深海

都築稔

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出会いの悪さ②

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まずは彼女がいるときは、彼女に仕事を教えてもらうこと。

あの後、また仕事でわからないことが出てきた私は彼女に「教えてほしいんですけど」と声をかけてみた。彼女に私はあなたに害のない人間ですと伝えるためだ。

彼女の反応はというと、今までに見たことがないくらい嬉しそうな顔をしていた。

よかった。私の対応は正解だったらしい。

ホッと胸を撫で下ろした。

後は仲良くなるために関係ない話もできるようになれたら勝ち。

といっても、私はコミュニケーション能力が高くない。恋愛もあまりしてこなかったからいい反応ができない。

さて、どうしよう。

なんて思ったのだけど、それからは彼女が話しかけてくれるようになったのでそこまで困らなかった。仲がいいというわけではなかったけど、少なくとも敵認定はされずうまくやり過ごすことができた。

私は恋愛になると、とことん鈍い。

この次に始めたアルバイトでは、店長と私が仲良くしていた先輩が付き合っていたらしい。でも私は、店長と先輩が違う店舗に移動して初めて知った。よく一緒にいて話していたのに気づかなかったなんて。今思い返せば、なるほどと思うことはたくさんある。

私は警戒を解くのは遅いけど、警戒を解いた相手にはフットワークが軽い。それは友達とかとして認識しているから。ただ、その時間を楽しむだけに行っているのに虎視眈々とその時を狙っていた狼に気づくのは、既にピンチに陥っている。

私はまともに男性と付き合ったことがない、経験値0に近い女だ。

いいなと思った人には既に彼女がいたりしてすぐに諦めて。いい感じになった男性は自分から切る。

好きになって手遅れになって、傷つくのが怖い。

好きをぶつけて受け入れてもらえなかったら?

愛してくれていると思っていた人に裏切られたら?

心の弱い私は受け入れられないと思う。きっと病んで、立ち上がれない。

そんな思いをするくらいなら…。

だからちゃんと付き合っている人を尊敬するし、私が壊す原因になっていいわけない。そんなことになったら自分が許せない。

私の被害者になった人には謝りたいと思うのが半分、私なんかを思い出さずに幸せになってくれと思うのが半分。

なんて自分勝手なんだろう。

自分で自分に嫌気がさす。

それでも私はきっと繰り返す。心では私を曝け出してもいいと思える人と出会えることを願いながら。心から愛してると言える人と、騙されても仕方ないと思える人と出会えることを望みながら。

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