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ここにきて情報過多は止めとこ?
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「げぇッ」
思わず塀の影に隠れる。嫌なものを目撃した。
由奈の告白現場だ。されてる方の。してる方だったらそのまま人生終了する。さすが由奈、遭遇するのこれで二回目だよ。まだ入学して三か月なのに。相手もよく冒険に出るな。先輩っぽいから、由奈からしてみれば初対面でしょ。成功率マイナスじゃん。それか家庭科部とか? 家庭科部男子いるって言ってたっけ?
「ごめんなさい」
由奈の断り文句を聞いて安心していることに気が付いて、自分に呆れてしまった。俺なんて、告白すらできてないじゃないか。お土産も渡せてないし。いや、あれはまだ渡せない状態なだけだけど。って言い訳してみる。
アホらし。行こ。これ以上ここに突っ立ってたらおかしいやつだ。あと五分で予鈴鳴るし。由奈たちが別れて歩き出したことを確認して、俺も急いで登校した。校門の近くで告白すんなって。
由奈は円先輩にキーホルダー渡したのかな。先輩の鞄とかに付いてないからまだか。由奈の鞄にも付いてないんだけどね。チェックしてる俺気持ち悪い。
「ねえ、間田ってなんで彼女欲しいの?」
教室でスマホをいじっている間田に聞いた。間田は口をぱかんと開けて、そのまま首を傾げた。ちょ、顔、笑わせんな。
「俺が欲しいから。それだけ」
「な、なるほど」
理由になっているのかいないのか。それでも自分がどうしたいかっていうのを基準にして動くのは、すごく単純で、でも正しいことに思えた。間田のくせに。
「なんだよ、お前もついに彼女欲しくなったってわけじゃねぇだろうな」
「そんなんじゃないよ。間田がガツガツしてるから気になっただけ」
「ガツガツしてて悪いかよ」
「悪くないよ」
俺は彼女が欲しいわけじゃない。青春を満喫したいわけでもない。青春はすでに一度経験した。ただ、由奈という人が隣にいてくれたらって思うだけだ。
──虚しいねぇ。
頑張って何になるというのかという現実と、もしかしたらチャンスがあるかもしれないという想いが交錯する。タイムループして成功したはずだろう。過去の俺が笑ってくる。うるせ。人間は変わるんだよ、俺も、相手も。世界も。
どうせ死んだ人生だ。それならさぁ、もう好きに生きたらいいんじゃないかな。
俺は由奈のクラスに急いだ。円先輩が廊下にいた。由奈もいた。隣に。俺は見つかる前に二秒で退散した。惨敗です。
じゃあ、これはどうだ。
「ヘルメット?」
「うん。あの駅のパトロール、もう一回しようと思って」
「分かった」
放課後、道端からヘルメットを借りた。とりあえず、由奈から近況を聞こうと思ったから。素顔だとずかずか聞けないけど、ヒーローならいける。うん。
行きたがる道端に申し訳なくも今日だけ断りを入れて、由奈の最寄り駅で降りる。ヘルメット持って電車乗るの恥ずかしかったな。道端はどうやって持ってんだ。
さてと、そろそろ被るか。いや、駅前で被ってバイク乗らずに歩き出したらこの一帯一番の不審者になっちゃう。
「堀塚君だ」
「あれ、高橋さん」
そんな時、高橋さんに声をかけられた。予備校以外で会うの久しぶり過ぎ。むしろあれ以来だと思う。
「予備校以外って新鮮」
「ね、何か用事があったの?」
「うん。そこの本屋で注文してた参考書買いに」
どうかヘルメットについて聞いてきませんように!
俺が電車通学だって知ってる高橋さんが、なんでかヘルメット持ち歩いている俺に興味持ちませんように!
「にゃぁん」
──今度は猫来た!
バッと後ろを向く。そこには地面にいる猫を抱き上げようとする由奈が──。
「昨日振り~。この駅にいるなんて珍しいね」
「うん、そうだね」
やばいやばいやばいヤバイ!
──ヒーロー用のヘルメット手に持ってる時に由奈に会っちゃった!!!!!
思わず塀の影に隠れる。嫌なものを目撃した。
由奈の告白現場だ。されてる方の。してる方だったらそのまま人生終了する。さすが由奈、遭遇するのこれで二回目だよ。まだ入学して三か月なのに。相手もよく冒険に出るな。先輩っぽいから、由奈からしてみれば初対面でしょ。成功率マイナスじゃん。それか家庭科部とか? 家庭科部男子いるって言ってたっけ?
「ごめんなさい」
由奈の断り文句を聞いて安心していることに気が付いて、自分に呆れてしまった。俺なんて、告白すらできてないじゃないか。お土産も渡せてないし。いや、あれはまだ渡せない状態なだけだけど。って言い訳してみる。
アホらし。行こ。これ以上ここに突っ立ってたらおかしいやつだ。あと五分で予鈴鳴るし。由奈たちが別れて歩き出したことを確認して、俺も急いで登校した。校門の近くで告白すんなって。
由奈は円先輩にキーホルダー渡したのかな。先輩の鞄とかに付いてないからまだか。由奈の鞄にも付いてないんだけどね。チェックしてる俺気持ち悪い。
「ねえ、間田ってなんで彼女欲しいの?」
教室でスマホをいじっている間田に聞いた。間田は口をぱかんと開けて、そのまま首を傾げた。ちょ、顔、笑わせんな。
「俺が欲しいから。それだけ」
「な、なるほど」
理由になっているのかいないのか。それでも自分がどうしたいかっていうのを基準にして動くのは、すごく単純で、でも正しいことに思えた。間田のくせに。
「なんだよ、お前もついに彼女欲しくなったってわけじゃねぇだろうな」
「そんなんじゃないよ。間田がガツガツしてるから気になっただけ」
「ガツガツしてて悪いかよ」
「悪くないよ」
俺は彼女が欲しいわけじゃない。青春を満喫したいわけでもない。青春はすでに一度経験した。ただ、由奈という人が隣にいてくれたらって思うだけだ。
──虚しいねぇ。
頑張って何になるというのかという現実と、もしかしたらチャンスがあるかもしれないという想いが交錯する。タイムループして成功したはずだろう。過去の俺が笑ってくる。うるせ。人間は変わるんだよ、俺も、相手も。世界も。
どうせ死んだ人生だ。それならさぁ、もう好きに生きたらいいんじゃないかな。
俺は由奈のクラスに急いだ。円先輩が廊下にいた。由奈もいた。隣に。俺は見つかる前に二秒で退散した。惨敗です。
じゃあ、これはどうだ。
「ヘルメット?」
「うん。あの駅のパトロール、もう一回しようと思って」
「分かった」
放課後、道端からヘルメットを借りた。とりあえず、由奈から近況を聞こうと思ったから。素顔だとずかずか聞けないけど、ヒーローならいける。うん。
行きたがる道端に申し訳なくも今日だけ断りを入れて、由奈の最寄り駅で降りる。ヘルメット持って電車乗るの恥ずかしかったな。道端はどうやって持ってんだ。
さてと、そろそろ被るか。いや、駅前で被ってバイク乗らずに歩き出したらこの一帯一番の不審者になっちゃう。
「堀塚君だ」
「あれ、高橋さん」
そんな時、高橋さんに声をかけられた。予備校以外で会うの久しぶり過ぎ。むしろあれ以来だと思う。
「予備校以外って新鮮」
「ね、何か用事があったの?」
「うん。そこの本屋で注文してた参考書買いに」
どうかヘルメットについて聞いてきませんように!
俺が電車通学だって知ってる高橋さんが、なんでかヘルメット持ち歩いている俺に興味持ちませんように!
「にゃぁん」
──今度は猫来た!
バッと後ろを向く。そこには地面にいる猫を抱き上げようとする由奈が──。
「昨日振り~。この駅にいるなんて珍しいね」
「うん、そうだね」
やばいやばいやばいヤバイ!
──ヒーロー用のヘルメット手に持ってる時に由奈に会っちゃった!!!!!
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