【急募】バッドエンド

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本名じゃなくていっちゃんって呼んでね

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「ふぐぅぅぅぅぅッ」

 苦しい。

 死因が縦ロールによるハグ窒息は嫌だ。轢死、転落死、失血死といろいろあったけど、窒息も苦しいんだなあ。絶対嫌なんだなあ。

「いっちゃん。死にそう」

「はぁッつい癖で! ごめんなさいねぇヘルメットの君! 満が友だち連れてくるの珍しくてさっき問い詰めたら、ヘルメット返しに来るって言うじゃない。もしかしたらって突撃したらビンゴォ!」

「んぐッけほッだ、大丈夫です」

 全然大丈夫じゃないのに大丈夫って言っちゃう日本人の国民性どうにかした方がいいと思う。でも言っちゃう。できればどこがダメ? って聞いてほしい。

 そしてもしかしてで突撃しちゃうんだ。行動力が鬼じゃん。

「な、なんであなたがここに」

 ここは道端家だ。縦ロール家じゃない。ほら、道端もこんなに怯えて……なんでドア開ける前から怯えてた?

「道端、この人って」
「…………」

 言いたくないのか。俺も聞きたくない。

「どうしたの満ッ。あなたの可愛い従兄でしょ~」
「従兄!?」

 縦ロールと道端を交互に見る。確かによく見ると似て、似て、似てるか……?
 似てなくない? 似てるとこ身長くらいじゃん。百九十端のさらに大きい版が縦ロール。二メートル近くありそう。

 縦ロールのインパクトは置いておいて、そういえば道端はなんであの時ヒーローを送り出したんだ。従兄の犬なら道端が連れて帰れば解決だったのに。

「堀塚、いっちゃん、知ってる?」

 おやぁ?

 首を傾げる。話がこんがらがってきた。

 道端は俺がかんちゃんを助けたことを知っているのに、縦ロールと俺が会ったことあるのを知らないってこと?
 どう言えばいいのか考えていたら、またしても縦ロールに襲撃された。

「ぐふッ」

 今度は手加減してくれているのか息はできるけど、苦しいのは苦しい。二メートルに抱き着かれたらその時点できつい。

「やだもぅ~~~~マブダチよマブダチッ。ね、堀塚君ッ」

 親友じゃないし名前知られたうわぁ~~ん!!

「いや、はは、さっきたまたま。ほら、女の子に絡んでた犬いたでしょ? あのワンちゃん迷子だったんだけど、飼い主がこの人でその時に会ったんだ」
「いぬ?」

 道端が間抜けな顔をした。初耳みたいな顔してる。もしかして知らなかった?

「飼った?」
「そうなのぉ去年からだから満は知らなかったわよね! ミコが拾ってきて~まだ一歳なんだけど」
「あれで一歳なんですか!」
「育ち盛りでぐんぐんッ」

 結構大きいと思ったのに、あれで一歳じゃ三歳には縦ロールくらいになるんじゃないか。二メートルが一人と一匹。散歩のたび道路封鎖しちゃう。

 道端はかんちゃんのこと知らなかったのか。だからただの野良犬だと思ったと。納得。まさかそれが苦手らしい従兄の犬とは思わないよね。

「それでかんちゃんは今どこにいるんですか?」
「家にいるわよ~ミコが頑丈なリード買ってきたからそれで繋いでる。しばらく見張り番必要かも」
「家族の方が相手してるんですね」

「そう! 私の奥さん!」
「奥さん!?」

 奥さんいるんだ! やっぱお姉さんじゃなくてお兄さんだった。ガチムチ二メートルだもんね。奥さんもテンション高いのかな。

「見る? 奥さんの写真見る?」
「いや別に」
「遠慮しなくていいのに~~~~でも止めとくッ。ヘルメットの君がミコに惚れちゃうから~~~~」
「惚れないですね」

 見せないのにこの会話いる? 会ったことないけどきっとミコさん心が広い人なんだろうな。

「もうッここでも遠慮するなんて、ほんとできた子ッ。養子に来る?」
「遠慮します」

 ダメだ。ツッコミが追い付かない。道端が怯えた理由が分かる。従兄で近所に住んでるっぽいからしょっちゅう来るんだろうな……テンション激高二メートル縦ロール……。

「私まだぎり二十代だから若いママが出来るわよ」
「パパじゃないんだ」
「パパでもいいわよ~そういうのは気にしないのッ」
「はい……」

 やけに気に入られてしまった。こういう出会いは求めていなかった。ほら、道端なんて一切会話に入ってこないじゃん。親戚なのに。
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