【番外編完結】聖女のお仕事は竜神様のお手当てです。

豆丸

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私が聖女様よ side綾乃

 
 小さな頃から私は特別だった。 
  
 大規模貿易会社社長の父と母。裕福な家。歳の離れた優秀な兄に可愛がられ、なーんの不自由なく大切に育てられたの。 
 欲しい物は何だって買い与えられた、父の社員は私の手足。皆競って私の機嫌をとったの。お嬢様は可愛らしい素晴らしいと褒め称えた。私が命令すれば犬の真似さえ喜んでしてたわ。 
  
 私は特別な選ばれた人間なの! 
  
 私立学校でも私は輝いていたわ。 
 父が沢山寄付金を出していたから校長先生も私に頭があがらない。気に入らない担任を替えさせ、私に従わない同級生をみんなを先導して虐めて退学させてやったの。
 そのままエスカレーター式で中学生になると、男子たちは私と付き合いたいとこぞってアプローチしてくるようになったの。 
 優しい私は、イケメンならと気まぐれに同時に何人か付き合ってあげたのよ。  
 この美しい私と付き合えたんだもの光栄よね? 

 全てが狂ってきたのは高校生に入った頃からだったわ。父の仕事が傾きだし、跡継ぎだった兄は独裁的な父に付いていけないと、優秀な従業員を連れて独立してしまったの! 
 
 なんて恥知らずな兄なのよ! 

 会社を建て直そうと父は資金をいろんな人に頭を下げて借金していたわ。 
 でも……そんなの私に関係ないわよね?なんで生活費やお小遣いを減らされないといけないわけ? 
 父が学校に寄付しないから先生達融通してくれなじゃないの!宿題なんてしないし、教室掃除なんて論外よ。どうしてこうなるのよ?私は特別な存在よ!  

 それに高校から途中入学してきた私により目立つ生意気な女、一ノ瀬愛香。 
 嫌みなほど丁寧な口調で高貴な血筋らしいけど、私には関係ないわ!この学校の女王は私よ! 
 
 虐めて学校から追い出してやるから!ちょっとみんな私の命令聞きなさい。 
  
 え?その命令は聞けない?一ノ瀬愛香には手を出しちゃ駄目ってなんでよ! 
 虐めなんてカッコ悪いしもう私の命令は聞かないってなによ! 
  
 この臆病もの、良いわ……私が直接虐めてやるから! 

 
---。 

 はっ?なんで!なんでよ!どうして私が退学なのよ! 
 恐喝に傷害なわけないわよ。たかがいじめじゃない!弁護士つけるなんてさ、一ノ瀬愛香は頭がおかしいんじゃないの?  

 お父さん、お母さんも何か言ってよ! 
えっ?お前のせいで一ノ瀬財閥から援助を切られたってなに?うちの会社は倒産だ、終わりだってどう言うことなの? 

---。 

 
 最悪、最悪よ!父の会社は倒産。父と母は離婚し、私は母の祖母に引き取られ普通の庶民の暮らしなんて。お小遣い欲しいなら、バイトしろってこの 私が?私は選ばれた特別な人間なんだから!家の家事しろって、この私に言ってるの?
 
 愛香の温情で退学は免れたけど、転校で別の高校編入させられた。あんな公立高校絶対行かないから。 

 引きこもる私に兄が言ったーーお前は特別な人間じゃない、学費は出すから短大ぐらい入れと……。 

 しぶしぶ入った短大、別の大学のそこそこの男と付き合ってみたけど、レストラン、貢ぎ物のレベルが低くて嫌になっちゃう。 
 この私と付き合えるんだから三星レストラン、ブランド品は当たり前でしょう? 

 え?なんで、別れるって言うの?俺は君の財布じゃないって?なに言ってるのよ?財布にすらなれてないじゃないのよ!
 
 イライラしたデートからの帰り道、私は異世界に召喚されたの!竜神様をお手当てする聖女様ですって! 
 うふふ、やっぱり私は選ばれた特別な人間だったのよ。他の聖女候補は私の踏み台だわ。おばさんなんて論外よ!真の聖女になるのは私!  

 芋虫が竜神なんて騙されたわ。お手当てなんて嘘だわ。気持ち悪い芋虫の子育てなんてしたくないわよ。おばさんに丸投げしてやるわ!なに偉そうにことわってるのよ!私が真の聖女になったらあんたなんて私付の侍女にしてやるんだから! 
 
そうよ!オムツ替えなんて侍女の仕事よ。 
  
 飯作りは料理長にやらせて、仕上げだけ私がやればすむじゃない。うわー、気持ち悪い口。 
 侍女、あんたがあげなさい!私は聖女よ。 
 私が作ったのに、芋虫なんで吐くのよ食べないのよー! 
 まあ良いわ、1日食べなくても死なないわよ。
 
 あんたはソファーに寝なさい。私がベッド借りるわよ。本当に手間のかかる竜神様だわ。 

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