深海

都築稔

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出会いの悪さ③

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私が心から信頼して全てを曝け出せる人はどんな人だろうか。考えたことがある。

親友とか弟が理想なのだけど、その二人のどこがいいのか深堀りしてみた。

弟は私と過ごした時間が長い分、私の扱いがすごくうまい。例えば、「お風呂に早く入ってきて」と言うのではなくて「お風呂空いてるけど入りませんか?」と誘ってくれる。

私は自分が本を読んでいる時とかに急かされるのが嫌い。でも弟の誘い方だと、素直に「このページ読み終わったら入るね」と言える。前者の言い方だと、どうしても今入らないといけない、この一文も読ませてくれないのかと怒りたい気持ちになる。

きっと、「このページがあと少しで終わるから、そこまで読ませて」と言えば読ませてくれる母なのに。

他にも、私が誕生日プレゼントを渡した後の反応もよかった。

弟のコップの取手が割れていて、代わりになるような容量も同じくらいのコップをプレゼントした時のこと。

弟は「まだこのコップが気に入っていて使いたいから、このコップはもう少しあとで使わせてもらうね。このコップが気に入らなかったとかじゃないよ。大切にとっておくね。」と言ってきた。

そもそも、弟がその時使っていたコップも私がプレゼントしたものだ。それをこんなに大切にしてもらえて、誰が嫌な気持ちになるだろうか。しかも先にちゃんと今は使わないと伝えてくれているんだから、私が後悔する要素も不安になる要素もない。我が弟でなくても最高の答えだと思う。

毎年、弟は私がプレゼントしたらちゃんと使ってくれるし、お礼も言ってくれる。気を遣ってくれているんだろうけど、弟は私に甘いと思う。他の兄弟にそこまでしているところは見たことがない。私もその分、弟を可愛がってはいるけれど。

総じて、弟は私を不安にも不快にもさせない。距離が近いわけでもなく、適度ないい距離を保っている。お互いに言いたくなさそうだと感じたことは深堀りしないし、深堀りしたくなるような不安を抱かせない。

そんな男を知っているのに、「この世にそんな男いない」なんて言えない。いるんだもん。姉弟だから成り立つものかもしれないけど、弟はきっと彼女にも似たような対応をしているのじゃないだろうかと思っている。
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