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第4章

朝食

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翌日、私は街へとやって来ていた。もちろん、仕事を探すためだ。

私ができることといえば、前にしていた服飾関係か接客業あたりかな?どこか募集してないかな。

現世なら求人広告とか専用の雑誌があったりしたけど、この世界にはそういったものはなさそうだし・・・。とりあえず、お腹空いたし朝ごはん食べようかな。

近くの飲食店に入る。確かここは昨日、ラムさんが美味しいって言ってた店だ。

カランコロン♪

「いらっしゃい!好きなとこ座ってね。」

お店に入ると、元気のいい女将さんが声をかけてくる。

少し迷って、奥のテーブル席に座った。卓上に手書きのメニュー表が置いてある。

トーストのセットがあるな。これにしよう。

「すいません!」

「はいはい!」

女将さんは呼ぶとすぐに来てくれた。

「トーストのセットで。」

「スープはお任せでいいかい?」

「はい。」

「はいよ。ちょっと待っときな。」

店内には3組の客がいる。彼らも仕事前だろうか。

静かだけど居心地のいい、温かい雰囲気の店だ。仕事前に来たくなるのもわかる気がする。

しばらく待って、女将さんがトーストセットを持ってきてくれた。

トーストしたパンは食べやすいように半分に切ってある。
隣に置いてある小瓶のジャムはお手製だろうか?少量のせて食べると、うん、美味しい!もしかしてこれ・・・。

「美味しいだろ?そのジャム。」

「はい、とっても。なんのジャムですか?」

「プラムさ。塩につけたのは酸っぱくて、ご飯に合うんだよ。」

やっぱり!梅だわ、これ。程良い酸味とほのかな甘み。この世界にはないかと思ってた。

「プラムってどこかで売ってませんか?私、気に入ってしまって。」

「そうかい、そうかい。プラムはこの村の特産品でね。これはうちの庭にある木から採れた実を使って作ったのさ。この村なら近くの果物屋に売ってるよ。」

「そうなんですね!ありがとうございます!」

早速、買おうかな。梅はジェイドにもぜひ食べてほしいんだよね。

「そういや、あんた、ここじゃあんまり見ない顔だけど新入りかい?」

「少し事情がありまして、住むところを探していたらラムさんに紹介していただけることになりまして。空いてる小屋をお借りしているんです。」

「あぁ、ラムんとこの小屋ね。仕事はどうすんのさ。決まってるの?」

痛いところ突くなぁ・・・。

「その様子じゃ決まってないのね。よし、じゃああんた、ウチで働きなさいな。なぁに、うちも昼間になると忙しくてね。誰か手伝ってくれないかと思ってたのよ。丁度いいじゃない!」

「え!ありがとうございます!助かります!」

助かりますけど・・・、背中は痛いのでそんなにバシバシ叩かないでもらえると・・・。

まぁ、何はともあれ、気前の良い女将さんでよかった。これで食いっぱぐれることも、ラムさんに心配をかけることもないわ。

「早速、今日からお願いしていいかい?それ、賄いってことにしてやるからさ。」

「もちろんです!」

ラッキーだなぁ。今日はツイてる日かもしれない。実はいうと、この村にたどり着くまでに結構お金を使っちゃってるのよね。

キッチンに戻ろうとした女将さんが、くるりとこちらを振り返った。

「そうだ、忘れるところだった。私はここの店主をしてるハイナよ。あんたは?」

「アカリです。よろしくお願いします。」

「アカリね。まだ客が少ないからゆっくり食べてていいわよ。」

「ありがとうございます!」

この村に来てから、順風満帆ね。

いつか女将さんにジャムの作り方を教えてもらおっと。ジャムは日持ちするし、手紙と一緒にジェイドに送れるもんね。

この時の私は、この1週間後にここを去ることになると思っていなかった。
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