【急募】バッドエンド

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なんでちょいちょい外国語混ぜてくるのか今さら聞けない

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「やあ、ナイスチームワーク。大分早いタイムだったんじゃないか?」
「そうですか? やったぜ!」
「ただいま~」
「ただいまです……」

 瀕死で出口を潜ったら、円先輩が歓迎してくれた。横で道端が拍手している。ありがとう。廃校での後半の記憶は全くない。出口近くまで手を握ってたの気付いて焦って離したくらい記憶が混濁している。とりあえず明るいところで大号泣してなくてよかった。事案だよ。

 円先輩と話している由奈はいたって普通だ。手を繋いだのが幻だったかと思っちゃう。でも、この手に残る感触は現実……手汗ェ! やばい! 由奈ごめんなさい手汗ェ!

「楽しかったね!」
「うん」

 由奈……天使か!!

 ただの友だちがいきなり手を掴んできたのに嫌がりもせず、さらに周りにも言わないなんて。この世界の由奈は本当に良いところしかない。

 これがループし続けた変化なら、死に続けた甲斐があるってものだ。今の俺にとって学校一の美少女は高根の花過ぎるけれども。

 この瞬間、この距離でいられているのがすでに奇跡だ。

 それから五人で昼食を取り、午後は無難なアトラクションに乗った。唯一最後だけジェットコースターのおかわりになったので、間田は疲れたから休憩したいということで辞退していた。乗り終わって間田のところに戻ったらお土産めっちゃ買ってた。楽しんでるやん。

「夕方になったし、そろそろ帰るとしよう」
「おみやげ」
「オフコース!」
「やった! お土産お土産」

「まだ買うのか? 間田だけに」
「うっせぇ! 買うに決まってんだろ!」

 まあ、お土産は多いに越したことないしね。いいと思う。俺も由奈とデートだったからお土産買う相手家族くらいしかいないのに、お菓子の缶何個も買って余らせてた。全部俺が食べた。美味しかった。いいと思う。

「私も家族と友だちに買おう~」

 そういえば、由奈も仲良い子いたよね。そうそう、友香《ともか》ちゃん。あんまり会話したことないけど、高校時代挨拶したことは覚えてる。それっきりだったな。由奈は放課後たいてい俺といたから、あっちの友だちのこと全然知らないや。

 みんなでお土産屋を回っている隙を見てそっと別の店に入る。別に上げる予定は無いけど。欲しいって言ってたわけでもないけど。自己満自己満。

「あの、これください」
「かしこまりました」

 勢いを背に、高校生の俺には少々手痛い出費をしてしまった。


 もらった袋を仕舞い込み、みんなのいる店に戻る。誰も気付いていなさそうだ。ほっとした。適当にお菓子の缶を手に取る。

「堀塚~決まった~?」
「うん。レジ行こ」
「それだけ? 自分には買わねぇの?」
「いいの」

 本当はいっぱい買いたいけど、これ以上買ったら今月ピンチなので。もうあれだけでお腹いっぱいです。

 由奈を見たら、同じキーホルダーを色違いで二つ買っていた。

 これ……そういうことだよね。あんまり目撃したくなかったなぁ。渡すところには遭遇しないことを祈る。誰もいないところで渡してね。

「道端……すごいね」
「うん」

 道端はお兄さんと来たんだから、お土産はほぼいらないだろうに、五人の中で一番多く買っていた。お菓子大量とぬいぐるみ。かわいいね、クマ。あの部屋に置くのかな。わざわざ買ったってことは、クローゼットに入れないで飾るのかも。何も無い部屋に道端とクマのぬいぐるみ一匹。

 円先輩を先頭に遊園地を後にする。どうなるかと思ったけど楽しかった、すっっごく。

「アデュー! 遊園地!」
「アデュー!!」

 生まれて初めてアデューって叫んだわ。めっちゃ振り向かれた。二回目は来なさそう。
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