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亡者の大森林へ向かえ

LV113 イナックを観光

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イナックの町の中心部には巨大な市場があり
様々な食材や装備が売られている。
また富豪向けに レア素材やアイテムのオークションも
行われている。
また 町の周辺の大部分が、農場や田畑が占めており、
特産品の野菜や果物も多数市場に並ぶ。

ヴィオラとフミヤはベレッタを連れ、
イナックの市場へと向かった。
「のぅ、フミヤ。」
「ん?」
「みんなが、お前を見ているぞ。」
「ああ、そうだな。」
「ほれほれ、子供に指差されておるぞ。」

「ああああああああああああ。」
*フミヤは雄たけびを上げた。

「おまえのせいだよ、俺だけ寝間着しかないんだよ。
だから 今から買いに行くんだよ!」

「おおお。」
*ベレッタはショックを受けている。

「まあまあ二人とも落ち着いて、仲良く行きましょう。」
ヴィオラはフミヤの怒りを 鎮《しず》めようと必死だった。

市場についた三人は一先《ひとま》ず、洋服店に入った。
「うん、フミヤすごく似合っているよ。」
「そう?」
「うんうん、格好いいよ。」
「んー、でもなぁ。今から旅をするなら もう少しラフな
恰好がいいかな。」
フミヤとヴィオラが、仲良く二人で服を選んでいると
そこに試着を終えたベレッタが顔を出す。
「どうかの?」
「おっ、似合ってるぞベレッタ。」
「ホントかぁ?ホントかぁ?」
モンスターの多くは 人間のようにお洒落をするという文化がない。
ベレッタも同様に 服に興味がなかったが、
フミヤに促され、試着をしてみると意外と楽しそうだった。
ベレッタはその試着した、赤と黒でデザインされたドレス風の服を
豪《えら》く気に入ったようだ。
「フミヤ、これ欲しいのだ。」
「そうか、気に入ったのか。買ってやろうかな?」

フミヤは 値段プレートに記載された金額を確認すると
あまりの高さに思わず、言葉が詰まった。

「ジュッ、10万イエン・・・。」

「それくらいならいいよ。ベレッタに 買ってあげる。」
ヴィオラは驚くこともなく、平然とお会計に
行こうとしている。
「ちょっと ヴィオラ、いくらなんでも高くない?」
と、フミヤが言うと。
「そう?私達の装備に比べれば 全然安いけど。」
「えっ、勇者の装備ってそんなに高いの?」
「うん、この上の鎧だけで、300万イエンくらいだったかな。」
「さ・・・300万!」
びっくりする金額に 気が遠くなるフミヤ。
ちなみにフミヤの服は上下で8000イエンだった。

「さあ、次行きましょう。」
「おー。」
ヴィオラとベレッタは大はしゃぎで、次の店を探す。
「女の子は買い物好きだな。」
ようやく、寝間着から解放されたフミヤは 
すでに満足し、食材を見に行きたかったが、
二人を置いて行けないため しばらくヴィオラ達にお供する。

「ヴィオラ、食材見に行こうよ。」
「それは後で、とりあえず 装備を買いましょう。」
「うーむ。」
フミヤはこの後も あれやこれやでヴィオラとベレッタの
買い物に付き合わされ、気が付けば日が暮れかけていた。
「ヴィオラ、食材を・・・。」
「フミヤ、次は 薬を買いに行くよ。」

「もう嫌だーーーー!」

*フミヤは逃げ出した。

日が沈みかけるなか、人混みに紛れ姿を消したフミヤ。
フミヤは良い食材を見つける事ができるだろうか?
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