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第1章
アカリは何着ても可愛い! 〜ジェイドsaid〜
しおりを挟む「お待たせ。」
ノアに女性への気遣いについてやこれからを色々と相談していると、ビオレットがアカリを連れて客室にやって来た。
俺の心は既にバキバキに折れていたので、少しホッとした。
「そっちは終わったのか?」
「バッチリよ!」
「じゃあ、こっちも始めますか。」
ノア付きの従業員が、厳選し終えた服を部屋に運び込む。
うん、やっぱりセンスがいいな。どれを着てもアカリの魅力が引き立ちそうだ。
「好きなものを選んでくれ。試着もできるからな。」
並べられた服に目を輝かせるアカリ。
あぁ、こういう楽しみを僕は我慢させてしまっていたんだ・・・。
いくつか服を手に持ったまま、彼女の視線があちらこちらへと移動する。
きっと、どれを見ようか決めかねているんだな。
「このブラウスも似合うんじゃない?」
ビオレットが助け舟を出した。というより、一緒に選びたくてうずうずして、我慢できなくなったんだろう。
「可愛い!!でも、似合いますかね?」
「不安なら試着すればいいのよ。もちろん、私は似合うってわかってるけどね。時には、服を着るのにも自信がいるでしょ?」
服を着るのに自信がいるのか?
僕は特に服へのこだわりがない。いつも、ノアが選んでくれるものから適当に選んでしまう。
でも、ノアやビオレットは自分の好きな服を好きなように着ていると思っていたのだが、違うのか?
試着室の前でビオレットとアカリが何か話しているが、ここからでは聞き取れない。
僕は自分が思っているより気が遣えないみたいなので、ここは大人しく座って待っておく。女子同士の話かもしれないしね。
ここでアカリが選ぶものをちゃんと見ておこう。好みを把握しておいて、今後のプレゼントに役立てたい。
さっきノアに聞いたんだけど、「なんでもいい」とか「気持ちが嬉しい」って言われても鵜呑みにしちゃいけないらしい。使わないものを買ってこられても困るって言われたら、確かにそうだよね。僕だって同じことされたら困る。善意だと余計にね。
僕はまだ、アカリの"すうぇっと"姿と僕の服を着た姿しか見ていない。
僕の服を着ているのは、なんか可愛かったけど。
「ちょっと落ち着けよ。」
「え??」
「お前、さっきからそわそわしてるの気付いてないの?」
全然、気付いてなかった。恥ずかしい。
「うふふ。楽しみなのね。」
ビオレットはいいおもちゃを見つけたとでも言わんばかりに笑っている。
しまった。これから何度でもネタにされるぞ。
・・・・・・まぁ、楽しみなのは否定しないけどさ。
「あの、着替えました。」
「あら、じゃあ出てきてもらえるかしら。」
おずおずと試着室から出てくるアカリ。
「とっても似合ってる!!可愛い!!」
前ボタンの横あたりにフリルが付いた白ブラウスに茶色いシフォンスカート。
ノアの言う僕の好みとは、アクセサリーや飾りをゴテゴテつけたりしていないということだろうか?
確かにケバケバしいのは好きじゃない。今のアカリみたいな服は似合ってるし、可愛いと思う。
僕の顔を見て恥ずかしそうに微笑むアカリ。
あぁ、なんて可愛いんだ!
それから何度か着替えてもらったが、どれも可愛くて僕の語彙力では同じようなことしか言えなかった。でも、適当に言ってるわけじゃないから!
僕の懐を気にして、どれを買うか悩んでいる様子。
全部買ってもいいって言ってるのに、納得できないようだ。気にしなくていいのに。
最終的に最低限、て感じの量を選んでいた。
「アカリ、今着ている服はそのまま着て帰ろう。下で待っててくれるかい?支払いを終えたら、僕も直ぐに降りるよ。」
「わかりました。あの、ありがとうございます。」
もう、アカリは律儀だなぁ。本当に気にしなくていいのに。
ノアがアカリを下へ案内して降りていく。
「ビオレット、相談があるんだけど女性用のズボンはあるのかい?」
「ズボン?」
「アカリはズボンが好きな気がするんだ。僕が着ているようなデザインで構わない。女性用を作ってもらえないだろうか?」
「作ることは可能よ。着ている女性はいないけど・・・アリね。既存のものばかり作っていても味気ないもの。新しいものに挑戦しなくちゃね。」
「ありがとう。恩に着る。それと、先程着ていた他の服ももらえるだろうか?」
「そんなことしても、アカリは喜ばないと思うわよ?」
「でも、これからの服にしては最低限すぎる。どちみち買うなら、今でもいいでしょう?」
「まぁ、確かに少ないわね。わかったわ。」
料金を支払って、包んでもらう。
「直接家に届けてもらえるだろうか?アカリはこの街が初めてだから、少し回って行きたいんだ。」
「もちろん!そういうことなら大歓迎よ。しっかり楽しませてあげて。」
「ありがとう、助かるよ。」
ビオレットもノアも、こういう時は頼りになる。
下に降りると、ノアとアカリがフロントで話しているようだった。
「お待たせ、アカリ。」
「初めての街なんでしょう?服は家に届けておくわ。折角だから他にも行ってみたら?」
おい、それを言い出したのは僕だぞ。
ここで言い合っても仕方ないから合わせるけどさ。
「そうしようか。どこか行きたいところはある?」
「見ながら決めてもいいでしょうか?街の雰囲気を楽しみたくて。」
そういえば、さっきも馬車から街を見てるだけで楽しそうだったな。
「もちろん、いいよ。そうしようか。ノア、ビオレット、世話になったね。また来るよ。」
「楽しんできてね。」
2人のニヤニヤした顔に少し睨みを利かせて、店を後にした。
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