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第4章
野菜カレー2
しおりを挟むグツグツ、コトコト。
甘くてスパイシーな香りが家中に広がっている。
ジェイドが採れたての野菜でカレーを作っていた。
ナス・カボチャ・人参・ジャガイモ・インゲン。
カレーと一緒に煮込むものと、別で焼いてトッピングにするもの。
ジェイドが作るカレーはいつも野菜がたっぷりで、食べ応えがあって美味しい。"太る"とかいう概念を忘れておかわりをしてしまう。
でも、まだ今は調理段階。
さて、私は溜まった洗濯物を退治しに行こう。荷解きもしなくちゃ。
洗濯場からもジェイドの鼻歌がわずかに聞こえてほっこりする。
帰ってきたんだなぁ、私。こんなに早く戻ってくるとは思ってなかったけど、もう覚悟は決めたから。
この家には洗濯機がない。他は現代と同じような機械を使っているし、この世界にないわけではないのに手洗いだ。壊れてから購入していないだけだと言っていた。寒くなる前に買いに行こう。
パンッパンッと洗い立ての洗濯物をはたいた。雫と一緒に、少し前の不安が落ちた気がした。洗濯物は干している時が1番好きだ。
「アカリ、できたよ。手伝うから一緒に食べよう。」
ジェイドが隣に来て、トレーナーをパタパタとし始めた。雑な私のはたく音とは大違いだ。なんだかジェイドらしい。
「ありがとう。」
「2人でやれば早く終わるから。」
ジェイドはいない間に植物になってたので、洗濯物は私分しかない。2人でしたから、本当にすぐ終わった。
「じゃあじゃあ、お待ちかねのカレーの時間です。ほら、行こう。」
背中を押され、室内に戻る。
「もう、わかったから押さないで。」
「渾身の出来だよ?早く食べてほしくって。アカリ、僕のカレー好きでしょ?」
「うん・・・まぁね。」
笑顔の彼に促されて、席に着く。
「すぐ出すから。」
既に部屋中からいい香りが漂っている。
私がジェイドの作るカレーが好きなのは、美味しいからだけじゃない。彼と一緒に食べるからだ。目の前に差し出されたカレーを見て、初めて気付いた。
「美味しそう。いただきます。」
「どうぞ。」
私は、所謂お家カレーがあまり好きではなかった。
匂いを嗅げばいい匂いだと思う。でも、今日の晩御飯がカレーだとわかるとテンションが下がった。なんで?って聞かれても、よくわからない。食べることが好きで食い意地をはってるから、数日同じものを食べることが嫌だったのかもしれない。
それでも、インドカレーとかは好きだった。カフェで出るようなカレーとか。家で作れなさそうなやつ。
食いしん坊だとか、贅沢なやつだとか言われそうだから言わないけど。
ジェイドのカレーもカフェで出るようなカレー。でも、あんまりそんなこと考えたりせずに食べてた。
美味し~!!!って。
ジェイドに「好きでしょ?」って聞かれて、あれ?って思って考えた。私、カレー好きじゃなかったのになぁって。カフェとかのカレーは好きって言っても、おかわりするほどじゃない。じゃあ、なんで?って。
「美味しい?」
「うん!」
私は彼とのこういう時間が好きなんだ。私の為に、私を喜ばせようとして作ってくれるカレーが好きだ。私が美味しいって言うと、よかったって嬉しそうに笑う彼が好きだ。
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