33 / 43
新生活
初報酬
しおりを挟む
──はて、いつの間に言語を習得したのだろう。日本語とは違うのに何故だか分かる。ここへ転移した時に何か授かった力か。これも異能力の一つか。
鉄次郎は首を傾げるが、便利なものは歓迎だ。読めることでデメリットも無い。必要事項を書き終え、ギルドマスターに差し出す。
「書けました」
「はい、鉄次郎さんですね。証明証を発行して参りますので、そちらに腰掛けてお待ちください」
手で示された方にいくつかの机と椅子があった。空いているところに腰掛ける。
見渡せば何人かが座って話していたり、クエストの一覧を見ていたり、こちらをちらちら見てくる者もいる。どうやら、冒険者は想像より人気の職種らしい。
「お待たせしました」
マスターが戻ってきて、ギルドの証明証を手渡した。
「こちらがギルドカードになります。ランクはAからEまでで、鉄次郎さんはDランクのクエストを攻略していますので、Dからスタートとなります。昇級したい場合は、昇級試験を受けるか、十回以上同ランクのクエストを行えば一つ上のクエストを請け負うことができるので、それを攻略したら昇級となります」
「なるほど」
「身分証にもなりますので、常に携帯しておくことをおすすめします」
鉄次郎には身分を証明するものが一切無かったため、これは有難い副産物だ。
「何か質問はありますか?」
「クエストはどのように請け負うのでしょう」
マスターが壁に貼ってある紙を指し示した。
「あちらの紙を取って受付に持参してくだされば可能となります」
「そうですか。分かりました、ご丁寧に有難う御座います」
礼を言い、その場を離れる。もらった報酬がどのくらいなのか分からないが、買い物くらいはできるだろう。
店を出る前にクエスト一覧を見遣る。シルアの言っていた通り、簡単なものから難しいものまで様々な種類がある。
モンスターを倒したのは一度きりなので、次も上手くいく保証は無い。まずは簡単なものからこなしていこう。鉄次郎は明日も来ることを伝えて外に出た。
「さて、買い物をしよう」
ギルドの近くに市場があったので、そこへ立ち寄る。他の客がいくら支払うのか観察をしてから買い物を始めた。食材と酒だ。数日分を買い込んでもまだ、金は沢山残っていたのには驚かされた。
「Dランクでも意外ともらえるものだ。あの男は刃物をもっていたから凶悪だと判断されたのかもしれない」
鉄次郎は久々に自ら稼いだ金で酒を買え、ほくほくした表情で我が家に戻っていった。
鉄次郎は首を傾げるが、便利なものは歓迎だ。読めることでデメリットも無い。必要事項を書き終え、ギルドマスターに差し出す。
「書けました」
「はい、鉄次郎さんですね。証明証を発行して参りますので、そちらに腰掛けてお待ちください」
手で示された方にいくつかの机と椅子があった。空いているところに腰掛ける。
見渡せば何人かが座って話していたり、クエストの一覧を見ていたり、こちらをちらちら見てくる者もいる。どうやら、冒険者は想像より人気の職種らしい。
「お待たせしました」
マスターが戻ってきて、ギルドの証明証を手渡した。
「こちらがギルドカードになります。ランクはAからEまでで、鉄次郎さんはDランクのクエストを攻略していますので、Dからスタートとなります。昇級したい場合は、昇級試験を受けるか、十回以上同ランクのクエストを行えば一つ上のクエストを請け負うことができるので、それを攻略したら昇級となります」
「なるほど」
「身分証にもなりますので、常に携帯しておくことをおすすめします」
鉄次郎には身分を証明するものが一切無かったため、これは有難い副産物だ。
「何か質問はありますか?」
「クエストはどのように請け負うのでしょう」
マスターが壁に貼ってある紙を指し示した。
「あちらの紙を取って受付に持参してくだされば可能となります」
「そうですか。分かりました、ご丁寧に有難う御座います」
礼を言い、その場を離れる。もらった報酬がどのくらいなのか分からないが、買い物くらいはできるだろう。
店を出る前にクエスト一覧を見遣る。シルアの言っていた通り、簡単なものから難しいものまで様々な種類がある。
モンスターを倒したのは一度きりなので、次も上手くいく保証は無い。まずは簡単なものからこなしていこう。鉄次郎は明日も来ることを伝えて外に出た。
「さて、買い物をしよう」
ギルドの近くに市場があったので、そこへ立ち寄る。他の客がいくら支払うのか観察をしてから買い物を始めた。食材と酒だ。数日分を買い込んでもまだ、金は沢山残っていたのには驚かされた。
「Dランクでも意外ともらえるものだ。あの男は刃物をもっていたから凶悪だと判断されたのかもしれない」
鉄次郎は久々に自ら稼いだ金で酒を買え、ほくほくした表情で我が家に戻っていった。
0
あなたにおすすめの小説
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい
夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。
彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。
そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。
しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!
【状態異常無効】の俺、呪われた秘境に捨てられたけど、毒沼はただの温泉だし、呪いの果実は極上の美味でした
夏見ナイ
ファンタジー
支援術師ルインは【状態異常無効】という地味なスキルしか持たないことから、パーティを追放され、生きては帰れない『魔瘴の森』に捨てられてしまう。
しかし、彼にとってそこは楽園だった!致死性の毒沼は極上の温泉に、呪いの果実は栄養満点の美味に。唯一無二のスキルで死の土地を快適な拠点に変え、自由気ままなスローライフを満喫する。
やがて呪いで石化したエルフの少女を救い、もふもふの神獣を仲間に加え、彼の楽園はさらに賑やかになっていく。
一方、ルインを捨てた元パーティは崩壊寸前で……。
これは、追放された青年が、意図せず世界を救う拠点を作り上げてしまう、勘違い無自覚スローライフ・ファンタジー!
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情され、異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる