漆黒の騎士と紅蓮の皇帝

太白

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騎士サイドXIII 幕間④

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 四ヶ月弱。日記の日付では、三ヶ月と三週間。
 たったそれだけの期間で、レックス少年は『黒薔薇の騎士』になった。
 それに引き替え私は。
 才能、環境、知識……。何に於いても劣っていた。
 読み進めれば読み進めるだけ募っていく嫉妬や焦燥感。あの日身を焦がした感情が、熱を持って甦ってくるようだった。
 知らずギリギリと奥歯を噛み締める音がする。

 それでもここまで読み進めた甲斐はあった。
 騎士への昇格試験は青薔薇の騎士が担当すること。青薔薇が空位の今、私の昇格試験の担当が先生になることは容易に想像がついた。
 そしてその先生の弱点。唯一の攻略法。相手に僅かな隙を生み出す剣。
 これは利用できると思った。
 それと同時に、この技を私が知っていることを悟られるわけにはいかないとも思った。
 獣が舌舐めずりをするように、唇の端が歪むのを感じた。

 更に驚きの情報もあった。
 なるほど、様々な点に於いて納得した。
 レックス少年が記録を塗り替えるまで、騎士へと至るに要した期間が半年、という最短記録を保持していた人物。

『ユール・タマージュ』

 ここでもその名が出るのか。
 決して笑わない目。一見隙だらけに見えても、その実一切の隙のなさ。私の腕を捕らえて離さなかった強い力。有無を言わせない強引さ。陛下に対する態度。
 明らかに一般人ではなかった。
 しかしそれも、元最高位の騎士であるなら、すべてに得心がいく。

 私の見えないところで、縁は巡っていた。
 絡め取られたのは、果たして。
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