幸運な家族

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三森

ペットショップ

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 翌朝、宮下家は隣の市まで来ていた。大きなペットショップを検索したところ、町内はもちろん、市内でも無く、県内まで広げてやっと二か所だったからだ。そのうちの近い方へ車で向かっている。

「なぁに、お兄ちゃん変な顔して」
「別に」

 正章がはしゃぐ美結を胡乱な目で見つめるものだから、美結が舌を出して窓へと顔を向ける。そこは大都市とまでは行かないが、店が沢山並んでいて、いつもの自然ばかりとは正反対なものだった。

「やったぁ、良いねここ。毎週遊びに来よう」
「車で一時間かかるからさすがに無理よ」
「ちえ~ッ」

 ペットショップはホームセンターの中にある。立体駐車場の二階に駐車をし、駐車券を持ってホームセンターに入った。

「駐車場広かったね」
「皆車で来るから」

 駐車場は三階建てでかなりの面積があった。その半分程が埋まっていたので、地元に比べ栄えたところだと分かる。

「さすが県庁所在地ね」
「こら、美結勝手に先行かない」

 美結がペットショップとは逆に歩き出したのを正志が止める。美結がきょろきょろしながら戻ってきた。

「だって、すぐうさちゃんに会いたいんだもん」
「ペットショップあっちよ」
「そうなの?」

 由里子と美結が、続いて正志と正章が歩き、二階の奥まで行くと犬の鳴き声が聞こえた。

「あった!」

 美結が走り出そうとする前に由里子が手を繋ぐ。はっとして美結が上目遣いで由里子を見た。

「つい」
「楽しみにしていたからね。でも走らないよ」
「うん」

 犬猫から小動物、鳥や魚まで取り扱っている店なため、店内はとても広い。入口を入って左側には犬猫コーナーが、右側には雑貨やケージなど、右奥に行くと小動物コーナーがあった。

「じゃあ、最初二手に分かれて、目当ての子が決まったら全員で見て購入しようか」
「分かったわ」

 正志と正章が犬を、由里子と美結がウサギを見ることになった。

 美結と手を繋いで奥へ行く由里子を見送り、正志は正章に目を向ける。

「さて、時間はあるからゆっくり見ようか」
「うん」

 正章がやや上擦った返事をして目の前を見つめた。様々な犬種の子犬が愛くるしい瞳がこちらを見返してくる。

「どういう種類がいい?」

「うーん」正章は難しい表情でチワワを指差した。

「チワワとかポメラニアンみたいな可愛いのもいいけど、可愛くて強そうなのがいいかな。番犬もできそうな犬」
「チワワもできるかもよ?」

 そう言うと、正章は腕組みをしてさらに悩み出した。

「その犬によるってこと? じゃあ、もっと難しい」
「そんなに考え込まないで、いろいろ見て、触らせてもらって、一番可愛いと思った子にしたらいいんじゃないか」

 初めてのペット選びだから時間がかかることは想定内だ。今日半日を丸まるここに当てているので、午後までかかっても構わない。

「お昼はここで食べる予定だから、午前いっぱい悩んで平気だよ」
「うん。じゃあ、いっぱい悩む」

 まず、正章に好みの大きさと毛の長さを聞いてみる。思い切り手を回して抱きしめられるくらいの大きさで、毛の長さはあまりこだわらないとのことだった。とりあえず、小型犬以外に絞って探すことにした。

「柴犬だ。可愛い」
「こっちはビーグルか」

 一匹一匹じっくり観察する。これから大事な家族になるのだ。適当には決められない。

 候補の犬を全て見終わって、正章は最初の柴犬とシベリアンハスキーを選択した。その二匹を順番に抱っこさせてもらう。

「可愛い」
「うん」

 正志は正章の横に座り、一緒に柴犬を撫でた。

「正章、学校はどうだ?」
「いきなりどうしたの」
「いや、普段仕事で全然聞けないから」
「普通だよ」

 予想通りの返答が返ってきた。

「それなら、家は?」
「えッ」

 正章がぱっと顔を上げる。正志が両手を振った。

「あ、新しいところで過ごしやすいとか、ここが困るとかあるだろ」
「ああ、うん」

 そのまま黙ってしまった正章に正志が謝る。

「ごめん、せっかく選んでいる最中なのに集中できないよね。また後でにしよう」
「うん」
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