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あるある
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大声出しちゃった。ごめんね! いや、俺は悪くなかった。
「な、なんのこと。テレビの話題?」
「堀塚。ヒーロー。ヘルメット」
「あああああああああ!」
単語で全部説明されてしまった! 全部! 正解!
頭を抱えて蹲る。
どうしよう。
どうやってごまかしたら……ごまかせるレベルじゃないけど……待てよ。
「ヘルメット被ってたのに俺だって思ったの?」
まさか、俺が隠れてるところから見られてたのか? 正体がバレるのも困るし覗き見してたのがバレるのも困る。道端の返事は意外なものだった。
「体つきで分かる」
「分からないよね!?」
うわッツッコんじゃった! でも俺悪くない。
「身長、体格、立っている時の重心の位置、利き足」
「怖い怖い怖い止めてください!」
「信じろ」
「信じます!」
「あと、被ってたヘルメット、俺の兄貴の」
「兄貴のかぁい! その節は有難う御座いました!」
最初から見ていたのか本当に体つきでバレたのかヘルメット脱いだの見られたのか知らないけど、なんかもう全部怖い。道端違う意味で怖かった。
レンタル代を請求されるんだろうか。脅されるってことはないと思いたいけど。もしも先生や誰かに報告されたって悪いことはしてないから堂々としていれば……由奈はダメだ。
「言う通りにするんで言いふらさないでくださいッ」
「やはり」
「やはり?」
その後に何が続くんだ。もう少し情報が欲しい。俺を安心させてくれる言葉が欲しい。
カッッッ!
びくぅぅッ。
道端の一重の瞳がかっ開いた。間近で見た俺は体を震わせた。決して漏れてはいない。ぎりセーフだ。
ガシィッッ!
びくぅぅぅッ!
今度は肩を強く掴まれた。間近で見た俺は体を震わせ涙が滲んだ。だからぎりセーフだって。
なんだ。
なんなんだ。
早く宣告してくれ!
「ヒーローは……秘密なんだな」
「…………は?」
言われた言葉が意外過ぎて頭が追い付くのに数秒かかった。
こいつはなんて言った?
ヒーローは秘密?
ど、どういうことでしょうか?
「あの」
「言わなくて、いい」
言わないも何もこっちが理解できていないんですが。一人でどっか行かないで。
「分かった」
俺は分からない。
「応援、する」
応援しなくていい。
「ヘルメット、いるか」
「いらないです! お兄さんに悪いから!」
「兄貴、も、応援するって」
「兄貴もいたのかよ!」
兄弟そろって純粋か!
「兄貴、三年生」
「この高校だし!」
ヘルメットを借りたお兄さんにもバレているということは、今度菓子折りでも持っていった方がいいかもしれない。勝手に借りたんだから。
「ええと、お借りしたお礼をしたいと思うんだけど」
「いらない。けど」
「けど?」
「サイン、欲しいって」
「なんで!?」
ほんとになんで!?
道端兄弟像ががらがらと崩れていく。そもそもお兄さん知らないし道端の性格も知らなかったからイメージも何もないけど、見た目で判断はよくないんだなと実感した。ごめんなさい。
「とりあえずお世話になりました」
弟だけどお礼は言っておこう。お世話になったのは事実だから。
少なくとも脅すために呼び出されたわけじゃないことが分かってほっとした。顔じゃないところに数発は覚悟していた。廊下じゃダメって言われたのは俺を気遣ってのことだったらしい。良い奴。単純に「ヒーローの正体は秘密にしなければならない」というヒーローあるあるから来るものかもしれないけど。
「な、なんのこと。テレビの話題?」
「堀塚。ヒーロー。ヘルメット」
「あああああああああ!」
単語で全部説明されてしまった! 全部! 正解!
頭を抱えて蹲る。
どうしよう。
どうやってごまかしたら……ごまかせるレベルじゃないけど……待てよ。
「ヘルメット被ってたのに俺だって思ったの?」
まさか、俺が隠れてるところから見られてたのか? 正体がバレるのも困るし覗き見してたのがバレるのも困る。道端の返事は意外なものだった。
「体つきで分かる」
「分からないよね!?」
うわッツッコんじゃった! でも俺悪くない。
「身長、体格、立っている時の重心の位置、利き足」
「怖い怖い怖い止めてください!」
「信じろ」
「信じます!」
「あと、被ってたヘルメット、俺の兄貴の」
「兄貴のかぁい! その節は有難う御座いました!」
最初から見ていたのか本当に体つきでバレたのかヘルメット脱いだの見られたのか知らないけど、なんかもう全部怖い。道端違う意味で怖かった。
レンタル代を請求されるんだろうか。脅されるってことはないと思いたいけど。もしも先生や誰かに報告されたって悪いことはしてないから堂々としていれば……由奈はダメだ。
「言う通りにするんで言いふらさないでくださいッ」
「やはり」
「やはり?」
その後に何が続くんだ。もう少し情報が欲しい。俺を安心させてくれる言葉が欲しい。
カッッッ!
びくぅぅッ。
道端の一重の瞳がかっ開いた。間近で見た俺は体を震わせた。決して漏れてはいない。ぎりセーフだ。
ガシィッッ!
びくぅぅぅッ!
今度は肩を強く掴まれた。間近で見た俺は体を震わせ涙が滲んだ。だからぎりセーフだって。
なんだ。
なんなんだ。
早く宣告してくれ!
「ヒーローは……秘密なんだな」
「…………は?」
言われた言葉が意外過ぎて頭が追い付くのに数秒かかった。
こいつはなんて言った?
ヒーローは秘密?
ど、どういうことでしょうか?
「あの」
「言わなくて、いい」
言わないも何もこっちが理解できていないんですが。一人でどっか行かないで。
「分かった」
俺は分からない。
「応援、する」
応援しなくていい。
「ヘルメット、いるか」
「いらないです! お兄さんに悪いから!」
「兄貴、も、応援するって」
「兄貴もいたのかよ!」
兄弟そろって純粋か!
「兄貴、三年生」
「この高校だし!」
ヘルメットを借りたお兄さんにもバレているということは、今度菓子折りでも持っていった方がいいかもしれない。勝手に借りたんだから。
「ええと、お借りしたお礼をしたいと思うんだけど」
「いらない。けど」
「けど?」
「サイン、欲しいって」
「なんで!?」
ほんとになんで!?
道端兄弟像ががらがらと崩れていく。そもそもお兄さん知らないし道端の性格も知らなかったからイメージも何もないけど、見た目で判断はよくないんだなと実感した。ごめんなさい。
「とりあえずお世話になりました」
弟だけどお礼は言っておこう。お世話になったのは事実だから。
少なくとも脅すために呼び出されたわけじゃないことが分かってほっとした。顔じゃないところに数発は覚悟していた。廊下じゃダメって言われたのは俺を気遣ってのことだったらしい。良い奴。単純に「ヒーローの正体は秘密にしなければならない」というヒーローあるあるから来るものかもしれないけど。
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