53 / 62
第4章
ノアサイド
しおりを挟むこんなに長い距離を馬で移動したのは初めてではないだろうか。
買い付けに行く時は帰りに荷物が増えるから荷馬車で行っている。直接馬に乗ったりしない。
今はとにかく急いでアカリのところへ向かわないといけないから、最小限の荷物を持って馬に跨っている。
じいさんは知っていたのかもしれない。だから俺とあんなに竜の話をしていた。研究していた。そう考えれば今まで不思議に思っていたことも、辻褄が合う。
アカリがクマみたいな男とこの街を出たと聞いたのは昨日のことだ。今日、朝早くにここを出た。
アカリがあの家から出て約1ヶ月。
あそこの雰囲気は驚くほど変わった。
いや、俺もあんなに熱心にじいさんと話していたのはなんとなく気づいていたからかもしれない。
どこか人離れしたところがあった。ほっておけない奴だと思っていた。
でもあんな状態になるなんて、想像を超えてきてるんだよ!あの馬鹿が!
ジェイド本人は無自覚なんだろう。仕方ない。
起きたら、仕方ないでチャラにしてやる気はないけどな!一発殴らせろ。
死んだかのように目を覚さない親友に、俺の気持ちが伝わっているはずはない。
とにかく早くアカリちゃんと合流しないと。
アカリちゃんだって、ジェイドがこんなことになるなんて知っていたら離れなかったに違いない。てか、なんで家出たんだよ。上手くやってたじゃん!
俺が楽観的過ぎたのか?
見えてきた街にホッとしながらも、ここにも既にいなかったらどうしようと不安を覚えた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
31
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる