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秘密は守る
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「じゃあ、教室戻っていいかな」
こくり。
「道端も戻る?」
こくり。
必要以上に話さないというかもっと言ってほしいくらい言葉が少ない男だけど、悪い奴じゃないことは理解した。それだけで大進歩。友だちにはなれるかも。道端がそっとスマホを出してきた。
「あ、LIME交換する?」
こくり。
あと五分で五時間目が始まってしまうので、歩きながら交換する。まさかこんなに早く道端と交流するとは。過去の俺は道端がどんな奴か知らないまま卒業しちゃったし。ヒーローしなかったからな。まあしないよな、普通。ヒーローとか。
教室に戻ると間田と目が合った。間田は一瞬びくっとして横に道端がいるのを見て、また両手でサムズアップしてた。小さく「ワオ!」って言ってた。グローバルだな。
授業の準備を始めたら、後ろから間田がつついてきた。
「堀塚がヘマして焼き入れられたのかと思ったのにすげぇじゃん。配下にしたん?」
「ここ平和な世界だから。そういうのないから」
「へ~~~~ッ強強じゃん~~~~~!」
呼び出しの理由を説明できず、適当に流しておいた。間田なら放課後には忘れている。そういう男だ。
六時間目まで道端からの視線を感じつつ放課後になった。こっちはいつまでも覚えてそう。一刻も早く記憶を失ってほしいのに。
「帰ろう~」
「仮入するんじゃなかったの?」
「そうだった!」
四月中は仮入部期間なので、間田は候補全部回ると言っていた。特に興味があるのがゲーム研究会とバンド同好会だとか。間田がゲーム以外にも興味を示すなんて驚いた。ちなみにバンドは部に昇格する五人以上いるのに、活動を適当にしかしていない上顧問が逃げ出したから同好会らしい。逃げ出したって何。
「今日はどこ?」
「卓球部! じゃね!」
「うん」
間田は颯爽と走っていった。卓球部は知り合いの先輩がいるから行ってみるって言ってたかな。知り合い多そう。俺は帰宅部の予定だからまだどこにも行っていない。どこか行ってもいいと思うけど、前回帰宅部だったから変えない方が未来的にはよさそう。
「由奈は七組、六組か?」
十年前ともなると自分の組ですら危ういのに、由奈のクラスまで覚えていない。俺は三組でクラスが離れていた記憶があるので、六組から後ろだったはず。五組から階が違うから昇降口さえ注意すれば問題ない。
というより、まだ出会ってないんだから気にする方がおかしいか。廊下で会っても見知らぬただの同級生として素通りすればいいんだ。
そうだそうだ。大丈夫じゃん。俺が気にし過ぎた。
「……ヘルメット」
あとはそう、道端をどうにかせねば。
俺のことを秘密でヒーロー活動している高校生だと思っている、いたいけな十五歳(ただし百九十センチ)。
いちおう目立たないように俺を尾行しながら観察しているらしいが、とにかく百九十なので何も隠れていない。むしろ歩くより目立ってるから。俺を目立たせないで。高校生活をモブオブモブで過ごさないといけないんだから。
「――ひゅぉッ」
喉から声が出た。
由奈がいた!
会っても大丈夫だと思ったそばからさっそく回収しにこないで!
「ぉぁっ」
すると俺の体が勝手に光の速さで由奈から遠のいた。
決して急にヒーローの力に目覚めたわけじゃない。
後ろで隠れていた道端が俺を担いで廊下の角にぽいと放っただけだ。壁にがんッてぶつかった。地味じゃなく結構痛かった。
「うぶッッ」
さっきから変な呻き声しか出してないな。でも、誰だっていきなり持ち上げられて放り投げられたら声出ちゃうと思う。道端、俺のこと米俵くらいに考えてない?
こくり。
「道端も戻る?」
こくり。
必要以上に話さないというかもっと言ってほしいくらい言葉が少ない男だけど、悪い奴じゃないことは理解した。それだけで大進歩。友だちにはなれるかも。道端がそっとスマホを出してきた。
「あ、LIME交換する?」
こくり。
あと五分で五時間目が始まってしまうので、歩きながら交換する。まさかこんなに早く道端と交流するとは。過去の俺は道端がどんな奴か知らないまま卒業しちゃったし。ヒーローしなかったからな。まあしないよな、普通。ヒーローとか。
教室に戻ると間田と目が合った。間田は一瞬びくっとして横に道端がいるのを見て、また両手でサムズアップしてた。小さく「ワオ!」って言ってた。グローバルだな。
授業の準備を始めたら、後ろから間田がつついてきた。
「堀塚がヘマして焼き入れられたのかと思ったのにすげぇじゃん。配下にしたん?」
「ここ平和な世界だから。そういうのないから」
「へ~~~~ッ強強じゃん~~~~~!」
呼び出しの理由を説明できず、適当に流しておいた。間田なら放課後には忘れている。そういう男だ。
六時間目まで道端からの視線を感じつつ放課後になった。こっちはいつまでも覚えてそう。一刻も早く記憶を失ってほしいのに。
「帰ろう~」
「仮入するんじゃなかったの?」
「そうだった!」
四月中は仮入部期間なので、間田は候補全部回ると言っていた。特に興味があるのがゲーム研究会とバンド同好会だとか。間田がゲーム以外にも興味を示すなんて驚いた。ちなみにバンドは部に昇格する五人以上いるのに、活動を適当にしかしていない上顧問が逃げ出したから同好会らしい。逃げ出したって何。
「今日はどこ?」
「卓球部! じゃね!」
「うん」
間田は颯爽と走っていった。卓球部は知り合いの先輩がいるから行ってみるって言ってたかな。知り合い多そう。俺は帰宅部の予定だからまだどこにも行っていない。どこか行ってもいいと思うけど、前回帰宅部だったから変えない方が未来的にはよさそう。
「由奈は七組、六組か?」
十年前ともなると自分の組ですら危ういのに、由奈のクラスまで覚えていない。俺は三組でクラスが離れていた記憶があるので、六組から後ろだったはず。五組から階が違うから昇降口さえ注意すれば問題ない。
というより、まだ出会ってないんだから気にする方がおかしいか。廊下で会っても見知らぬただの同級生として素通りすればいいんだ。
そうだそうだ。大丈夫じゃん。俺が気にし過ぎた。
「……ヘルメット」
あとはそう、道端をどうにかせねば。
俺のことを秘密でヒーロー活動している高校生だと思っている、いたいけな十五歳(ただし百九十センチ)。
いちおう目立たないように俺を尾行しながら観察しているらしいが、とにかく百九十なので何も隠れていない。むしろ歩くより目立ってるから。俺を目立たせないで。高校生活をモブオブモブで過ごさないといけないんだから。
「――ひゅぉッ」
喉から声が出た。
由奈がいた!
会っても大丈夫だと思ったそばからさっそく回収しにこないで!
「ぉぁっ」
すると俺の体が勝手に光の速さで由奈から遠のいた。
決して急にヒーローの力に目覚めたわけじゃない。
後ろで隠れていた道端が俺を担いで廊下の角にぽいと放っただけだ。壁にがんッてぶつかった。地味じゃなく結構痛かった。
「うぶッッ」
さっきから変な呻き声しか出してないな。でも、誰だっていきなり持ち上げられて放り投げられたら声出ちゃうと思う。道端、俺のこと米俵くらいに考えてない?
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