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第1章

お茶会終わり

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今夜のお茶会は大成功だった。
湯船に浸かりながら、先程の穏やかな時間を思い出した。



私がこのお茶会を思いついたのは、お店で茶葉を選んでいた時。ジェイドにお礼の意味を込めて美味しい茶葉を選ぼうと意気込んでいたところ、茶菓子用にお饅頭が販売されているのが目に留まった。そこで"ティータイム"という文化が頭に浮かんで、和菓子ならお茶会になるのかな、と。

店主にどこで餡子、または小豆を手に入れたか伺ってみればここで販売していると言う。小豆から餡子を作るのは大変だが、餡子が手に入るなら私でも何とかなりそうだ。そう思って茶葉と一緒に、こっそり餡子も買っておいた。後はジェイドがシャワーを浴びている間に急いで準備するだけ。

あんなに喜んでもらえるなんて思ってなかった。
嬉しそうな顔を見たら、なんだか私がご褒美をもらっているみたいだった。



ここに来てよかった。心の底からそう思う。
あちらの世界で、私の扱いがどうなっているのかはわからない。死んでいるのかもしれないし、行方不明になっているのかもしれない。
小説では異世界に来る前、神様に会って説明してもらえたりチート能力をもらえたりする。でも、私にはそれがなかった。あちらの世界のことは何もわからない。
両親には少しだけ悪いと思っているけど、私はあちらに戻る気はない。
搾取されるだけされて、見返りを求めることも許されない。そんな世界だった。
生きる為に働いた。働くことで、死に向かっていることに気付きながらも。むしろ死んだら楽になれるんじゃないかと考えたし、通勤中も帰宅途中も、何度も自分が殺される妄想をした。・・・自分から死ぬ勇気はなくて、誰かに殺されないかなって少しだけ希望を持って。


例えば、私がジェイド以外に助けられたとして。
その人がとても意地悪な人だったら、奴隷のように働かされることになっていただろう。金のために、何処かへ売り飛ばされたかもしれない。
そんなことになっていれば、私は今度こそ自ら命を絶つ決意をしただろう。
ジェイドは命の恩人だ。そして、私の心の恩人でもある。
できることなら、ずっと一緒にいたい。・・・もちろん、彼が望まないなら早急に離れるけど。

彼と食べるご飯はどれも美味しい。
ここに来て食べたミルク粥は、久しぶりに感じた味だった。・・・・・・ここ最近はどれも味がしなくて、死なないために食べていたから。

温かくて、優しくて。

本当は片付けもするつもりだったのに、私も疲れただろうからとジェイドが片付けを申し出てくれた。断っても聞き入れてくれず、風呂場に押しやられた。しかも自分はシャワーだったのに、ちゃっかり湯船にお湯が張ってあるのだ。

私のためだけに張られたお湯。

彼はどうしてこんなにも良くしてくれるのだろう。少しは好いてもらえていると思ってもいいのだろうか。・・・ただのお人好しなのかもしれない。
期待して裏切られるのは嫌だ。
少なくとも嫌われていたら、一緒に住んでないはず。・・・・・・嫌いな人と住むほどお人好しじゃないと思いたい。

さっき向けられた笑顔を思い出して、あれは私だけに向けられるものだったらいいのになんて思う。

赤く火照った顔は、きっと体が温まったからだ。






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お待たせしました。
更新遅くなって、申し訳ないです。

平日はバタバタとして更新できない日も出てくるかと思います。
進められそうな時にバンバン進める予定ですので、ご了承いただけると幸いです。
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