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皇帝サイドⅢ
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我は皇帝。紅蓮の皇帝。皇帝たるもの騎士候補生を迎えることなど造作もない。我は忙しい。
面倒なことは教育係である、ヨーデルがやってくれるであろう。彼には候補生には厳しく接するように言ってある。そもそも甘やかすという概念が我にはあまりよく分からない。
少女がそれに耐え切れなければ、それはそこまで。何、騎士候補生の代わりなどいくらでも用意できる。そんなことを考えながら、我は新聞に目を通す。どの新聞も一面、先日のパレードのことばかり書いてある。しばらくはこの話でもちきりであろう。まあ、我にはどうでもいいことなのだが。
数日後。
我はヨーデルを呼び出し、候補生の教育の途中経過を聞くことにした。
「あの候補生の調子はどうかね」
「まずまず、と言ったところでしょうか。宮殿内のことはひと通り教えましたし、彼女がどう振る舞うべきか、というようなことも教えました。文字の読み書きに関しては、まずは読み方から教えております。その方が効率が良いと思いましたので……それにしても、彼女は本当にものを知らないのですね。どうしてあのような人間を陛下は宮殿に迎え入れることになさったのですか?」
ヨーデルの指摘は的を射ている。やはり頭のキレる奴だな。しばし、考えたのち、
「恐らく候補生の出自は大したことはない。どうせあのいけすかない行商人がどこかで拾ってきたのであろう。歌が上手いと言っていたが、今の我にはどうでもよい。しかし、それなりの容姿はしておる。ときにヨーデルよ、もしあの謁見の時、我がサインをしなかったらどうなっていたと思う?」
ヨーデルは途端に顔色を悪くして、
「そういうこと、でございますよね、陛下」
「うむ。そういうことだ。貴殿のことである、ここで語るまでもない。それこそ言うだけ野暮というものよ」
「失礼致しました、陛下」
「いや、貴殿に落ち度はない。引き続き候補生をよろしく頼む」
「承知致しました、陛下。では、私はこれで失礼します」
ヨーデルが部屋を出ようとしたときであった。
「なあ、ヨーデル。貴殿が騎士であった頃が懐かしく感じられないか?」
面倒なことは教育係である、ヨーデルがやってくれるであろう。彼には候補生には厳しく接するように言ってある。そもそも甘やかすという概念が我にはあまりよく分からない。
少女がそれに耐え切れなければ、それはそこまで。何、騎士候補生の代わりなどいくらでも用意できる。そんなことを考えながら、我は新聞に目を通す。どの新聞も一面、先日のパレードのことばかり書いてある。しばらくはこの話でもちきりであろう。まあ、我にはどうでもいいことなのだが。
数日後。
我はヨーデルを呼び出し、候補生の教育の途中経過を聞くことにした。
「あの候補生の調子はどうかね」
「まずまず、と言ったところでしょうか。宮殿内のことはひと通り教えましたし、彼女がどう振る舞うべきか、というようなことも教えました。文字の読み書きに関しては、まずは読み方から教えております。その方が効率が良いと思いましたので……それにしても、彼女は本当にものを知らないのですね。どうしてあのような人間を陛下は宮殿に迎え入れることになさったのですか?」
ヨーデルの指摘は的を射ている。やはり頭のキレる奴だな。しばし、考えたのち、
「恐らく候補生の出自は大したことはない。どうせあのいけすかない行商人がどこかで拾ってきたのであろう。歌が上手いと言っていたが、今の我にはどうでもよい。しかし、それなりの容姿はしておる。ときにヨーデルよ、もしあの謁見の時、我がサインをしなかったらどうなっていたと思う?」
ヨーデルは途端に顔色を悪くして、
「そういうこと、でございますよね、陛下」
「うむ。そういうことだ。貴殿のことである、ここで語るまでもない。それこそ言うだけ野暮というものよ」
「失礼致しました、陛下」
「いや、貴殿に落ち度はない。引き続き候補生をよろしく頼む」
「承知致しました、陛下。では、私はこれで失礼します」
ヨーデルが部屋を出ようとしたときであった。
「なあ、ヨーデル。貴殿が騎士であった頃が懐かしく感じられないか?」
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