母校に就職したら指導教官が大好きだった先生でした

風花鳴海

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1 はじまり

研修スタート

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まさかまさかだったけれど。憧れだった教師に、母校で教師になることに。
二次試験の校長面接から二週間。内定通知とともに、3月1日からの研修のお知らせが。
聖白雪は、教員の離職率が極めて低い。ほぼ全員定年まで勤め上げるので、めったに新規採用試験もない。今回は、運良く国語と数学で一名ずつ採用された、ということは、もうすぐ定年を迎える国語と数学の教員がいる、ということなのだろう。
そして、退職する予定の教員がいる二年前には採用試験が行われる。一年間、新人教師をじっくり育ててから、1人前の教師として教壇に立たせるためだ。
研修か。なにするんだろう。
不安よりも楽しみな気持ちが強い。
採用試験以来数ヶ月ぶりに母校の門をくぐる。もうここは、母校じゃない、職場なのだ、と思うと、ふつふつ嬉しい。つい顔がにやけてしまう。
「おはようございます」
突然後ろから声をかけられて、
「ひゃっ」変な声を出してしまう。
「あ、すみません。今日から研修の平井です」
「どうも。わたしも今日から研修の里見です。国語です」
「名字は?」
「名字が里見なんです。里見愛莉と言います」
「失礼しました。平井優介です。数学です」
ぷふっ。顔を見合わせて笑ってしまう。そうか、同僚か。と思うとそれもまた嬉しい。
「もしかして、里見先生は卒業生?」
「はい。平井先生はどうしてこの学校に?」
「すげーホワイトな学校だから受けてこいって、大学の先生にすすめられて」
雑談しながら学校に入る。
研修会場の視聴覚室。久しぶりだ。なぜかこの部屋にだけ絨毯が敷いてあって、この部屋だけの良いんだか悪いんだか、なんとも言えない匂いがする。
教頭と校長、その後ろに4人の先生が入ってきて、研修が始まった。
「この学校では、はじめの一年間、指導教官があなたがた新人の先生の指導にあたります。国語は水谷先生、数学は鈴木先生です。それから、あなたがたの学校での、お兄さんお姉さん、榊先生と廣瀬先生。この2人は、仕事上でも、プライベートでもなんでも相談してください」
水谷先生。高校時代、この先生に憧れて国語が好きになった。古文も漢文も現代文も、そして普段の会話もすべて。水谷先生から吐き出される言葉のすべてが好きで、先生に認められたくて国語を頑張った。その水谷先生が指導教官だなんて。
「里見先生、よろしくお願いします」
「水谷先生、こちらこそよろしくお願いします」
このときはまだ、水谷先生が指導教官としては鬼だなんて、知らなかった。
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