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6 明るい明日へ
笹生の門限破り
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廣瀬先生が夏休みに入って、寮監がわたしだけ。今年、帰省せず寮に残っているのは、一年生の笹生さんだけ。
にしても。もうあと三分で門限なのに。遅い。
さっきから門を出たり入ったりもう落ち着いていられない。外出先、もっと詳しく書かせれば。携帯持たせれば。ああ、なんかもう生きた心地がしない。
遠くでサイレン?救急車?やだ。事故にあったのか?身分証は携帯させてるから、それなら連絡入るはずだし。
「里見先生、門限過ぎました」
寮長先生から声がかかる。
「あの、わたしちょっと駅の方見てきます」
「気をつけて」
一学期の途中まで、門限ギリギリにしか帰って来なかった笹生さん。一度熱を出したときから、割と早めに帰ってくるようになっていたのに。夏休み、羽目を外したくなったのかな。
駅に着いたけれど、笹生さんの姿はない。しばらく待ってみたところで、スマホが鳴る。
「里見です」
寮長先生から、帰ってきなさいと。
「笹生さん、帰ってきました?」
「いいえ。でもここは少し落ち着いて」
とりあえず、指示通り寮に戻る。寮の前に、水谷先生?
「繁華街の方まで僕が見てきます。里見先生は寮で待機」
「はい」
待機って言われたけれど、じっとしていられない。門を出たり入ったりを繰り返して、気を揉むことしかできない。
一時間ほど経って、水谷先生が戻ってきた。わたしと目があうと、フルフルと首を横に振る。
「これだけ待って連絡がないのですから、事故にあったわけではなさそうですね。もう少し待ちましょう」
汗びっしょりの水谷先生。生徒が出入りしそうなお店を片っ端から見てくれたそうで。何してるの、笹生さん。
結局、笹生さんが帰ってきたのは、門限を90分過ぎた20:30。水谷先生が駅から連れて帰ってくれた。
笹生さんの顔を見たら、とにかくほっとして。涙がとまらない。泣きじゃくるわたしの頭を軽くポンと叩いて、
「じゃ、僕はこれで失礼します」
水谷先生はまた駅の方に帰って行った。
寮長室に笹生さんを連れて入る。
「笹生さん、門限を過ぎてしまいましたね」
寮長先生が静かに話しかける。笹生さんは、無表情で
「すみませんでした」
といって、頭を下げる。どうして、時間が守られなかったの?どこで何をしていたの?聞きたいことはいっぱいあるのに、涙が止まらなくて、嗚咽しか出ない。
「里見先生、いつまで泣いているの」
ピシャリ。寮長先生に叱られる。
「ずびばぜん」
泣きながらだから、すみませんがひどい声になる。
「泣きやむまで、廊下に立ってなさい」
「はい」
寮長室を出て、廊下に立つ。廊下に立たされるなんて、生まれて初めてだ。情けなくて、ますます涙がとまらない。
何分たっただろう。寮長室のドアが開いて、笹生さんが顔を出す。
「里見先生、寮長先生がお呼びです」
泣きやむことが出来なくて、泣いたまま寮長先生の前に、笹生さんと並んで立つ。
「笹生さんは、明日から90日間外出禁止、帰宅後玄関掃除の罰です」
「はい」
笹生さんは無表情のまま、罰を受け入れる。
「それから、今日から90日間、里見先生と同室で生活すること」
え?
「はい」
「里見先生、返事は?」
「はい」
え?なんで。
「あの、わたしの部屋に笹生さんが来るということですか?」
「そうです。では、早速笹生さん、引っ越し」
「はい」
笹生さんが自室に荷物を取りに行く。
「いつまで泣いてるの?笹生さんを迎える準備に行きなさい。この90日間同室は、あなたへの罰でもあるのよ」
え?わたしへの罰?
「いつまでも泣いているんではありません。笹生さんとしっかり向き合いなさい」
「はい」
これは、なんか大変なことになった。
にしても。もうあと三分で門限なのに。遅い。
さっきから門を出たり入ったりもう落ち着いていられない。外出先、もっと詳しく書かせれば。携帯持たせれば。ああ、なんかもう生きた心地がしない。
遠くでサイレン?救急車?やだ。事故にあったのか?身分証は携帯させてるから、それなら連絡入るはずだし。
「里見先生、門限過ぎました」
寮長先生から声がかかる。
「あの、わたしちょっと駅の方見てきます」
「気をつけて」
一学期の途中まで、門限ギリギリにしか帰って来なかった笹生さん。一度熱を出したときから、割と早めに帰ってくるようになっていたのに。夏休み、羽目を外したくなったのかな。
駅に着いたけれど、笹生さんの姿はない。しばらく待ってみたところで、スマホが鳴る。
「里見です」
寮長先生から、帰ってきなさいと。
「笹生さん、帰ってきました?」
「いいえ。でもここは少し落ち着いて」
とりあえず、指示通り寮に戻る。寮の前に、水谷先生?
「繁華街の方まで僕が見てきます。里見先生は寮で待機」
「はい」
待機って言われたけれど、じっとしていられない。門を出たり入ったりを繰り返して、気を揉むことしかできない。
一時間ほど経って、水谷先生が戻ってきた。わたしと目があうと、フルフルと首を横に振る。
「これだけ待って連絡がないのですから、事故にあったわけではなさそうですね。もう少し待ちましょう」
汗びっしょりの水谷先生。生徒が出入りしそうなお店を片っ端から見てくれたそうで。何してるの、笹生さん。
結局、笹生さんが帰ってきたのは、門限を90分過ぎた20:30。水谷先生が駅から連れて帰ってくれた。
笹生さんの顔を見たら、とにかくほっとして。涙がとまらない。泣きじゃくるわたしの頭を軽くポンと叩いて、
「じゃ、僕はこれで失礼します」
水谷先生はまた駅の方に帰って行った。
寮長室に笹生さんを連れて入る。
「笹生さん、門限を過ぎてしまいましたね」
寮長先生が静かに話しかける。笹生さんは、無表情で
「すみませんでした」
といって、頭を下げる。どうして、時間が守られなかったの?どこで何をしていたの?聞きたいことはいっぱいあるのに、涙が止まらなくて、嗚咽しか出ない。
「里見先生、いつまで泣いているの」
ピシャリ。寮長先生に叱られる。
「ずびばぜん」
泣きながらだから、すみませんがひどい声になる。
「泣きやむまで、廊下に立ってなさい」
「はい」
寮長室を出て、廊下に立つ。廊下に立たされるなんて、生まれて初めてだ。情けなくて、ますます涙がとまらない。
何分たっただろう。寮長室のドアが開いて、笹生さんが顔を出す。
「里見先生、寮長先生がお呼びです」
泣きやむことが出来なくて、泣いたまま寮長先生の前に、笹生さんと並んで立つ。
「笹生さんは、明日から90日間外出禁止、帰宅後玄関掃除の罰です」
「はい」
笹生さんは無表情のまま、罰を受け入れる。
「それから、今日から90日間、里見先生と同室で生活すること」
え?
「はい」
「里見先生、返事は?」
「はい」
え?なんで。
「あの、わたしの部屋に笹生さんが来るということですか?」
「そうです。では、早速笹生さん、引っ越し」
「はい」
笹生さんが自室に荷物を取りに行く。
「いつまで泣いてるの?笹生さんを迎える準備に行きなさい。この90日間同室は、あなたへの罰でもあるのよ」
え?わたしへの罰?
「いつまでも泣いているんではありません。笹生さんとしっかり向き合いなさい」
「はい」
これは、なんか大変なことになった。
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