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3 ひと皮むけて
里見と水谷
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「愛莉、わたし先に帰るわ」
「あ、お疲れさまです」
「ガンバ」
肩をそっとたたいて、廣瀬先生が寮に戻っていく。さっきのヒントではわからなかったんですけど。
さっきから隣では、水谷先生が原稿用紙に鉛筆を走らせている。
水谷先生が授業を変わりにやってくれたんだったよね。それがヒント。ヒント?
「あの。水谷先生」
「はい」
「授業のことを心配していなかったから。ですか?」
「まあ、正解です」
そっか。わたし、午前中のクラスをほったらかしにしたんだ。あ。やば。泣きたいわけじゃないのに。
「気をはっていたんですね。今日は、お疲れ様でした」
だから、泣きたいわけではないので、優しいことを言わないで欲しいのですが。
「さきほど、廣瀬先生が反省文出されまして」
「えっ」
「里見先生に、きちんと指導できていない自分こそ反省しなければならなかったと」
急な展開にとまどいしかない。ま、おかげで涙は止まったけど。
「一番反省しなければいけないのは、僕でした。申し訳ありませんでした」
いつもの。いつものきれいな背筋のまま、すーっと頭を下げられる。どうしよう。
「里見先生、指導案に授業の記録を貼り付けていたんですね。あれはとても役に立ちました。急に代理で授業に入る場合でも、どこに入ればいいのかがよくわかりました。それから、生徒の反応のメモも良かったですね。あれを参考に補足説明も出来ました」
「ありがとうございます」
久しぶりに誉められる。
「里見先生、急に出勤できなくなるときには、必ず自分で学校に電話するのはなぜか、理解できましたか」
「はい。その日の分の授業をどうするのか、主任と相談するためです」
「正解です」
「では、次からはきちんと連絡できますね」
「はい」
「では。僕の反省文です」
水谷先生から反省文を渡される。読んで良いんですか?
きれいな字。水谷先生がわたしに教えておかなければならなかったのに、教えてなかったことが書かれている。あー。あー。
「水谷先生、わたし、ちゃんとこういうこと、先生から習ってます。研修で」
「定着していなかったのですから、指導としては、失敗です」
生徒が授業をきちんと理解したかをはかるのが試験。生徒の試験の出来が悪かったら、それは、授業者のせい。水谷先生いつもそう言ってる。でもたぶん。わたしの出来が悪いのは、わたしのせい。
「反省文、書きます」
考えが整理できたので、反省文を書く。早く帰って、笹生さんの様子を見たいけど、廣瀬先生がいてくれるから大丈夫。
「あ、お疲れさまです」
「ガンバ」
肩をそっとたたいて、廣瀬先生が寮に戻っていく。さっきのヒントではわからなかったんですけど。
さっきから隣では、水谷先生が原稿用紙に鉛筆を走らせている。
水谷先生が授業を変わりにやってくれたんだったよね。それがヒント。ヒント?
「あの。水谷先生」
「はい」
「授業のことを心配していなかったから。ですか?」
「まあ、正解です」
そっか。わたし、午前中のクラスをほったらかしにしたんだ。あ。やば。泣きたいわけじゃないのに。
「気をはっていたんですね。今日は、お疲れ様でした」
だから、泣きたいわけではないので、優しいことを言わないで欲しいのですが。
「さきほど、廣瀬先生が反省文出されまして」
「えっ」
「里見先生に、きちんと指導できていない自分こそ反省しなければならなかったと」
急な展開にとまどいしかない。ま、おかげで涙は止まったけど。
「一番反省しなければいけないのは、僕でした。申し訳ありませんでした」
いつもの。いつものきれいな背筋のまま、すーっと頭を下げられる。どうしよう。
「里見先生、指導案に授業の記録を貼り付けていたんですね。あれはとても役に立ちました。急に代理で授業に入る場合でも、どこに入ればいいのかがよくわかりました。それから、生徒の反応のメモも良かったですね。あれを参考に補足説明も出来ました」
「ありがとうございます」
久しぶりに誉められる。
「里見先生、急に出勤できなくなるときには、必ず自分で学校に電話するのはなぜか、理解できましたか」
「はい。その日の分の授業をどうするのか、主任と相談するためです」
「正解です」
「では、次からはきちんと連絡できますね」
「はい」
「では。僕の反省文です」
水谷先生から反省文を渡される。読んで良いんですか?
きれいな字。水谷先生がわたしに教えておかなければならなかったのに、教えてなかったことが書かれている。あー。あー。
「水谷先生、わたし、ちゃんとこういうこと、先生から習ってます。研修で」
「定着していなかったのですから、指導としては、失敗です」
生徒が授業をきちんと理解したかをはかるのが試験。生徒の試験の出来が悪かったら、それは、授業者のせい。水谷先生いつもそう言ってる。でもたぶん。わたしの出来が悪いのは、わたしのせい。
「反省文、書きます」
考えが整理できたので、反省文を書く。早く帰って、笹生さんの様子を見たいけど、廣瀬先生がいてくれるから大丈夫。
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