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第2章
元カノ?!
しおりを挟む次の日、ジェイドは畑仕事を終えて森へ出かけた。そろそろ狩りに行って肉を卸さないといけないらしい。私は狩りについて行っても足手まといなので、家でハンカチの刺繍作業をすることにした。
現在、午後の2時。昼ごはんを食べ終えて、先程ジェイドが家を出たばかりだ。
今日はティータイムの時間はとれないだろう。それを残念に、寂しく思っている時だった。
コンコンコンッ!
玄関を叩く音がした。
誰だろうか。
ジェイドからは誰かが来ると聞いていないし、ブティックの従業員も来る予定ではない。誰かわからない時は危険だから出ないように言われている。私自身が剣術も護身術も使えない上、ここは村とは違って周りに助けてくれる人がいない。突然の訪問客を対応するのはかなりのリスクがあるのだ。
気にはなったが、訪問客が名乗る様子もない。とりあえずそのままやり過ごすことにした。
コンコンコンッ!!
しばらくして、また玄関を叩く音が聞こえた。
なんかヤダなぁ。誰だろう。
知り合いならわかっているから名乗ってくれる。ということは私の知らない人なのだ。
コンコンコンッ!!!
「ちょっと!ジェイド、いないの!?」
女性の声だった。しかも、若めの。
やはり、この声に覚えがない。村の人でもないようだ。
「居留守を使わないでくれる?居るのはわかってるんだから!」
なんだか、私が立てた物音をジェイドだと勘違いしているようだ。まぁ、ジェイドしか住んでいないと思っていたらそうなるだろう。ということは、学生時代の知り合いだろうか。
突然入ってこられても困るので、鍵が閉まっているかをそっと確認する。
「もぉ!!ジェイドったら、開けなさいよ!」
ドンドンドンッ!!
びっくりした!ちょっとこの人、図々し過ぎない?うるさいんだけど。
リビングにいたら仕事に集中できなそうだ。2階の自室へと移動した。
そして窓からそっと様子を見てみる。薄茶色のロングヘアの女の人だというのはわかった。
「もう!本当にいないの?誰かいる気がしたのは勘違いだったかしら。」
2階にいるのに、女性の声は丸聞こえだった。
諦めて帰ろうとしているところ・・・
あ、しまった!目が合ってしまった!なんてタイミングの悪さ。なんで、すぐ窓から離れておかなかったんだろう。
「誰よあなた!!ちょっと、降りてきなさいよ!居留守使ってんじゃないわよ!!」
えぇぇぇ、嫌だよ。怖すぎる。何あの人。
このままでいるとキャンキャンとうるさくて仕事にならないので、仕方なく1階へ降りて扉を開けた。
「やっと出てきた。あなたね、人の家で何してるの?不法侵入だってわかってる?警察を呼びましょうか?」
ん????ちょっと待って、私は何を疑われてるの?
「いや、ここに住んでますけど・・・。」
女性は眉を寄せて、顔を歪めた。
「何言ってるの?ここはジェイドの家でしょ?彼が女の子と住むわけないじゃない。」
「そう言われても、住んでるんですよ・・・。」
「わかった、あなたストーカーでしょ。」
「違いますって。ジェイドは先程家を出たばかりなので、おそらく夕方まで帰ってこないですよ?」
「なに、あんたジェイドの帰り時間までわかるなんてやっぱり普段から見張ってるんじゃない!」
なんでそうなるかな・・・。ジェイドさん、この人誰ですか?早く帰ってきて・・・。
「とにかく!あなた1人でこの家に居させるなんて、何をするかわからなくて危険だわ!」
そう言うとズカズカと家に入ってきた。
マジで図々しいよ、この人。
我が物顔でリビングの椅子に腰をかけた。
仕方がない。おそらくジェイドの知り合いなんだろう。とりあえず、お茶でも出すか。そして飲んだら帰ってもらおう。
キッチンに行って紅茶を作り始めた。そんな私を厳しい目線で見ている。
「モノの位置まで把握してるなんて、どれだけ通い詰めてるの?ジェイド、早く帰ってきてくれないかしら。この女、危険すぎるわ。」
そのお言葉、そっくりそのままお返ししますねっと。
心の中で返事(ツッコミ)を返しながら、紅茶を彼女を出した。
「変なもの入れてないでしょうね?逃げるために、何か企んでるんじゃないの?」
やたらと疑いにかかってくる彼女に、だんどん腹が立ってきた。突然、訪問してきたのはそっちなのにその態度はなんなんだ。
彼女の向かい側に腰を下ろし、どうにか紅茶を飲んで気持ちを落ち着かせようとする。
「で、あなたはいつからこんなことをしているの?どこの誰なの?」
「ジェイドから、知らない人は出なくていいと言われています。無理に押し入ってきたあなたに答える義理はありません。それに、人に尋ねる時は自分から言ってもらわないと。」
目も合わせず、淡々と答えた。顔を見ていないから表情はわからないが、なんとなく怒っていることだけは伝わってきた。しかし、私が彼女の機嫌を取る必要性を感じない。だから放置した。
「あなた、こんなことして残念な人ね。ジェイドはあなたなんて相手にしないわよ?付き合ったことのある私が言うのだから間違いないわ。あなたはジェイドの好みじゃない。わかったらさっさと出ていきなさいよ。」
追い出されても文句言えない立場で何を言い出したのだろう。
ジェイドと付き合っていた?本当に?それこそ勘違いじゃないの?本当にこんな人と付き合っていたとしたら、ショックだな。見る目がなさすぎる。
彼女とは目も合わせないまま、答えないまま無視を決行することにした。
「諦めの悪い女ね。」
哀れみを含んだ声色で言われたが、哀れなのは何も分かっていないのにそんなことを言えるあなただと思う。
舌打ちをしたい衝動を抑える。
2階の自室へ戻ろうかな?でも放っておいたら、それこそ何をするかわからないし・・・。そもそも2階へ行かせてくれないかもしれない。厄介な客が来てしまった。
深く、大袈裟気味にため息をついた。
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