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第2章
タオル〜ジェイドsaid〜
しおりを挟む今日は2人とも休日。
僕らの仕事に明確な休日はない。だから2人で示し合わせて休日を取るようにしている。
「ねぇ、ジェイド。この後、少し時間をもらってもいい?」
いつもより少し遅めの朝食を食べている時だった。
僕たちは、なんだかんだ2人で休日を過ごす。お互い別の本を読んでいても同じ部屋にいたりするし。
だからわざわざそんなことを聞くなんて、不思議に思った。
「もちろん。」
「ありがとう!」
笑みを深めたアカリに、ますます謎が深まる。しかし、きっと悪いことではないのだろう。考えすぎずに待ってみることにした。
朝食を食べ終えると、彼女は急いで部屋に戻っていった。
慌てなくても僕は逃げないのに。
しばらくして、小さな包みを持って戻ってきた。
「これ、日頃の感謝を込めてプレゼントです。仕事をして、初めての給料はジェイドに使いたくて。・・・もらってくれる?」
おずおずと差し出された包みは、リボンも使って丁寧にラッピングされている。
嬉しい。素直に嬉しい。
彼女はお金ほしさに働いていたわけではないようだ。お金がほしかったなら、きっと給料を自分の好きなことに使っただろうから。
「開けてもいいかい?」
小さく頷いたのを確認して、包みをそっと受け取った。手に取った感じでは、軽くて柔らかい。一体、何だろう?
するするとリボンを解く。包みから取り出したそれは、2枚のタオルだった。淡いブルーと黄色のタオル。端っこには動物や野菜の刺繍が入れられていた。
「あの、私、花とかに詳しくなくて。野菜とかの方が、ジェイドらしい気がして・・・・・・。」
モジモジと、俯き気味にアカリは呟いた。僕は自分の容姿を見て、美しい花に例えられたりすることは今までに何度もあった。刺繍のハンカチを贈られたこともある。でも、野菜はない。
野菜が、僕らしいか・・・。毎日、畑仕事してるからな。
高嶺の花のように扱われてきた自分に贈られた、野菜の刺繍。なぜだろう。温かい気持ちになって、悪い気はしなかった。
「ありがとう。大切にする。」
「これくらい、いくらでも作るから。ちゃんと使ってね?」
照れて、少し拗ねたように言うアカリが可愛い。
話によると、最近ニコニコしていたのはこの贈り物のせいだったようだ。本人はニヤニヤして気持ち悪かったかも、なんて言っていたけどそんなわけないじゃないか。
仕事の話題を避けていたとも言っていたから、今なら僕の気持ちも少しは話せるかもしれない。
「あのね、アカリ。少し話があって。」
「なぁに?」
向かい側で少し小首を傾げる彼女が可愛くて、コーヒーを一口飲むことで冷静さを保つ。
「アカリが仕事を始めて、2人の時間が少し減って・・・なんだか少しは寂しかったと思うのは、僕の我儘だろうか?」
少しキョトンとした顔をしていたが、遅れて意味を理解したのだろうか。段々と深くなる笑みに、恥ずかしいことを言ってしまったように思えて恥ずかしくなった。
「ジェイドが我儘を言ってくれるなんて、私は嬉しいよ?いや、これくらい我儘だって思わないけど。・・・そうだなぁ。畑近くにベンチでも置いてみる?そうしたら、外でも刺繍ができるし。」
「でも、刺繍しながら話したりするのは気が散るんじゃないか?そのせいで指に怪我するとかは嫌だよ。」
「大丈夫!私も気分転換になるから。2人で休憩にお茶飲む用にしてもいいね!」
心配をする僕をよそに、アカリは外にベンチを置く案をほぼ決定させている。
「ガーデンハウスって言えばいいのかな?そういうのがあれば日差しも気にならないし、雨も凌げるでしょう?でもここに用意するとなると大変よね・・・。」
ガーデンハウス・・・裏口付近を屋根付きにしてテラス屋根みたいにしてもいいな。確かにそうすればテーブルに裁縫道具を置けるから、ベンチに置くより安全だろう。僕自身、アカリが作業しているところが見えて、安心だし。でも一から作るとなると時間がかかるからな・・・そうだ!
「僕が大きなパラソルを作るよ。ベンチと、小さなテーブルも。そうしたらいつでも好きなところで広げられるよ!」
「確かにそれが1番低コストで時間がかからなさそうね。私、ノアさんに雨や日差しを遮るような布がないか聞いてみるね。」
「ありがとう。材木は知り合いに聞いてみるよ。」
よし、これでお互いに仕事をしていても一緒にいられるようになる!
その日、さっそくじいちゃんの知り合いと連絡をとった。
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