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彼女の秘密
しおりを挟む話をする前に、僕は小さく深呼吸した。
今から話すことはきっと、彼女が必死になって隠したかった秘密だ。それを僕が暴くどころか、暴露してしまう。
話した後、リアは僕をどんな目で見るのだろうか。
理解者が現れたとホッとするのか、隠し通したかったと怒るのか、知った後も黙っていたことに悲しくなるのか。僕はなんでもわかると思われがちだけど、リアに関することには自信がない。
転生者。この世界には度々現れると言うが、現代で会ったと言う人はいない。それにより、おとぎ話のような扱いをされている。
さて、どこから始めようか。僕がこれを知ることになった背景から?いや、そこから話すと長くなるか。この場は簡潔に、何故こうなったのかを話すべきか。
・・・できれば勝手に日記を読んでしまったことは避けたい。
「僕は妖精の族長と知り合いだということは、ここの誰もが知っていることだろう?そこで、お婆様が転生者だということを知ったのさ。」
転生者、という言葉にリアがピクっと反応した。
そうか、その反応・・・リアも転生者、しかもお婆様と同じ世界からきたという推測はあっていたのだろう。
「ルカ、お婆様が転生者というのは本当か?」
「あぁ、証拠も色々と見せてもらった。間違いないだろう。」
「族長に会って知ったということは、王宮にその証拠とやらは置いていないのか。」
「どうやら、隠していたようだね。」
「なんのために?」
「バカげた話と思うかもしれないが、ここはお婆様が書いたおとぎ話とそっくりなんだ。」
「お婆様がお話をかいた?そんなこと聞いたことがないな。」
「僕も驚いたよ。」
「"ここ"というのは、この世界のことか?」
「待ってください!王太后様はこの世界の創設者ということですか?!」
「いや、正しくはお婆様は自分が書いたおとぎ話と似た世界に来てしまったということだろう。」
「あの、王太后様のお名前はブランティア様では?」
リアは恐る恐る、といった感じで尋ねてきた。
「今世ではね。でも前世では"ニホン"という世界で暮らしていたらしいから、名前も違ったんじゃないかな。」
「そのお名前は記載されていなかったのですか?」
「ペンネームらしき名前は記載されていたよ。リア、『すみれ』という名前に覚えはある?」
「ルカ様、なぜエミィに聞き覚えがあるかなどお聞きになるのですか?!」
この質問でリアは気づいたようだ。僕に自分が転生者とバレてしまったことが。
「・・・いつからお気づきで?」
「最近だよ。妖精から書物を預かったのは、つい最近なんだ。"ニホンゴ"で書かれていたから、読むのに苦労した。」
「・・・ルカ、どういうこと?この話の流れだと、エミリア嬢も転生者だと言ってるみたいだけど?」
「・・・えぇ、そういうことです。そうだよね?リア」
リアは何かを恐れるように下を向いたまま、こくんと頷いた。
「エミィ、どういうことだ?何故、僕にも話してくれなかったんだ?」
何も言えない彼女の代弁で、僕が答えた。
「言えなかったんですよ。」
「なんでですか?僕はエミィの兄だ!家族だ!彼女が不利になるようなことしない。」
「・・・彼女は悪役令嬢だ。」
「っ!はぁ?!?!何を言ってるんですか!!」
顔を怒りで真っ赤にさせたサイラスが、席を立った。
「落ち着け、サイラス。ルカも、そんな言い方ないだろ?」
僕はカタカタと小さく震える肩に手を置いた。
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