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番外編
しおりを挟む最近、ルカ様との絡みが少ない。
非常事態なのは分かってるけど、私婚約者だよね?ルカ様ってツンデレヤンデレ系男子じゃなかったっけ?こんなに放置されることある?
お庭でお母様とティータイムをしていても、お兄様やお父様とお食事を一緒にしても、ショッピングをしていても思い出すのはルカ様ばかり。
そこで久しぶりに手紙を書いてみることにした。
私はルカ様と違って、魔法ですぐ駆けつける!なんてことはできないし。
この際、恨み辛みを書いてやろうかしら。
『ルカ様へ
お久しぶりです。お元気ですか?
体調を崩していたりしていないですか?
お忙しいとは分かっているのですが、ルカ様とお話できなくてとても寂しいです。
事態が落ち着いたら、一緒にお茶でもしたいです。
幼い頃は毎日会えないのが当たり前だったのに、学園で一緒に過ごしてから我儘になってしまったみたいです。
私はルカ様に会いたいのですが、ご迷惑になるかと思うと会いに行けません。
最近、会いに来てくれないのは他に気になる人がいるからではないですよね?
そんなことはないとわかっているのですが、少し不安になってしまいます。
会いたいです。
エミリア』
よし、これでルカ様を刺激できるんじゃないかしら。
ラナに頼んで、手紙を出してもらう。
手紙は魔法で送り主に届くのだけど、距離があるので今日中に届くかどうかといったところね。
ちなみに、ルカ様特製の紙とペンだからできる技だ。普通は配達員に渡さないといけないし、もう少し時間がかかる。
さて、どんな反応をするかしら?
ルカ様のことだから直ぐに来てくれるんじゃないかしらという期待してしまう。
あぁ、私って本当にルカ様のことが好きなんだわ。
前世からの推しと婚約者なんて幸せ者、他にいないわよね。
なんてワクワクして待っていたのに、翌日届いた一通の手紙だけで済まされた。
え、これだけ?もしかして、本当に冷められた?嘘でしょ?
慌てて封を開けると、
『バカじゃないの』
それだけ?
いや、わかってますよ。これはデレの『お前、そんな恥ずかしいことよく言えるな(嬉しい)』てやつです。推しとしてなら、何それ可愛い!で済みます。
でも私、婚約者なんですよ。彼の最愛のはずなんです。もっと欲しいと思うのは私がおかしいのかな?
期待してしまった分、なんだかやるせない。
気分ダダ下がりです。
「もう、ルカ様なんて知らない。」
私、拗ねました!
きっとルカ様は、私からの手紙を待っています。まだ送られてくると思ってるんです。だから、送りません。放置です、あんなヤツ。
嫌味を込めて、愚痴を書いた手紙をカエラに送りつける。
きっとカエラなら、私が自分に手紙が届いたことをルカ様に匂わせるわ。あれ、カエラに届いて俺には届かないんだってモヤモヤすればいいのよ。
怒ってる雰囲気を察したのか、ラナやお母様もルカ様の話を私の前でしなくなった。
ルカ様が私の元を訪れたのは、三日後のことだった。
もう寝ようとベッドに潜り込んでしばらくした頃、窓を叩く音がした。
最初は気のせいかと思っていたけど、それが気のせいではないとわかったのはルカ様が中に入ってきたからだ。
「何の用ですか?不法侵入ですよ。」
彼の前では鍵は役割を果たさない。
「ねぇ、リア。なんで?」
「何がですか?」
「俺のこと、嫌いになった?俺のこと、捨てるんだ?」
「誰もそんなこと言ってません。」
「他に好きな人でもできた?」
そのセリフは貴方が言われる側では?
という言葉をグッと飲み込んだ。
「何で答えないの?図星だった?」
「違います。見当違い過ぎたから。」
「ダメだよ、他の人を見たりしちゃ。許さないから。」
「見てませんし、見るつもりもありません。」
「嘘だ。」
気づいたら、ルカ様がベッドの上まで来ていた。私にまたがって、首を絞めてくる。
「俺だけのリアでいてくれないと。」
しまった。怒ってるとわからせるために背中を向けていたから、近づいたことに気づかなかった。
「くるしい?くるしいよね?」
正面からルカ様の顔を見て気づいた。目が虚だ。これはヤバい。
「ま、って。」
「聞きたくない。離れてなんてあげないから。近くにいてくれるなら、死体でもいい。話ができないのは残念だけど、仕方ないよね。」
うわぁ、待って待って。推しに殺されるのは本望だけど、そうじゃない。今はそんなこと考えてる場合じゃない。
「す、き。」
「嘘は聞きたくない。」
「なんで、信じてくれないの?」
涙が流れ落ちる。
「死ん、だら、ルカ様、見れない。」
「死にたくない、じゃなくてそこなの?」
少し呆れた様子で、首を絞める手が緩んだ。
「こっちは、前世から好きなんです!あなたの性格をわかった上で好きなんです!あなたの手で殺されるのは、それはそれで嬉しいですけど、せっかく両想いなのに、ルカ様を拝めなくなるんですよ?いや、死んでも付きまといますけど。」
言い訳のように、早口でツラツラと話す私に呆気を取られた様子。
暗闇でもわかる、彼の顔がみるみる赤くなった。
「バッカじゃないの。もうちょっと怖がりなよ。殺されかけてるんだよ?」
「言ってるじゃないですか。それはそれで嬉しいと。」
悶えるように顔を手で押さえて、ため息を吐かれる。
「ルカ様、私だって怒ってるんですよ?会いに来てくれると思ったのに来てくれないから。」
「ごめん、そのまま僕だけのこと考えててほしくて。」
なんだその可愛い理由。
「そんなことしなくても考えてますから、ちゃんと会いに来てください。」
「次からそうする。」
「そうしてください。私にはルカ様だけなんですから。」
固まっちゃった。
今、彼の頭上に私の言った“ルカ様だけですから”が浮かんでいるのがわかる。
本当に可愛い人だ。
「仕方ない、リアがそんなに僕を好きなら顔を見せに来てあげないとね。」
そう言いながら、隣に潜り込んできた。
「そうですよ。」
抱きしめると、彼の鼓動が聞こえてくる。
頬にキスすると、彼の何かがプツンと切れたのがわかった。
翌日、散らかった服とベッドにいる私たちの様子を見て状況を察したラナに、2人で怒られたのはまた別の話。
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