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第2章
元カノ?!〜ジェイドsaid〜
しおりを挟む村からの帰路。アカリへの手土産を持って、急いで帰っていた。別に早く帰ってきてほしいとか約束があるとかじゃないんだけど、家でアカリが僕の帰りを待っていると思えば自然と早足にもなる。
今日の手土産は果物のゼリー。ここは海が近くないため、寒天が手に入りにくい。夏の間、運が良ければ村で買えるかもしれないくらいのレア物だ。帰ってすぐに冷やし、ご飯の後のデザートにしようと思っている。
「ただいま!」
笑顔のアカリが出迎えてくれるのを期待して、家に入った。・・・が、そこに居たのはなんともピリリとした空気のアカリと・・・・・・誰?見たことはある気がするんだけど。
「ジェイド!やっと帰ってきたのね!家を訪ねてみたら変な女がいて・・・今は大人しくしてるけど、危ないわ。警察を呼びましょう?」
・・・えっと、変な女なのは君の方じゃないかな?
僕の顔を見るなりすごい勢いで話しかけて、思わず少しのけぞってしまった。
アカリの方をチラリと見ると、顔に温度がない。この勢いで攻められ続けたのだろう。
急いで帰ってきてよかった。
「えっと・・・ごめん。誰だっけ?」
そう言うと、ショックを受けた顔をされた。
そりゃそうだよな。この話し方は知り合い(のつもり)なんだろう。
「ミュシカよ。・・・私たち、付き合っていたでしょう?ノアと3人で、よく一緒にいたじゃない。ここにも来たことがあって、おじいさんとも話したことがあるわ。・・・あぁ、あの時は確かショートカットだった。」
うーーーん、そう言えば確かノアの彼女に馴れ馴れしい子が1人いたような。ノアの彼女なのに僕にも付きまとってきて、家まで来られた時は流石に止めてくれって言ったんだっけ?
「なんで!?私たちの仲でしょ?冷たすぎるわ・・・もう知らないっ!」
とか言って、走り去って行った日から来なくなって安心してたんだけど・・・彼女はノアじゃなくて僕と付き合っているつもりだったのか。今更だけど納得した。ノアの彼女なのに、ノアを放置して僕にばっかり話しかけてくるから、当時は気が気じゃなかったんだ。
「本当に申し訳ないんだけど、僕は君と付き合ったつもりはないよ。いったい何時、僕は君の告白をOKしたことになっていたんだろうか。」
「ちょっと待って。何を言ってるの・・・?」
「君のこと、少し思い出したよ。僕は当時、君はノアと付き合っていると思っていた。だから君の名前も認識していなかった。」
説明を進めると、彼女の顔が青くなっていく。
本当に、どうして勘違いなんてしたんだろう。
「私、あなたに手紙を書いたわ。直接渡す勇気はなくて、だからあなたのロッカーに手紙を入れたの。そうしたら、次の日"僕も君が好きだ"って書かれたメモが入ってた!だから受け入れてもらえたんだと・・・・・・」
手紙?ロッカーに入ってたことがないどころか、僕は鍵をかけてたから勝手に開けることすらできなかったはずだ。
「ちなみに、どこのロッカーに入れたか覚えてる?」
「・・・確か、1番上の段の右から4番目よ。」
「あぁ、そこはリュカのロッカーだ。」
「嘘・・・」
彼女は膝から崩れ落ちて、床に座り込んでしまった。
アカリは・・・残念なものを見るような目で見下ろしている。そんな顔もできたんだね。
「それから、この人は僕と一緒に住んでいる。」
追い討ちをかけるようで可哀想な気もしたが、警察を呼ばれたら困る。
「・・・あの、ごめんなさい。」
後ろを振り返って、弱々しく謝っている。
うん、素直に謝れる人でよかった。
「・・・ジェイドは女の人に興味がないのだと思ってた。」
泣きそうな顔で僕に話しかけてくる。彼女がここに来た理由をまだ聞いてないけど、元カノと主張するくらいだから未練を持ってくれていたのだろう。
「僕もだよ。」
まだ、はっきりと本人に気持ちを伝えてはいないけどね。
よろよろと立ち上がると、自身のカバンを持って玄関に向かって歩き始めた。ドアの前で振り返り、
「お騒がせしてすいませんでした。・・・今日は、近くに来たからジェイドの顔でも見ようかと・・・。あわよくばヨリを戻せたらなんて思ってたけど、戻すほどの関係性も築けてなかったとわかったから。」
リュカは人のものを借りて、返すのを忘れていたりする。それで僕が直接ロッカーから引き取っているところを見て、そこが僕のロッカーだと勘違いしたのだろう。
彼女は泣きそうな顔で、無理に笑顔を作って去って行った。
「・・・その、リュカって人も可哀想ね。」
静かになったところで、アカリがポツリと呟いた。
「え??」
「だって、好きな女の子から告白されてOKしたつもりだったのに・・・」
「あ・・・それは確かに、気の毒だね。」
すぐに借りたものを返さなかったことが原因だから、自業自得かもしれないけど、ね。
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