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5 飛び込む勇気
道徳の時間
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夏合宿でなぜ高校では必修でない、道徳を取り上げるのか。
道徳は、小中学校では教科として扱うが、高校では扱わず、全教科をとおして、道徳的な考え方を学ぶことになっている。また、倫理の教科で取り扱うこともあるし、宗教系私学の場合、宗教の授業で扱う学校も多く、白雪にも宗教の時間があり、専任の教員もいる。
なのになぜ。
「ほら平井、お前里見先生より課題の進行遅れてんだろ。ボーッとしてる暇あんなら、手動かせ」
「すみません」
考えにふけっていたら、鈴木先生に叱られる。そうだ。あれこれ考えてないで、手を動かさないと、真剣に間に合わなくなる。
パソコンでパチパチ。指導案を埋めていく。とにかく、課題をこなさないことには。数学の指導案ならこんなにスラスラ書けるようになったのに、なんで、なんで道徳なのよ。
里見先生は、水谷先生や廣瀬先生に相談してテーマを決めたらしい。さっき偵察したら、敵はずっと俺より進んでいて、もうあせりしかない。
とりあえず、数学の分は、これで終わり。
「鈴木先生、指導案見ていただきたいのですが」
「お前は、誤字脱字チェックまで指導教官にやらせんのか?今の今まで打ってたもん、すぐ回すなよ」
今度は、左隣の榊先生に叱られる。
「あっ、そうですね、すみません。自分で見直しします」
「いーよ。待ってらんねーし」
鈴木先生は俺の手から指導案を取り上げて、赤ペン片手に読み始める。待ってらんねー、か。そうだよな。俺のせいで、最近鈴木先生の定時で帰るルールは崩れがち。妊娠中の奥さんにも申し訳ない。
「なかなか良いんじゃないか?」
「これで提出しても?」
「赤入れたとこ、直したら、な」
「ありがとうございます」
お礼を言いながら、手元を見返して落ち込む。つか、真っ赤っかじゃん。俺、最近相当ダメになってないか。
「わりー。俺そろそろタイムアップな。おつかれー」
「あ、お疲れ様です」
鈴木先生が片手を上げて挨拶しながら職員室を出て行ってしまった。
赤ペンチェックが入ったところを直しながら、なんか、あ、あれ?榊先生の視線を感じるような。
「お前さ、最近マジでたるんでね?」
「すみません」
「すみませんしか言えないの?さっきから」
たしかに、俺、確実にダメになっている。あー。やべー泣きそう。なんでだろう。新年度はじめのころは、もっと俺、自信あったのに。
「なんで独りで抱え込むんだよ。俺も鈴木先生もいるんだからさ、課題の進みが悪いこととか、もっと相談しろよ。お前ひとりで頑張ってんなよ。なんだよ、俺がそんなに頼りになんねーのかよ」
え?榊先生?ちょっとそれ、なんか違う気が。
顔をしっかり上げて、榊先生を見る。榊先生も心なしか泣きそうに見える。あれ?なんか俺、えーっと。どうしたらいいかわからない、このシチュエーション。
「榊先生、今日時間もらえます?」
「今日は無理。明日な」
榊先生まで帰ってしまった。なんだよ、俺、どうしたらいいんだよ。
道徳は、小中学校では教科として扱うが、高校では扱わず、全教科をとおして、道徳的な考え方を学ぶことになっている。また、倫理の教科で取り扱うこともあるし、宗教系私学の場合、宗教の授業で扱う学校も多く、白雪にも宗教の時間があり、専任の教員もいる。
なのになぜ。
「ほら平井、お前里見先生より課題の進行遅れてんだろ。ボーッとしてる暇あんなら、手動かせ」
「すみません」
考えにふけっていたら、鈴木先生に叱られる。そうだ。あれこれ考えてないで、手を動かさないと、真剣に間に合わなくなる。
パソコンでパチパチ。指導案を埋めていく。とにかく、課題をこなさないことには。数学の指導案ならこんなにスラスラ書けるようになったのに、なんで、なんで道徳なのよ。
里見先生は、水谷先生や廣瀬先生に相談してテーマを決めたらしい。さっき偵察したら、敵はずっと俺より進んでいて、もうあせりしかない。
とりあえず、数学の分は、これで終わり。
「鈴木先生、指導案見ていただきたいのですが」
「お前は、誤字脱字チェックまで指導教官にやらせんのか?今の今まで打ってたもん、すぐ回すなよ」
今度は、左隣の榊先生に叱られる。
「あっ、そうですね、すみません。自分で見直しします」
「いーよ。待ってらんねーし」
鈴木先生は俺の手から指導案を取り上げて、赤ペン片手に読み始める。待ってらんねー、か。そうだよな。俺のせいで、最近鈴木先生の定時で帰るルールは崩れがち。妊娠中の奥さんにも申し訳ない。
「なかなか良いんじゃないか?」
「これで提出しても?」
「赤入れたとこ、直したら、な」
「ありがとうございます」
お礼を言いながら、手元を見返して落ち込む。つか、真っ赤っかじゃん。俺、最近相当ダメになってないか。
「わりー。俺そろそろタイムアップな。おつかれー」
「あ、お疲れ様です」
鈴木先生が片手を上げて挨拶しながら職員室を出て行ってしまった。
赤ペンチェックが入ったところを直しながら、なんか、あ、あれ?榊先生の視線を感じるような。
「お前さ、最近マジでたるんでね?」
「すみません」
「すみませんしか言えないの?さっきから」
たしかに、俺、確実にダメになっている。あー。やべー泣きそう。なんでだろう。新年度はじめのころは、もっと俺、自信あったのに。
「なんで独りで抱え込むんだよ。俺も鈴木先生もいるんだからさ、課題の進みが悪いこととか、もっと相談しろよ。お前ひとりで頑張ってんなよ。なんだよ、俺がそんなに頼りになんねーのかよ」
え?榊先生?ちょっとそれ、なんか違う気が。
顔をしっかり上げて、榊先生を見る。榊先生も心なしか泣きそうに見える。あれ?なんか俺、えーっと。どうしたらいいかわからない、このシチュエーション。
「榊先生、今日時間もらえます?」
「今日は無理。明日な」
榊先生まで帰ってしまった。なんだよ、俺、どうしたらいいんだよ。
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