母校に就職したら指導教官が大好きだった先生でした

風花鳴海

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「もしかして、君、卒業生だよね?」
「はい。えっと、鈴木先生ですよね?里見愛莉です」
ここはわたしの母校、聖白雪学院。今日は私の夢、教師になるために、採用試験を受けに来た。
「ああ、今日ここにいるってことは、採用試験受けるのか?嬉しいな」
「嬉しい、ですか?」
「卒業生がここに就職したいって思ってくれるということは、学校生活が楽しかったってことだよね、教師冥利に尽きるよ」
「そうですか。でも、先生の授業、わたし受けてないのによくわかりましたね」
「そりゃわかるよ、君も教師になればそうなる。健闘を祈るよ」
「ありがとうございます!」
大事な試験に遅刻するわけにはいかない、と思って早く来てみたけど、いくらなんでも一時間半前は早過ぎた。久しぶりだし、ちょっと学校の周りを見ようかなって思ったところでいきなり、先生に会って激励されるなんて。ついてる。里見愛莉、持ってる。よし、今日こそいける。
教職がブラックだって話題にされはじめて早数年。大学3年には優秀な人たちは、優良企業からサクサク内定もらいだすのに、わたしは4年の今になっても、内定ゼロ。焦る焦るけど、教師になりたい、って思ったからには仕方ない。だって、採用試験が今なんだもん。
なんてグルグル考えているうちに、また正門に戻ってきてしまった。でもまだ一時間前か・・・
「あいりー!愛莉ちゃんだよねー!今日、採用試験受けるの?」
「わっ、祥子ちゃん!久しぶりー!祥子ちゃんも受けるの?」
如月祥子は、高校時代の同級生。大学が別だから3年数ヶ月ぶりだ。
「愛莉ちゃんが受けるんなら、わたしは無理かな」
「え、なんで?」
「だって、愛莉ちゃん国語、抜群だったじゃん」
高校時代、たしかにわたしは、国語では常に学年1位。というのも、3年間ずっと国語の担任だった水谷先生が良かったからで・・・
「あ、みなり~!こっちこっち」
「祥子おはよー!あ、こんにちは」
「大学一緒の坂下美成ちゃん。こっちは、高校の同級生里見愛莉ちゃん」
「どうも」「はじめまして」
祥子は高校時代から、友達作るのうまかったからなあ。早速3人で会場まで。試験は鈴木先生の激励と、祥子のおかげでリラックスして受けられたのだが。
帰り道。
祥子たちと3人で駅まで歩きながら、なぜか試験の答え合わせになり。
「ね、古文結構難しかったよね。問2の訳って何番にした?」
「1番」
「わー、美成と一緒だー。愛莉ちゃんは?」
「3」
2人の答えは一緒なのに、わたしだけ違う。というのが続き、ああ、ダメだ。この3人で私だけ落ちるんだ。落ち込んでいったら、気分が悪くなってきて
「ごめんなさい、わたしそこで買うものあったんだ。ここで、バイバイ」
そっと2人と別れて、デパートのトイレで吐いた。落ちた。落ちた。憧れの先生になれると思ったのに。
二週間後。
郵便受けに入っていたのは、一次試験合格と二次試験の日程の通知だった。
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