのではないかしら?
「精霊・・・本当にあれが?ただの鳥に見えるぞ?」
「でも精霊が犯人なら可能ですね。でも、どうしてエミィが被害を受けたのでしょうか?」
「確かにアメリア嬢を虐めていないどころか、あまり接点がないよね。」
皆さん、それは私が悪役令嬢だからです!・・・なんて言っても信じてもらえないだろう。だって私はそうならない為に努力してきたもの。なるほど!なんて納得されちゃ、困っちゃう。
「ここからが長い話になる。信じられない話かもしれない。・・・・・・それから、リア。先に謝っておく。ごめん。」
突然、ルカ様に謝られてしまった。
どういうことかわからないけれど、嫌な予感がする。
震える右手をもう片方の手で握りしめた。
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