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犯行9
しおりを挟むルカ様に噂の出所であろう人物を聞いて、それはもう驚きました。
どれくらいかって?
それは私が悪役令嬢に転生したと気づいた時くらいですかね。
そしてその上でルカ様にお願いされたのは、彼女との話し合い。
そう、目の前にいるアメリア様と。
「あの…エミリア様。私、何かしたでしょうか?」
突然こんな事態になって戸惑っているのは向こうも同じ。むしろ、状況がわかっていないだけ可哀想かしら。
本日は”お話がある“と言って辺境伯家(自宅)まで来ていただきました。
どうやってって?
もちろん、ルカ様の魔法で少しズルして一般的とは言えない方法で来ていただきました。
そんなことできるなら、私に会いに来れたのでは?なんて言いません。…えぇ、思いはしましたよ。それは仕方ないでしょ。
あぁ、現実逃避していてはダメだったわ。
「ごめんなさいね。突然連れてこられて、驚いたでしょう?」
「…えぇ、まぁ。」
「私もルカ様からのお願いを引き受けたはいいものの、驚いているわ。」
こんなに早く来ると思っていなかったし、そもそも私にこんな大役務まるかしらと思っている。
「やっぱり、私何かしたんですよね?」
「違うの。本当に違うのよ。」
私だって話すのに勇気がいるとはいえ、あまりに引き伸ばしたら彼女に失礼ね。
この会話を全部ルカ様が聞いているだろうけど、今はそんなことを気にしている場合ではないわね。
「勘づいているかもしれないけど…。」
「何がです?」
あぁ、怪訝なお顔をしているわ。そりゃそうよね。
「…何歳でお亡くなりに?」
「え、誰のことですか?」
あぁ、また間違えたわ。
「私はね、まだ高校生だったの。バスが傾いたところまでは覚えているんだけども……。」
「え…あの、やっぱり、エミリア様も転生者でいらっしゃるんですね…?」
探るような眼差し。
彼女と私はヒロインと悪役令嬢。物語では敵同士といえるので、どちらも恐る恐るになるのは仕方がない。
「えぇ、そうなの。思い出したのは6歳の頃よ。」
「え!…そうなんですね。」
翡翠のような瞳が溢れそうなくらい大きくなった。
ん?私、おかしなこと言ったかしら?それとも、ご自分とは違うから…とか?
「あ…私が前世を思い出したのは本当に最近のことで。ピィちゃんもいなくなった後で。」
「そうでしたか。」
とは答えたものの、この表情は他に気がかりなことがありそうね。
「どうか、されました?」
あぁ、なんてぎこちないの私!でも言い訳するなら、この世界では限られた人としか話してこなかったからコミュニケーションが下手でも仕方ないと思うの!
ルカ様、役に立てなかったらごめんなさい!
「えっと…なんで今、このお話なのかなぁと思いまして。」
その疑問はごもっともですね。
「ここ最近の、私に関する噂をご存知でしょう?」
「えぇ…そのせいでお心を傷められて療養されていると聞きました。」
ほう、そんな理由にされているのか。ちょっとかわいそう感を出してくる感じね。ルカ様に任せてしまったから知らなかったわ。
「殿下が犯人をお探しになっているんですよね?」
「えぇ、ご尽力いただいてます。」
「よかった…では、もう安心ですね。」
あれ、じゃあ何で私は呼ばれたんだろう?というお顔ですね。アメリア様、お顔に出過ぎてこの先心配ですね。
「実は…」
「犯人がもうわかっているのですか?」
あー、うん。わかってはいるのだけど、話を遮らないでもらえると嬉しいわ。
「目星はついているんです。ただ、その方も転生者である可能性がありまして。」
「えぇ!!うそぉ!」
…だからアメリア様、転生した者同士だから前世のままの反応なんだとわかるけど、この世界で、その身分で、その反応は良くないのよ。
机に身を乗り出してきた彼女をやんわりとソファに戻して、話を戻す。
「私もルカ様から聞いた時は驚いたんですけど…」
「え、殿下はエミリア様が転生者だとご存知なんですか?」
だから、話を遮らずに最後まで聞いてくださいよ!
「…えぇ、色々ありまして。」
「へぇ、さすがヤンデレ殿下ですね。」
…人の婚約者に対して失礼すぎないこの人?前世で出会っても仲良くなれる気が全然しない。
「それで、なぜ私にそれを?」
「私、ゲームをシーズン1しかプレイしていないので、その後の情報を知らないのです。でもアメリア様なら、もしかしてと思いまして。」
「なるほどぉ。」
あぁ、アメリア様。令嬢なんですから、腕組むとかダメですよ~。このままだと、脚も組んじゃいそうですよね。フラグじゃないですからね!
「私も全てを知ってるわけじゃないですが、お教えすることはできますよ。ただ、これって私にメリットありますか?」
え、メリット?今まで色々やらかしたのをこちらは我慢しているのに、そちらは要求すると?この人、自分の立場わかってないのかしら?いや、わかってないからこんなこと言えるのよね。恐ろしいわ。こういう子じゃないと、ヒロインって務まらないのかしら?
「何か、お望みでも?」
「そうですねぇ、可能ならお願いがひとつあります。」
まぁ、とんでもないことでなければルカ様に掛け合ってみましょう。
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