母校に就職したら指導教官が大好きだった先生でした

風花鳴海

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5 飛び込む勇気

夏合宿初日

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里見先生は国語でしかも女性だから、宿舎も研修会場も別々で。つまり、ここに白雪の関係者はいない。
なんだかんだいって、俺って先輩たちに守られながら仕事してたんだな、ってことがわかって、ちょっと恥ずかしそうな、寂しいような、情けないような、でもありがたいような。なんかよくわからない気持ちが渦巻いてて、今意外なまでに緊張している。そ、隣の人とかマジで頭良さそうだし。
「はじめまして」
「あ、はじめまして。聖白雪学園高等部の平井といいます」
「科学技術学園高等部、白崎です」
かー!超進学校は、教師もエリートって、なんか本当、こういう人見るとああ、なるほどですわ。
「女子校はなかなか、たいへんそうですね」
「いや、俺、科学技術さんみたいな超進学校のほうが、大変そうに思えますけど」
何?何マウントなの、これ?
「いやいや、平井先生なかなかイケメンだし、生徒にもてるんじゃないかと」
「ああ。そういうマンガみたいのは、うち、まったくないんで。それに俺、もうすぐ結婚しますし」
「へっ!新人研修ですよ、ここ?」
「はい。そうですけど?」
俺、なんかここでうまくやっていけそうにない。
今日はオリエンテーションというか、とりあえず、研修仲間と打ち解けるための時間があって、午後にはもう、模擬授業。俺、やるんなら最初がいいな。後の方がプレッシャー大きいし。
「午後からの模擬授業ですが、最初に授業者になりたい方、いますか?」
「はい」
え。隣も手挙げた?
「初めてですね、ここで2人から手が挙がるのは。2人で話し合いで決められますか」
このられる、は、可能かどうかを聞いてんだよな。
「はい。少しお時間いただけますか?」
「良いでしょう。休憩時間に話し合って、次のレクチャーの前に結論ください」
「はい」
んー。なんであんたが仕切ってるのか知らんけど、すでに押され気味なのもなんか、気になる。俺、この人に過去何かしたんだろうか??
アイスブレイクのための、自己紹介タイムやら、互いの学校自慢的な概要紹介やらが終わり、休憩時間。
「なぜ平井先生は最初になさりたいので?」
だから、なんでお前が俺に上から話し掛けるわけ?
「俺、授業の取りかかりに、ゲームをするんです。いつも。それで」
「それで?」
えっ。なんか、この人、鈴木先生に似てますね。
「単元全体を見回すというか、この単元の概略を掴むためのゲームなので、単元初日にやらないと、意味がないんですよ」
静かに俺の顔を見ている。なんなんだよ、その余裕綽々な態度。
「これだけ研修仲間がいるのに、自分は絶対に初日の時間がもらえると思って仕込んできたから、初回は俺に譲れということですね」
水谷先生に、腹を立てない技とか習ってくれば良かった。同じ研修仲間なのに、なぜあんたは、俺に説教してくるのかを聞きたいですが。
拳を握り締めて、プルプルしてるのがわかる。でも、俺、今、抑えるのに必死で何も言葉が出せない。悔しい。
「わかりました。初回はお譲りします」
なんなんだー、こいつ?なんで俺に喧嘩売ってくるんだ?
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