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亡者の大森林へ向かえ

LV112 ベレッタ反省中

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*ベレッタは正座している。

「ベレッタ君、何故、俺はここにいるのかな?」
「うむー、すまん。」
フミヤに説教されるベレッタ。
「ベレッタ、後ろからの不意打ちは危ないからダメよ。」
「いやいや、ヴィオラそういう問題じゃなくて・・・。」
ベレッタは両手をジタバタさせながら
フミヤとヴィオラにしどろもどろに言い訳をする。
「仕方ないのだ、我も旅したかったのだ。
フミヤに聞いたら ダメって言うからなのだ。」
「だからってなんで、俺まで巻き込むんだよ。」
「あ、それは なんとなくだのぅ。」
「なんとなくじゃねえよ。
俺、仕事どうするんだ?今頃、オーナーが、怒ってるぞ。」
「フフフ、その辺は大丈夫。
我がちゃんと手を打っておいたのでのぅ。」


その頃、【モンペロ】。

「あれ ジンさん、フミヤさんは今日出勤じゃなかったですか?」
「ああ、アイツは長期休暇だ。王からのお達しでな。」
「でも ウチも人が足りないんじゃ?」
「いや、助っ人が来てくれてな、ほれ。」
モコは厨房を覗き込んだ。
「あら。」

*ヤマダは皿洗いをしている。
*サイトウは仕込みをしている。
「なかなか筋がいいぞ、こいつら。」

・・・。

「て、ことなのだ。」

・・・こいつ、勝手に王様に会いに行ったのか?
「よく王様に会えたな。」
「うむ、夜中こっそりとな。」
「夜中と言えど、兵士いただろ?」
「ああ、ピュッと空を飛んで行ったら
誰にも気づかれなかったぞ。」
「そうか、おまえは 飛べるもんな。」

ヴィオラは改めてこれからの事を尋ねる。
「どうする、フミヤ。二人で引き返す?」
「嫌じゃー。我も行きたいのだ。」
「ううん、さすがに仕事を長期間、休み続けるのも
オーナーとモコに悪いし、帰ろうかな。」

「あっ、そうだ。」
乗り気でないフミヤに ベレッタは何やら耳打ちをする。
「なんだって!」
ベレッタが、こっそり何かを伝えると
今まで乗り気でなかったフミヤの態度が一変した。
「やっぱり、俺も救世主として 魔王は放っておけないよな。
うんうん、倒すべきだ。行こう、ヴィオラ。」
「えっ ホントに?」
ヴィオラがフミヤに念を押す。
「ああ。」

「やったぁー。」
ヴィオラは遠征初のフミヤ同行に喜び、
ベレッタと手を叩き合った。

「まずは ここイナックで食材を見るとしよう。」
「いや、フミヤは まず装備整えようよ。」
ヴィオラは寝間着《ねまき》姿のままの 
フミヤを見てそう答えた。
「そう言えば、俺はなんにも持ってないな。」

「モキュッ。」
メロが口の中から フミヤがいつも使っているカバンを
吐き出した。
「おっ、メロ持って来てくれたのか?」
「モキュ。」
「誰かさんとは 違って気が利くな。」
「ぬぅ、それは我か?」
*ベレッタは少し拗《す》ねた。

「とりあえず、着る者は欲しいな。
明日探しに行くか?」

勇者パーティー、明日イナック観光決定。
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