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第2章 魔法学園の入学式
測定、その後 ( 3 )
しおりを挟むあらら。みっともない。
私はサラちゃんに再び向かい合って、男の人の事を聞いてみた。
「あの人は誰なのですか?」
「私の幼なじみですわ。さっきは彼に入学パーティーの先導を申し込まれたのですが、断ったのです」
「入学パーティー……?」
私が首を傾げると、サラちゃんも首を傾げた。
「入学パーティーをご存知ないのですが?」
ぐっ。知りません。すみません。
入学パーティーという程だから、入学した生徒のお祝いなんだと思うけど……魔力測定並に重要なイベントだったり?
ヴィンセイン学園に入学する人は誰もが知っていたりして。その場合、私はどれだけ世間知らずなの……。
「入学パーティーというのは、ヴィンセイン学園名物のひとつでもありますの。入学した生徒が参加して、親交を深めるのです。そのパーティーで男性が女性を先導していたら、その二人はできていると思われますの」
「できている!?」
できているイコール恋人という事か。
入学パーティーとは、そういう恋人同士が俺(僕)たち、私たちはこういう関係なのでお見知り置きを! というのを見せ合う場でもあるのだろう。
「ああ……という事は、さっきのあの人は貴女の恋人になりたいと言っていたのですね」
「そうですわ。急にあんなこと言われましても…………。はぁ」
サラちゃんは手を頬に添えて嘆息した。絵になるねぇ。
んまあ、急に気もない幼なじみから告白されたらきついかもしれないよねぇ。私は幼なじみみないな存在いなかったんだけど。
ん……? まてよ?
サラちゃんとここで仲良しになっておけば、乙女ゲームのストーリーと異なって、選択肢とか攻略とかなくなるんじゃない?
しかもよく考えたら悪役令嬢サラちゃんと顔見知りになっているし、サラちゃんの私の第一印象も悪くないと思うから、既にストーリーと異なる道に進んでいるのかも、私!
「貴女は凄い量の魔力を測定された、ツェリシア公爵様ですか?」
サラちゃんがそう尋ねてきた。私はこくりと頷く。
「はい。私はセリスティーナ・ツェリシアです」
言ってからしまったと思った。貴族社会では、先に名乗る方が身分が高いというものだったよね、確か。
私の方が身分が高いと言っているようなものじゃん!
青くなった私を見てなのか、サラちゃんはくすくすと笑う。
「お気になさらず。ヨーズワルト公爵家よりもツェリシア公爵家の方が権力もありますの。私はサラ・ヨーズワルトと申します。よろしくお願いします、ツェリシア様」
サラちゃんはドレスを摘んで優雅にお礼をする。
んぐっ。これが本物の御令嬢。私とは天と地ほどの差がある。
というか、ツェリシア様ですって?
もしかして初対面の人はファーストネームで呼ばないのが当たり前だった? そうだったら私、魔法を使った時に思いっきりサラちゃんと叫んだ覚えがあるぞ。
サラちゃんは気づいていないかな?
「よ、こちらこそよろしくお願いします、ヨーズワルト様」
なんか呼びにくいね。仰々しすぎてしっくりこないというか。
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