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2 新年度スタート
気になる生徒
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寮生が学校から帰ってくる時間は、帰宅部組の16時前と部活組の18時前のだいたい2パターン。
帰ったらすぐ、朝登校前に外出中の赤色に変えた自分の名札を、在寮中の水色に変える。
廣瀬先生とわたしは、一週間交代で閉門当番になる。門限の18時、全員分の名札が水色になっていることを確認して、寮の門と、玄関に鍵をかける。
今日も笹生さん、部活組と一緒だったなあ。
帰宅部のはずの一年生、笹生愛子の帰り時間は、ときどき部活組と同じ18時ちょっと前になる。
寮で禁止にしているわけではないし、塾にでも行ってるのかなあとか、図書室で勉強してるのかなあとか。いろいろ考えるけど、本人に何をしてるの?って聞くべきか。門限破りをしたわけでもないし、触れないでおくべきか。
最初に、あれっ?って思った日から、ずっとモヤモヤしている。
「なんか悩んでる?相談乗るけど?」
廣瀬先生に声をかけられて、やっとこのところのモヤモヤを吐き出す。
「ちょっとお。真面目に言うけど、生徒に関することは、ちょっとしたことでも、ちゃんと口に出して情報共有して。何かあってから、実は前から気になってたことがあって、なんていうのは、絶対に絶対に手遅れでしかないんだからね」
「すみません」
いつもニコニコしてて、ふわっとしてる廣瀬先生に初めて叱られて、はっとする。そうだ、これは、生徒に関することなんだ。
「寮長先生いかがですか」
「そうね。まずは、笹生さんと話をしてみる必要はありそうですね。里見先生、あなたが気になっているのですから、先生が話すべきね」
「わかりました。夕食後、声をかけてみます」
寮生に個人的に声をかけるのは、初めてだ。どうしよう、緊張してきた。
ドキドキが止まらないまま夕食が終わってしまった。
「笹生さん、ちょっとお話いいかな」
他の子に聞かれないようにそっと近くに行って小さな声で声をかける。
「はい」
そのまま、みんなが食堂を出て行く流れに乗りながら、2人で事務室に入ると、そこで廣瀬先生が日誌かなにか。ノートになにかを書いている。多分、わたしのフォローのためにいてくれているんだろう。
「笹生さん、あのね。たしか部活入ってないよね」
「はい」
「けど、部活の子たちと帰り時間が一緒くらいになる日があるよね」
「はい」
どうしよう。会話が、会話が続かない。
「なにか理由があるのかなって思って」
「いや、別に」
「何か、何か困ったことになってるんだったら、いつでも相談して」
「里見先生は、笹生さんが何やってるのかなって。心配してるんだよねー」
廣瀬先生がとうとう助け舟を出してくれる。
「おせっかいで、ごめんなさい」
もう、なんて言ったらいいかわからなくなって、椅子から立ち上がってごめん、って頭を下げる。もう本当。こんな教師でごめんなさい。
「笹生さんが、何も困ったことになってないんなら良いの。門限破ったわけじゃないんだし。でも、ほとんどの子が4時には帰ってきてるのに、笹生さんだけいないから、何かあるのかなって思っただけで。あの」
笹生さんもなんだか困ったような顔になっている。ごめんなさい、わたしが悪いよね。
「あの、別になにもないんで。部屋に戻ってもいいですか」
「はい。ごめんなさい」
笹生さんが部屋に戻っていく。どうしよう。変にこじらせただけなんじゃない?
「とりあえず、ノックはしてみた、ってところじゃない?」
廣瀬先生が言う。
「ただ、ちゃんと観察しよう。笹生さん、多分なんかあるね」
どうしよう。こんなとき、どうしていいか、本当にわからない。
帰ったらすぐ、朝登校前に外出中の赤色に変えた自分の名札を、在寮中の水色に変える。
廣瀬先生とわたしは、一週間交代で閉門当番になる。門限の18時、全員分の名札が水色になっていることを確認して、寮の門と、玄関に鍵をかける。
今日も笹生さん、部活組と一緒だったなあ。
帰宅部のはずの一年生、笹生愛子の帰り時間は、ときどき部活組と同じ18時ちょっと前になる。
寮で禁止にしているわけではないし、塾にでも行ってるのかなあとか、図書室で勉強してるのかなあとか。いろいろ考えるけど、本人に何をしてるの?って聞くべきか。門限破りをしたわけでもないし、触れないでおくべきか。
最初に、あれっ?って思った日から、ずっとモヤモヤしている。
「なんか悩んでる?相談乗るけど?」
廣瀬先生に声をかけられて、やっとこのところのモヤモヤを吐き出す。
「ちょっとお。真面目に言うけど、生徒に関することは、ちょっとしたことでも、ちゃんと口に出して情報共有して。何かあってから、実は前から気になってたことがあって、なんていうのは、絶対に絶対に手遅れでしかないんだからね」
「すみません」
いつもニコニコしてて、ふわっとしてる廣瀬先生に初めて叱られて、はっとする。そうだ、これは、生徒に関することなんだ。
「寮長先生いかがですか」
「そうね。まずは、笹生さんと話をしてみる必要はありそうですね。里見先生、あなたが気になっているのですから、先生が話すべきね」
「わかりました。夕食後、声をかけてみます」
寮生に個人的に声をかけるのは、初めてだ。どうしよう、緊張してきた。
ドキドキが止まらないまま夕食が終わってしまった。
「笹生さん、ちょっとお話いいかな」
他の子に聞かれないようにそっと近くに行って小さな声で声をかける。
「はい」
そのまま、みんなが食堂を出て行く流れに乗りながら、2人で事務室に入ると、そこで廣瀬先生が日誌かなにか。ノートになにかを書いている。多分、わたしのフォローのためにいてくれているんだろう。
「笹生さん、あのね。たしか部活入ってないよね」
「はい」
「けど、部活の子たちと帰り時間が一緒くらいになる日があるよね」
「はい」
どうしよう。会話が、会話が続かない。
「なにか理由があるのかなって思って」
「いや、別に」
「何か、何か困ったことになってるんだったら、いつでも相談して」
「里見先生は、笹生さんが何やってるのかなって。心配してるんだよねー」
廣瀬先生がとうとう助け舟を出してくれる。
「おせっかいで、ごめんなさい」
もう、なんて言ったらいいかわからなくなって、椅子から立ち上がってごめん、って頭を下げる。もう本当。こんな教師でごめんなさい。
「笹生さんが、何も困ったことになってないんなら良いの。門限破ったわけじゃないんだし。でも、ほとんどの子が4時には帰ってきてるのに、笹生さんだけいないから、何かあるのかなって思っただけで。あの」
笹生さんもなんだか困ったような顔になっている。ごめんなさい、わたしが悪いよね。
「あの、別になにもないんで。部屋に戻ってもいいですか」
「はい。ごめんなさい」
笹生さんが部屋に戻っていく。どうしよう。変にこじらせただけなんじゃない?
「とりあえず、ノックはしてみた、ってところじゃない?」
廣瀬先生が言う。
「ただ、ちゃんと観察しよう。笹生さん、多分なんかあるね」
どうしよう。こんなとき、どうしていいか、本当にわからない。
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