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第2章 魔法学園の入学式
魔力測定 ( 3 )
しおりを挟む準備室から、会場の様子がよく見える。
魔力測定を見に来た観客 ( 新入生の家族、それに在学生 ) もよく見える。
緊張してきた。心臓バクバク。今まで緊張とかしたこと無かったけど、緊張ってこんなに辛いんだ。
大丈夫。落ち着け、私。気を引き締めるのよ。コーラが爆発する。
ん? ビンが爆発かな? 抑えきれなくなってビンがパーンと弾け飛ぶ、が正しいのかな。まあ、細かいことはいいか。
準備室に居る他の人達の様子を観察する。緊張を忘れることも含め。
緊張感で満ちているこの部屋の中に、1人だけ浮いている人が居る。
銀髪のあの女の子だ。
この子だけ、緊張している素振りを一切見せず、ピシッと綺麗に座りながら、目を閉じている。
うおう。強者の余裕的な。
私も負けてられるかと謎の対抗心を燃やして、表情を取り繕いながら、できるだけ優雅に見えるよう座る。
『123番、サラ・ヨーズワルト』
銀髪の女の子がすっとその場に立つ。
へえ、この子、サラって名前なんだ。
ヨーズワルトって確か、ツェリシア公爵家と並ぶくらいの公爵家だよ。
自信に満ちたような表情をしていて、そして美人。
サラちゃんは優雅さを欠けず、さらさらと ( ダジャレじゃないよ? ) 銀色の髪をたなびかせながら歩く。
にこにこと笑うユウキューマさんにサラちゃんはドレスの端を掴んで淑女の礼をして、水晶に手をかざす。
銀色のモヤに水晶が囲まれた。モヤの量が今までに比べ、尋常ではない。
「わーお。10,000。さっすが」
ざわりと会場が湧く。
今までの人達の魔力の平均は、大体6,000だ。いや、正しいかは分からないよ。大体。
それを考えると、サラちゃんの魔力はとても多い。ユウキューマさんがさすがと言うくらいだからね。
10,000以内でありますように、私の魔力。
それ以上あったら、サラちゃんに目を付けられて、平穏な学園生活からおさらばすることになる。
何故って?
サラちゃんが悪役令嬢だからよ。
何故わかったって?
サラちゃんが悪役令嬢っぽいからよ。
ごめんなさい。流石に今のは失礼だ。悪役令嬢っぽいって普通に言われたら嫌だよねぇ。
ちゃんとした理由があります。
1つ。私の記憶によれば、悪役令嬢は他の人達よりも抜きん出て魔力が多かった。
2つ。悪役令嬢の容姿は端麗。髪の色が銀色。美人。ツリ目がち。
3つ。女の勘。サラちゃんと敵対するとろくな事がないと分かる。
以上。
女の勘なめないでよ?
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