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片山
片山希人
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片山希人は調べていた。
「なるほどね」
肩まで伸びた黒髪を一つに結び、目の下には濃い隈が居座っている。目の前にあるパソコンの画面には、SNSのページが表示されており、どうやらあるコミュニティに属するものの書き込みらしかった。
『三森さん、いなくなっちゃったらしい。良いスポットだったのに残念』
『普通の住宅になってたよ』
『マジかよ。行こうと思ってたのに』
いくつかの書き込みの中にリンクが貼られているのを見つけた。ウイルスチェックを済ませてからリンクに飛ぶ。
「ああ、こういうのね」
トップページには、日本各地の地名が書かれており、そこをクリックすると心霊スポットのタイトルがずらりと並んでいた。
片山が笑う。新規の調査や除霊の依頼は週に一、二回あり、宮下家から頼まれた内容もよくあるものだった。
『家で怪奇現象が起きるから調べてほしい』
実際行ってみると半数は気のせいか外的環境が要因だという結果で終わる。前者であれば客が納得の行くパフォーマンスを行い、後者ならそのまま指摘する。どちらにせよ解決はしているので、もちろんそれなりの料金はもらう。
今回の依頼がどういう類のものか話では判断できなかったので、試しに住所を検索して様々な書き込みを辿っていったところ、上記のサイトに行きついた。
つまるところ、当たりの依頼だ。
話を聞くに新築らしいが、新築だからといって安心できないことを片山は知っている。家が建つ前、そこに何か異常があれば、それは建物が変わったとしても引き継がれていく。
「さて、いったいあそこに何があったのか。どこまで調べられますかね」
すでに形が無くなっていては難しい依頼となるが、これまでの経験と伝手がある。片山が扱う類専門の不動産屋も知っている。片っ端からあたればどこかしらにヒントが落ちているだろう。
「しっかし、ここねぇ。俺のとこも田舎だけどさらに田舎だなぁ」
たった一人の部屋でぶつぶつ呟きつつ、該当のリンクを辿る。そこには古めかしい倉の写真が載せられていた。画像を拡大すると、扉の隣に「三森」と表札が取り付けられていた。
「なんだこれ」
このサイト曰く、これが心霊スポットらしい。片山が腕組みをして画像を睨みつける。
「倉が原因……ただのスポットか、もしくは中で何かがあったか。倉が取り壊された後で宮下家が建ったのか?」
首を傾げて唸る。
「宮下さんは家が瑕疵物件だとは言っていなかった。ということは、ここで殺人や自殺があったとは考えにくい。不動産屋が故意に隠していなければ、だけど」
左手の人差し指を動かし、サイトを閉じる。椅子の背もたれに寄りかかり、伸びをした。
「ああ、とりあえずここまでにしよ。本当に依頼されるか分からないし。後は行ってみてからだなぁ」
壁掛けカレンダーの該当日に花丸印をする。その下に宮下、十三時と書き込んだ。
札や鈴、商売道具を確認し、鞄に詰め込む。それは年季が入っていて、ところどころ薄汚れていた。
「これでOK」
最後に鏡を仕舞い、鞄のチャックを閉める。玄関先に道具を置き、片山は洗面所に入っていった。
「うわ」
手洗いを済ませて顔を上げたところで、自身の顔色を見て不満気な声を出す。
「ちょっと寝ないと駄目だな。気が持っていかれている」
頬を摩り、寝室に向かった片山はそのままぱたんとベッドに倒れ込んだ。薄手の毛布を手繰り寄せ、数分で眠りに落ちる。片山の体から白い靄が湧き上がり、部屋の中に霧散した。
「なるほどね」
肩まで伸びた黒髪を一つに結び、目の下には濃い隈が居座っている。目の前にあるパソコンの画面には、SNSのページが表示されており、どうやらあるコミュニティに属するものの書き込みらしかった。
『三森さん、いなくなっちゃったらしい。良いスポットだったのに残念』
『普通の住宅になってたよ』
『マジかよ。行こうと思ってたのに』
いくつかの書き込みの中にリンクが貼られているのを見つけた。ウイルスチェックを済ませてからリンクに飛ぶ。
「ああ、こういうのね」
トップページには、日本各地の地名が書かれており、そこをクリックすると心霊スポットのタイトルがずらりと並んでいた。
片山が笑う。新規の調査や除霊の依頼は週に一、二回あり、宮下家から頼まれた内容もよくあるものだった。
『家で怪奇現象が起きるから調べてほしい』
実際行ってみると半数は気のせいか外的環境が要因だという結果で終わる。前者であれば客が納得の行くパフォーマンスを行い、後者ならそのまま指摘する。どちらにせよ解決はしているので、もちろんそれなりの料金はもらう。
今回の依頼がどういう類のものか話では判断できなかったので、試しに住所を検索して様々な書き込みを辿っていったところ、上記のサイトに行きついた。
つまるところ、当たりの依頼だ。
話を聞くに新築らしいが、新築だからといって安心できないことを片山は知っている。家が建つ前、そこに何か異常があれば、それは建物が変わったとしても引き継がれていく。
「さて、いったいあそこに何があったのか。どこまで調べられますかね」
すでに形が無くなっていては難しい依頼となるが、これまでの経験と伝手がある。片山が扱う類専門の不動産屋も知っている。片っ端からあたればどこかしらにヒントが落ちているだろう。
「しっかし、ここねぇ。俺のとこも田舎だけどさらに田舎だなぁ」
たった一人の部屋でぶつぶつ呟きつつ、該当のリンクを辿る。そこには古めかしい倉の写真が載せられていた。画像を拡大すると、扉の隣に「三森」と表札が取り付けられていた。
「なんだこれ」
このサイト曰く、これが心霊スポットらしい。片山が腕組みをして画像を睨みつける。
「倉が原因……ただのスポットか、もしくは中で何かがあったか。倉が取り壊された後で宮下家が建ったのか?」
首を傾げて唸る。
「宮下さんは家が瑕疵物件だとは言っていなかった。ということは、ここで殺人や自殺があったとは考えにくい。不動産屋が故意に隠していなければ、だけど」
左手の人差し指を動かし、サイトを閉じる。椅子の背もたれに寄りかかり、伸びをした。
「ああ、とりあえずここまでにしよ。本当に依頼されるか分からないし。後は行ってみてからだなぁ」
壁掛けカレンダーの該当日に花丸印をする。その下に宮下、十三時と書き込んだ。
札や鈴、商売道具を確認し、鞄に詰め込む。それは年季が入っていて、ところどころ薄汚れていた。
「これでOK」
最後に鏡を仕舞い、鞄のチャックを閉める。玄関先に道具を置き、片山は洗面所に入っていった。
「うわ」
手洗いを済ませて顔を上げたところで、自身の顔色を見て不満気な声を出す。
「ちょっと寝ないと駄目だな。気が持っていかれている」
頬を摩り、寝室に向かった片山はそのままぱたんとベッドに倒れ込んだ。薄手の毛布を手繰り寄せ、数分で眠りに落ちる。片山の体から白い靄が湧き上がり、部屋の中に霧散した。
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